薄毛というと男性特有の悩みとして取り上げられることも多いですが、最近は女性にとっても悩みの種として取り上げられる機会が増えてきています。
育毛剤などの特別なヘアケアだけでなく、食事や生活習慣に気をつけることで薄毛は予防・改善できます。
ただ、髪や頭皮に良いと言われる食材を取り入れているのに、なかなか効果が出ないという人も少なくないのではないでしょうか?
そんな人に試していただきたいのは、「ヒハツ」です。
聞き慣れない食材ですが、ヒハツは、血行促進効果が高いことで注目されており、抜け毛や薄毛にも改善するのに効果的なスーパーフードです。
この記事では、ヒハツという食材の健康効果についてお伝えし、薄毛や抜け毛の予防・改善にどのような効果を発揮するのかをご紹介します。
ヒハツとは
ヒハツは、インドや東南アジアなどで生育されているコショウ科の植物です。
食材としては、その実を乾燥させてパウダー状にしたものが香辛料として用いられます。
ナガコショウ、ロングペッパー、ピパーツ、ヒバーチ、ピパーズとも呼ばれています。
アーユルヴェーダや中医学で、古くからからだの冷えを改善する薬として利用されてきました。
また、紀元前のギリシアで医学の父・ヒポクラテスによってもたらされ、スパイスとしてではなく、薬として利用されていたとされます。
日本では沖縄料理に欠かせない香辛料として知られています。
ヒハツにとてもよく似ている植物に「ヒハツモドキ」というものがあり、沖縄では「島こしょう」と呼ばれています。
「ヒハツ」と「ヒハツモドキ」は成分や風味に若干の違いはあるものの、香辛料としての基本的な特徴や栄養価はほぼ同じだと言われています。そのため、ほとんど区別されずに用いられています。
長寿料理として取り上げられることも多い沖縄料理。ヒハツ(およびヒハツモドキ)は、美容と健康に意識が高い女性たちの間で最近注目されている調味料なのです。
ヒハツの健康効果
ヒハツ(およびヒハツモドキ)に含まれている主な有効成分は「ピぺリン」です。
ピぺリンはヒハツの辛みを生み出す成分で、毛細血管を強化し、冷え性やむくみを改善し、免疫力を上げてくれる効果があります。
「ゴースト血管」という言葉を聞いたことがありますか?
「ゴースト血管」とは、血液が流れなくなった血管のことで、その状態が続くといずれ消えてしまう、まさに血管が幽霊のようになってしまう状態を意味する言葉です。
毛細血管は内皮細胞とそれを覆う壁細胞の二重構造になっています。
毛細血管はこの二つの細胞が密接に接着することで守られていますが、この接着に関係しているのが壁細胞から分泌される「アンジオポエチン-1」というたんぱく質と、内皮細胞にある「Tie2」(タイツー)という受容体です。
壁細胞からアンジオポエチン-1が分泌されてTie2と結合することで、Tie2 が活性化され、毛細血管の構造が安定し、健康な状態を保つことができます。
壁細胞が傷つくと壁細胞からアンジオポエチン-1 が分泌されなくなりTie2 が活性化されなくなります。
その結果、壁細胞と内皮細胞の接着が弱まり、毛細血管に隙間が出来てしまいます。
そこから栄養分を含んだ血液が漏れだすため毛細血管に血液が流れなくなり、そのまま毛細血管が消えてしまいます。
これが「ゴースト血管」の原因です。
壁細胞は、加齢やストレスなどによって傷つきますが、傷ついた壁細胞の代わりに、Tie2を活性化させるアンジオポエチン-1 と同じ働きをする成分を摂ることで毛細血管を修復することができます。
「ゴースト血管」の改善を促す食材の一つが、ヒハツです。
ヒハツに含まれる有効成分「ピペリン」にはアンジオポエチン-1と同じ働きをしてTie2 を活性化させる効果があることが医学的に証明されています。
つまり、ヒハツには毛細血管の老化やゴースト化を防ぐ効果があるということです。
冷え性やむくみ、目の下のクマなど、血行不良による症状を改善してくれます。
さらにそれだけでなくリンパ管の老化を防ぎ、免疫力を高めてくれます。
薄毛に対して期待できる効果
毛細血管は各細胞に必要な栄養素や酸素を届け、不要となった老廃物や二酸化炭素を回収する役割をしています。
毛細血管がゴースト化してしまうことで、肌や地肌、そして髪の毛に大きな影響があります。
人間の血管の99%は毛細血管です。毛細血管がゴースト化すると、その先にある細胞に栄養や酸素を届けることができなくなります。
私たちの毛髪は、頭皮の毛細血管からの栄養を毛母細胞が受け取ることで維持されていますので、ゴースト血管が増えると、頭皮は酸素欠乏・栄養不足の状態に陥ります。
それにより、ヘアサイクルの成長期が短くなり抜け毛が増えることになります。
ヒハツを食事に取り入れることで、毛細血管の修復ができるので、髪の健全な成長が促され、抜け毛や薄毛を改善することができます。
またヒハツは、体を温めて冷え性を改善する効果があります。
体の冷えは、ホルモンバランスの乱れを招き、それ以外の体の不調をも引き起こします。冷えに起因する肩こりや肌荒れ、睡眠不足などの不調は、いずれも薄毛リスクを高める要因としてよく知られているものです。
体を温めて全身の血流を良くすることで、これらの症状を緩和し、頭皮の細胞へ栄養が行き渡りやすくなります。
くわえてヒハツは、血行を良くするだけでなく、収縮してしまった血管を広げてくれる効果があります。
それにより新陳代謝が高まり、健康な髪を育てる頭皮環境が整います。
ヒハツを摂ることは、あらゆる点で薄毛の改善につながるのです。
ヒハツの使い方や注意点
ヒハツは、独特の辛みや苦みがあります。
ヒハツのパウダーを、胡椒や他のスパイスのように使うことができます。
肉や魚などの下味に使うことで臭みを消すことができますし、出来上がった料理に少量を振りかけることで風味を変えることができます。
カレーなど複数の香辛料を使った料理なら、味がなじみやすいでしょう。
お茶などのホットドリンクにもおすすめです!
摂取量としては、1日1g~2g程度が適当です。
それ以上は過多となり胃に負担がかかる可能性もありますのでご注意下さい。
また、妊娠中の方や授乳中の方、血液にともなう治療をされている方も避けた方が良いとされています。
毛細血管を修復し、ゴースト血管を改善する成分を含むものとして、ヒハツ以外にシナモンやルイボスティーがあります。
シナモンはヒハツ同様、妊娠中の摂取に注意が必要ですが、ルイボスティーは妊娠中・授乳中でも摂取可能なので参考にして下さい。
おわりに
薄毛の原因として最近取り上げられるようになったゴースト血管。
ヒハツは、このゴースト血管を改善し、健康な髪を育てる頭皮環境を作るのに有効な新食材として近年注目されるようになったスパイスです。
今回の記事では、ヒハツのさまざまな効果についてお伝えしました。
なかでも、毛細血管を修復する効果は重要です。
毛細血管を蘇らせることで頭皮に十分な酸素や栄養が届けられるようになり、抜け毛や薄毛の予防につながります。
また、それだけでなく、全身の血のめぐりを良くして、収縮した血管を広げることで、頭皮環境の改善・髪質改善に効果があります。
女性の薄毛の大きな原因となる冷えも改善されるので、美容と健康にトータルにアプローチすることができます。
毎日の推奨摂取量はごく少量なので、コストパフォーマンスも良く、料理に取り入れやすいので、一度試してみてはいかがでしょうか?