冬は、シャンプー後に髪の毛を乾かすのが面倒ではありませんか?特にロングの女性はなかなか乾かずイライラするかもしれません。
そこで目に入ったのがストーブやファンヒーター。これで乾かせば早いしドライヤーの電気代浮かせるし、一石二鳥!?
実は、ストーブやファンヒーターで髪を乾かすと髪にダメージを与えるのはもちろん、頭皮も傷ついて薄毛の原因となるのです。
その理由について、詳しく解説しましょう。
髪の毛や頭皮はタンパク質でできている
案外知られていないことですが、髪の毛や頭皮の主成分はタンパク質です。それがどういう意味を持つか、簡単に説明します。
タンパク質は熱に弱い
髪の毛や頭皮は、ケラチンというタンパク質でできています。ケラチンは18種類ものアミノ酸が結合したもので、食事から摂ったタンパク質が一旦アミノ酸に分解され、再度ケラチンに再合成されるのです。
ケラチンはタンパク質の一種ですから、当然タンパク質としての特性を持っています。
その一つが「熱に弱い」ということ。卵を例にするとわかりやすいのですが、生卵を熱すると60℃前後から固まり始めます。
一旦固まり出した白身と黄味は、その後どんなに冷やしても生の状態には戻りません。
髪の毛は60℃前後の熱で変質する
これは、髪の毛や頭皮のケラチンタンパク質でも同じことです。
最近ドライヤーに低温設定があるものが増えてきたのは、この知識が広まってきたからです。
時々「髪は100℃で変性する」と書かれていることがありますが、実際には60℃前後からなのです。
髪の毛を少しでも早く乾かしたいからと、高温設定のままドライヤーしていませんか?
そんな時、髪の毛は触ることができないほど熱くなりますよね。
そこまで来たら、たとえその後髪の上からスタイリング剤やコンディショニング剤をつけてサラサラになったとしても、実際の髪の毛はボロボロになっているのです。
ストーブやファンヒーターで髪を乾かすと起こること
ドライヤーでさえ高温設定にすると髪が傷むのですから、ストーブやファンヒーターを利用して髪を乾かすのはもってのほか。
以下のようなことが起こるのです。
高温で髪がボロボロになる
ファンヒーターの温風吹き出し口から出てくる時の温度は、5センチ程度離れた部分で80℃前後あります。
しかも、ドライヤーのように自由に動かすことができないので、どうしても同じ部分にばかり熱風がかかってしまいます。
熱風によって髪が傷むのは、前述したタンパク質の変性によるものだけではありません。水分も蒸発してしまうため、髪がパサパサになってしまうのです。
また、髪表面にはキューティクルというウロコ状の組織があり、中のコルテックスという部分にある髪のタンパク質や脂質、水分が逃げ出さないよう保護しています。
しかしキューティクルもタンパク質でできているため、熱によって開いたり剥がれたりしやすくなります。
すると髪の成分がどんどん抜けてしまい、もろく細い髪の毛になってしまうのです。
しかも、一度そうなったらどうやっても元には戻りませんから、ブラッシングするたびに切れ毛や裂け毛が増えてしまいます。
皮脂分泌量が増える
ストーブやファンヒーターの熱が頭皮にも当たると、頭皮の水分が蒸発してしまいます。
すると頭皮を守ろうと、毛穴内の皮脂腺から皮脂が大量に分泌されてしまうことがあります。
これは特に若い人や食事で脂っこいものを多く摂っている人に多い現象です。
皮脂分泌量が増えると頭皮がべとつき、さらに髪の毛の根元から髪全体へと運ばれてしまいます。
その結果、せっかくシャンプーしても翌日には髪や頭皮がべったりしてしまうのです。
雑菌が繁殖しやすくなる
ストーブやファンヒーターで髪を乾かすと、風を均等に送ることができないため、パサパサに乾燥する部分と生乾きの部分ができてしまいます。
特に頭皮近くは生乾きになりやすく、温度もストーブやヒーターの熱で若干上がっているため、雑菌が非常に繁殖しやすくなります。
頭皮には、マラセチア菌という常在菌がいます。
この菌には頭皮を弱酸性に保ち、様々な刺激から守る働きがあります。
しかし皮脂をエサにしているため、頭皮の乾燥によって皮脂分泌量が増えるとマラセチア菌の量も増えます。
その結果、脂肪酸を放出して細胞を劣化させ、髪を産み育てる毛母細胞の機能を低下させてしまうのです。
きれいにブローできない
ドライヤーを使用する場合は、髪をふんわり持ち上げたり収まり良くまとめたりすることができます。
しかしストーブやファンヒーターで乾かすと、そういったことができません。
さらに、少しでもクセをなくしたり真っ直ぐにしたりしようとブラシを使うと、熱で変質した髪の毛は簡単に切れてしまいます。
その結果、ダメージがさらにひどくなってしまい、きれいなスタイリングができなくなってしまうのです。
ファンヒーターが壊れてしまうことも
ファンヒーターの温風吹き出し口に、白い粉がついていませんか?もしついていたら、故障の原因になるかもしれません。
この白い粉はシリコンで、ファンヒーター使用中にヘアスプレーなどを使うと、中に含まれるシリコンが付着してしまうのです。
吹き出し口にシリコンがついている場合、本体内部にも侵入しています。
すると炎の状態をチェックする装置が反応してしまい、不完全燃焼と勘違いしてヒーターが止まってしまうのです。
なぜそのことと髪を乾かすことに関係が?と思うかもしれません。
実は、シャンプーやリンス、コンディショナーなどにはシリコンが含まれているのです。
シリコンは髪の手触りをなめらかにするために添加されており、「ノンシリコン」と謳っていないものにはすべて配合されています。
特に、洗い流さないアウトバストリートメントに多く含まれているので、使用している人は注意が必要です。
数回で髪に付着しているシリコンがファンヒーターに入り込み、故障させるということはありません。
しかしシリコンはヘアケア製品だけでなく、柔軟剤や静電気防止剤などにも含まれています。
そのため、同じ部屋でそれらの製品をよく使うと、ファンヒーターの寿命が短くなることを知っておきましょう。
自然乾燥もダメ!髪のダメージにつながります
部屋を暖かくして寝るから、髪の毛は自然乾燥でいいや…と思っている人はいませんか?
こちらも、ストーブやファンヒーター使用と同様髪を傷めてしまいます。
生乾きはキューティクルが開いた状態
髪の毛の表面にあるキューティクルは、熱を加えた時と水分を含んだ時に開きやすくなります
。つまり、ストーブやファンヒーター、ドライヤーを使わなくても、濡れたままの状態はキューティクルが非常に剥がれやすくなっているのです。
その状態で寝てしまうと、枕や寝具との摩擦で、キューティクルが剥がれてしまいます。
枕は雑菌の温床?
ある統計によると、枕カバーの選択頻度は週1回という人が多いそうです。
しかし、枕カバーは下着と同じで、髪や頭皮、顔などが直接触れるものですから、汗や皮脂、フケ、ほこり、汚れ、スタイリング剤などが染みこんでいます。
そのため、雑菌の温床になりやすいのです。
そんな状態の枕カバーに濡れた髪や頭皮をつけると、どんどん繁殖してしまい、フケやかゆみ、炎症などの原因となります。
さらには雑菌が毛穴内に入り込み、毛母細胞にダメージを与えて髪が抜けやすくなる危険性もあるのです。
最近枕カバーに抜け毛がたくさんついている、という場合は、まずは枕カバーをこまめに洗うようにしましょう。
まとめ
寒さが厳しい冬は、どうしても髪のお手入れも手抜きしがちになるかもしれません。
しかし、ただでさえ空気が乾燥してダメージを受けやすくなっている髪や頭皮は、ストーブやファンヒーターの熱によってボロボロになってしまうこともあるのです。
少し面倒でも、低温のドライヤーで丁寧に乾かしましょう。