皆さんは医療用ウィッグというものを聞いたことがありますか?
ウィッグといえば、薄毛に悩む方がつけるかつらをイメージすると思いますが、それは一般的にファッションウィッグと呼ばれるものです。
医療用ウィッグは、抗がん剤治療によって脱毛した患者専用のウィッグのことです。
この記事では医療用ウィッグについて理解を深めていきながら、かつらとの違いを解説していきます!
Contents
医療用ウィッグとは
まずは医療用ウィッグについて詳しく見ていきましょう。
「聞いたことはあるけど何に使うのかを知らない」
「購入を検討しているが何が医療用ウィッグかわからない」
そんな疑問に一つずつ答えていきます!
抗がん剤治療中の患者専用ウィッグ
医療用ウィッグとは、病院やがんセンターなどの医療機関で抗がん剤治療中の患者が着用するウィッグのことです。
抗がん剤治療をすると、副作用として治療開始から2~3週間で脱毛が始まるといわれています(個人差あり)。
この副作用による心理的ストレスをなくすために、医療用のウィッグが存在しているのです。
JIS規格に適合
平成27年4月、経済産業省により、医療ウィッグにおけるJIS規格が制定されました。
この規格では、ウィッグが直接頭皮に接触する部分に対しての刺激の有無、ウィッグの素材に含まれている有害物質の検出度。
またウィッグの規格基準を定め、患者一人一人に着用しやすい、頭皮に負担のかからない耐久性など、高品質なウィッグを目指したものです。
一時的に着用するもの
医療用ウィッグは常に着用されるものではありません。
抗がん剤治療中の患者の頭皮は、脱毛が進んでいるのでとてもデリケートなものです。
そのような頭皮を優しく包み込む役割が医療用ウィッグにありますので、ファッションウィッグとは素材も耐久性も異なるのが特徴となっています。
医療用ウィッグとかつらとの違い
では、医療用ウィッグとかつら(ファッションウィッグ)はどんな違いがあるのでしょうか?
「素材」「価格」「目的」の3つに要点を絞ってその違いを詳しく解説していきます。
素材
ウィッグに使われる素材として、大きく占めるのが毛。毛には「人工毛」と「加工毛」と「人毛」の3つに分けられます。
まずファッションとして用いられるかつらに多いのは人工毛と加工毛です。
人工毛は化学繊維を使用し、形状記憶がしやすいのでスタイリングやセットがしやすい素材です。
加工毛は人毛を加工したもの。
人工毛よりも自然でかつら感がないので近年ファッションウィッグに用いられていますが、加工時にキューティクルをはがしているので、耐久性が低く、カラーが入りにくいのが特徴です。
医療用ウィッグに使われているのが人毛。人毛ウィッグはキューティクルを残したままの、薬剤未使用の毛なので耐久性があり、熱に強くなっています。
価格
医療用ウィッグは、JIS規格の基準を満たした高品質なウィッグですので、かつらと違って価格が高いです。
更に医療用ウィッグはオーダーメイドで自分の希望に合わせてウィッグを作ることが出来ますので、その分価格帯も上昇します。
一般的な医療用ウィッグの価格としては、既製品で10,000円~100,000円程度。
セミオーダーで約50,000円~約300,000円、フルオーダーになると約300,000円~800,000円にまで上ります。
フルオーダーになると、毛の素材や質感、サイズまで選択することができますので、自分の希望にほとんど合わせて作ることができます。
医療用ウィッグに必要な要素
抗がん剤治療をしている患者が使用する、医療用ウィッグに必要な要素を解説していきます。
身体にも心にも優しいそれぞれの要素が、患者の心を支えているのです。
頭皮に優しい素材
抗がん剤の副作用で頭皮はとてもデリケートな状態になります。
直接頭皮に触れるウィッグの素材は肌にやさしいものでないと、頭皮トラブルを吹き起こす原因に。
できるだけ刺激が少ないものを素材として使用していることが前提で、長時間使っていても違和感のないウィッグが求められます。
医療用ウィッグの特徴として、直接頭皮に触れないように様々な工夫が施されているものが多いので、こうした配慮が医療用ウィッグとして大切な要素の一つです。
毛量の変化に柔軟に対応
抗がん剤治療による副作用の脱毛により、患者の髪の毛の量は大幅に変化します。
もともと髪の毛が長かった方の場合はその変化が顕著に表れるため、治療開始からその経過に合わせた毛髪の変化に柔軟に対応できる医療用ウィッグが必要となります。
毛量や全体の頭髪のサイズ感が変わりやすい治療中に、ぴったりの医療用ウィッグなら、見た目の違和感をなくすだけでなく、患者の不安の解消にもつながるのです。
患者目線の機能
ウィッグを着用しているときは、夏に限らず冬でも蒸れて汗をかいてしまいます。
汗をかいた状態で長時間着けていると雑菌の繁殖や臭いなどが懸念され、患者の頭皮に悪影響を与えてしまう場合があります。
そのため医療用ウィッグには素材が雑菌から守れるように設計されていたり、簡単にウィッグケアができるようなものが必要とされます。
日常的に使用するならなおさら、患者目線の機能を重視した医療用ウィッグが求められていますので、様々なシチュエーションを加味するべきです。
医療用ウィッグの入手方法
医療用ウィッグの入手方法は店舗に行って購入したり通販で購入したりとその購入方法が様々ですが、一部のウィッグ企業ではレンタルすることも可能です。
「レンタル」と「購入」それぞれのメリットやデメリットを把握し、どちらがいいか検討してみましょう。
レンタル
抗がん剤治療が短期間の場合は、医療用ウィッグを着ける期間も短期間になると思います。
そのように短期間での利用の際には医療用ウィッグを購入するよりも、レンタルした方が経済的です。
レンタルする医療用ウィッグは、一日○円~といったものから1年単位でレンタルできるものもありますので、治療期間に合わせて使用することができます。
しかし自分の物にはならないので当然返却が必要です。
取り扱いに注意しないといけないのと、借り物が生理的に受け付けないという方にはデメリットに感じてしまうでしょう。
購入
医療用ウィッグを購入する利点は、自分好みにカスタマイズできるというところです。
また、長期にわたる抗がん剤治療を行う場合は、購入した方がレンタルするよりも安くつく場合がります。
購入することで付与する特典なども業者によってはありますので、ウィッグを自分で管理しきれない方などはサポートなどがついているとありがたいですよね。
しかし医療用ウィッグは一般的なウィッグよりも高いです。
購入する際は本当に自分の頭皮に合うものを慎重に選ぶ必要があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
この記事では、医療用ウィッグについて理解を深めながら、一般的なかつらとの違いを解説してきました。
医療用ウィッグは抗がん剤治療中の患者に向けて販売されているもので、その素材や価格、目的などはファッションで使われているものと大きく異なります。
患者目線に立った医療用ウィッグが幅広く展開されており、なかにはレンタルできるものや完全オーダーメイドできるものもあります。
医療用ウィッグについての知識を深め、自分がもし必要になった際にスムーズに手元に手に入れられるようにしておきましょう!