最近抜け毛が増え髪が薄くなってきたと感じたら、特に女性の場合もしかしたらそれは甲状腺に何らかの異常が起きているせいかもしれません。
そこで今回は、甲状腺の異常と薄毛の関係や甲状腺の病気について詳しく見ていきたいと思います。
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薄毛が起こるメカニズムとは?
一般的に人間の髪は、一日に50~100本程度抜けるのはごく自然なことであると言われています。
しかし一日に150本以上の髪が抜ける状態が長く続く場合は、何らかの異常があると考えられます。
髪の毛根にある毛乳頭は、髪の成長をコントロールする役割を担っています。
この毛乳頭が働きかけることにより、血流により髪に必要な栄養素や酸素が運ばれ、毛母細胞が細胞分裂を繰り返して髪は成長していきます。
女性のヘアサイクルは、髪が成長する成長期が4~6年ほど続いた後に髪の成長が2~3週間止まる退行期が訪れ、約3ヶ月ほどの休止期を経て新たな髪が生えてくるというメカニズムとなっています。
このヘアサイクルが正常に機能している場合は、抜け毛が異常に増えたり薄毛になることはありません。
しかしさまざまな理由によりヘアサイクルに乱れが生じ、成長期が短くなったり休止期が長くなったりすると、結果的に新たに生えてくる髪よりも抜けてしまう髪が多くなり、全体的に髪の量が少なくなり薄毛となってしまいます。
また病気によりヘアサイクルが乱れ薄毛となるケースもあり、特に女性に多いのが甲状腺の異常による抜け毛の増加であると言われています。
甲状腺の異常と薄毛の関係とは?
甲状腺は喉の両側にある器官であり、甲状腺ホルモンが生成される場所でもあります。
このホルモンは新陳代謝を促進するという役割の他にも、エネルギーの生成や皮膚や髪の成長を促す働きがあります。
女性の薄毛や抜け毛の原因としては、ストレスの蓄積や女性ホルモンのバランスの乱れなどが挙げられますが、甲状腺ホルモンの分泌量の過不足により起こるそのような症状が起こる場合もあります。
甲状腺ホルモンが多くなり過ぎると甲状腺機能亢進症に、少なくなり過ぎると甲状腺機能低下症にかかるリスクが高くなるとされています。
特に甲状腺の病気は、男性より女性の方が圧倒的にかかる方が多いため注意が必要です。
甲状腺機能亢進症とは?
甲状腺機能亢進症とは、甲状腺ホルモンが過剰分泌されることにより、甲状腺の腫れや頻脈、眼球の突出などさまざまな症状が起こる病気です。
女性に多く、だいたい10~20人に1人の割合で発症すると言われています。
甲状腺機能低下症とは?
甲状腺機能低下症とは、甲状腺ホルモンの分泌量が少ないため、新陳代謝の機能が低下する病気です。
薄毛や抜け毛の他にも、倦怠感やむくみ 、皮膚の乾燥 や体重増加 、月経異常などが見られる場合もあります。
甲状腺の病気による薄毛は治る?
甲状腺ホルモンが多すぎる甲状腺機能亢進症、甲状腺ホルモンが少なすぎる甲状腺機能低下症は、どちらも髪が抜けたり薄毛の症状が現れることがあります。
しかしこれらの病気を治療することで、これらを改善させることが可能となっています。
ただこれらの病気は一時的なホルモン剤の服用で治る場合と、一生ホルモン剤を服用しけなければならないケースがあります。
しかし治療により甲状腺ホルモンの値を正常値に保つことができれば、健康な方と同じように生活していくことが可能となっています。
甲状腺の病気にかかりやすいタイプとは?
自己免疫の異常によって起こる甲状腺の病気は、実は明確な原因は明らかになっていません。
ただ遺伝的要素が影響するとも言われており、もし家族の中にこれらの病気にかかっている方がいる場合は、定期的に専門医で検査を受けることをおすすめします。
また甲状腺の病気の発症前には首が腫れてくることがあるので、腫れに気付いたらできるだけ早く医師の診察を受けるといいでしょう。
甲状腺のために控えた方がよい食品とは?
甲状腺の病気の場合、食べるのを控えた方がよい食品がいくつかあります。
以下ではその食品について、詳しく見ていきたいと思います。
海藻類などのヨウ素を含む食品
特に甲状腺機能低下症の場合、甲状腺ホルモンを増やすためにヨウ素が多く含まれている昆布やひじき、のりなどの海藻類を摂取した方が良いと考える方もいるかもしれませんが、それは大きな間違いです。
実は日本人は、毎日の食生活の中で意外と海藻類を多く摂取していると言われており、中には一日に必要な量よりかなり多く摂っている方も多いと言われています。
ですから甲状腺ホルモンを増やそうとヨウ素の含まれている食品を過剰摂取してしまうと、バランスを取ろうとしてかえってホルモンの分泌が抑制されてしまいます。
健康体であればやがて自然と正常の分泌量に戻りますが、甲状腺の病気の症状がある場合は分泌が抑えられたままになってしまい、さらに症状が悪化する可能性があるためくれぐれも注意が必要です。
このような理由から、甲状腺の病気の場合ヨウ素の取り過ぎには十分に気をつけなければならないと言えます。
大豆食品
大豆食品取りすぎは甲状腺によくないと言われています。
甲状腺はミネラルの一種であるヨウ素を原料としてホルモンを作りますが、大豆に含まれるイソフラボンには、このホルモン生成を抑制する働きがあるとされています。
ブロッコリーなどのアブラナ科の野菜
ケールやブロッコリー、カリフラワーやキャベツとなどのアブラナ科の野菜にはゴイトロゲンという酵素が含まれていますが、この酵素が甲状腺ホルモンの生成を抑制すると言われています。
しかし週2~3回ほど食べるのは良いとされています。
ただし加熱すると有害な酵素が中和されるため、食べる際には必ず火を通すようにしましょう。
小麦や大麦など
小麦や大麦、ライ麦などグルテンを含んでいる食品は炎症を起こしやすくしたり、甲状腺組織への抗体の攻撃が大きくなる可能性があるためできれば避けるようにしてください。
日常生活の中で注意しなければならないこととは?
以下では、甲状腺の病気の方が普段の生活の中で気をつけなければならない点について詳しく見ていきたいと思います。
規則正しい食生活を送ろう
毎日3食をできるだけ決まった時間に食べるように心がけ、規則正しい生活を送るようにしましょう。
また栄養バランスのよい食事を心がけ、髪の元になるたんぱく質はもちろん、野菜類などからビタミン類を、また乳製品などからカルシウムもきちんと取るようにしてください。
また、水分をしっかり取ることも大切です。
なお香辛料などの刺激物は代謝を高めてしまうため、できるだけ避けるようにしましょう。
体重管理を行い太りすぎに注意しよう
急激な体重増加は心臓へ負担をかけ、また関節や筋肉の働きにも悪影響を与える可能性があります。
特に肥満傾向にある方は、甘いものや油の多い食事を避け、一日の摂取カロリーを1200~1500キロカロリー以内に抑えるようにしましょう。
飲酒や喫煙を控える
アルコールは心臓や肝臓に負担をかける原因となるため、適量を心がけ飲み過ぎにはくれぐれも注意しましょう。
また喫煙は甲状腺の異常による眼球突出の発症のリスクが高くなるため、禁煙することをおすすめします。
まとめ
今回は甲状腺の異常と薄毛や抜け毛の関わりなどを中心に見てきました。
甲状腺の病気になると新陳代謝の機能が低下するため、抜け毛や薄毛になるリスクが高くなるとされています。
病気による異常を少しでも早く発見し早期に治療を行うためには、その病気について正しい知識を持ち、普段から気をつけることがとても大切です。
もしこの記事を読んで思い当たることがあるという方は、できるだけ早く専門医を受診することをおすすめします。