薄毛に大豆イソフラボンが効くという話を聞いたことがあるという人は多いかもしれません。
大豆イソフラボンが薄毛に効果があるというのは、しっかりとした医学的・科学的な根拠がある話なんです。
この記事では、大豆イソフラボンが頭皮や髪の毛にどのようにアプローチするのかを確認し、育毛に効果があるとされているメカニズムを解説していきたいと思います。
薄毛の原因は女性ホルモンの減少
薄毛に悩む女性で、薄毛は加齢のせいだと考えている人も少なくありません。
確かに、更年期にさしかかった世代の女性は女性ホルモンが急激に失われてしまい、髪が細くなり、ハリやコシが失われ、毛髪量も減少します。
ただし若い女性でも、妊娠出産や無理なダイエットなどにより、女性ホルモンが低下してホルモンバランスが崩れることで、薄毛が進むことがあるのです。
そもそも、女性ホルモンが低下するとなぜ薄毛が引き起こされるのでしょうか。
女性ホルモンとは、エストロゲンとプロゲステロンという2種類のホルモンの総称です。
エストロゲンは、卵巣から分泌される卵胞ホルモンで、プロゲステロンは卵巣から分泌される黄体ホルモンです。
エストロゲンは、髪の毛の成長を促進させる働きがあります。
髪の毛のハリやコシ、頭皮の厚みや潤い、血流などに関係しています。
プロゲステロンは、髪の成長期を支える働きがあります。
プロゲステロンが減少すると、髪は細く短くなっていきます。
薄毛改善においてはエストロゲンばかり注目されますが、この二つのバランスを良い状態に保つことが何よりも大切になります。
エストロゲンとプロゲステロンのバランスを保ち、この二つが失われないようにすることで、薄毛を改善するだけでなく体を若々しく保つことにもつながります。
大豆イソフラボンのパワー
大豆に含まれる大豆イソフラボンは、腸内細菌によってエクオールという成分を生成します。
このエクオールが薄毛に対する効果をもたらすと言われています。
なぜなら、エクオールはエストロゲンに似た働きをするからです。
大豆イソフラボンが「植物エストロゲン」と呼ばれるのはこのためです。
例えば、大豆イソフラボンが更年期障害の予防や改善に効果を上げていることが報告されています。
大豆イソフラボンを多く摂取している人は、更年期障害による、ほてりやのぼせなどの症状が見られにくいという報告もあります。
これは大豆イソフラボンの化学構造がエストロゲンと類似しているためと見られています。
髪の成長を促進する働きがあるエストロゲンをサポートする栄養素として、大豆イソフラボンに注目が集まっています。
また、イソフラボンには、増え過ぎた活性酸素を抑制する抗酸化作用があります。
イソフラボンの抗酸化作用は、老化を抑え若々しさを保つのに役立ちますので、髪や肌などのエイジングケアには欠かせません。
タンパク質が髪の成長を促し、健康な髪をつくる
大豆製品は、イソフラボンだけでなく良質なタンパク質を多く含むことからも頭皮や髪に良い食材と言えます。
髪の毛の成分は80%以上がケラチンというタンパク質で構成されています。
つまり、健康な髪の毛を作るためにタンパク質を多く摂ることが重要なのです。
タンパク質が不足すると、髪だけでなく肌や内臓の健康も損なわれます。
食事からタンパク質を摂取するときのポイントは2つあります。
1つはタンパク質を豊富に含む食品を食べることです。
1日3食の全てにおいて、タンパク質が豊富な食品を使った主菜を食べることが大切です。
もう1つのポイントは、様々な種類のタンパク質を取り込むことです。
つまり、肉や魚介類、卵、乳製品などの「動物性タンパク質」だけでなく、小麦や大豆に含まれる「植物性タンパク質」を摂ることで、効率よくタンパク質を体内に取り込むことができるのです。
また、タンパク質は複数のアミノ酸が結びついてできる栄養素ですが、動物性と植物性とでは含まれているアミノ酸が異なります。
さらに、このアミノ酸にも様々な種類があります。
大きく分けると、体内で生成できない「必須アミノ酸」と体内で生成できる「非必須アミノ酸」の2種類です。
このうち重要なのは、「必須アミノ酸」です。体内で作ることができないために食品から取り入れるしかないからです。
植物性よりも動物性タンパク質を含む食品の方が必須アミノ酸がバランス良く含まれているとされます。
ただし、動物性タンパク質を多く含む食品は脂肪も多く含まれていることがあるため植物性タンパク質もバランス良く摂ることで、効率よく栄養を摂取できるのです。
つまり、肉や魚、卵だけでなく、大豆製品を食事に取り入れることで栄養バランス良くたんぱく質を摂ることができるということです。
間違ったダイエットでおかずを減らしたり大豆製品だけを食べたりするのではなく、複数の動物性タンパク質と組み合わせて大豆製品を食べましょう。
タンパク質は、健康な髪の毛が作られるための材料と考えてください。
大豆イソフラボンが多く含まれる食品
それではどのような大豆製品が特に効果的なのでしょうか。
手軽に手に入れることができ、大豆イソフラボンを多く含む大豆食品としておすすめしたいのが、納豆と豆腐、そしてきな粉です。
100g中のイソフラボンの含有量は、納豆73.5g、豆腐20.3g、きな粉266.2gとなっています。
それぞれ一食分の量が異なるので、料理に合わせて使うようにしましょう。
味噌などの調味料にもイソフラボンが含まれているので積極的に活用することをおすすめします。
推奨される一日の摂取量は、75mgと言われていますが、サプリメントなどを摂取して過剰摂取にならないように注意しましょう。
また、唐辛子などに含まれるカプサイシンを大豆食品に含まれるイソフラボンと組み合わせることで頭皮や胃腸の知覚神経が刺激され、育毛に効果があるという研究報告があります。
納豆キムチやキムチ豆腐、味噌チゲなど、唐辛子を使った料理に納豆や豆腐、味噌を加えて育毛効果をアップさせましょう。
エクオールについて
大豆イソフラボンの優れた効果についてお伝えしてきましたが、実は大豆イソフラボンの効果は個人差があり、中にはその効果を十分に発揮できないという人もいます。
ここで思い出してほしいのが、大豆イソフラボンが生成するエクオールという物質です。
このエクオールが女性ホルモンであるエストロゲンに似た機能を果たすということはすでに説明しましたが、人によっては大豆イソフラボンからエクオールが作れない場合があるのです。
エクオールをつくれる人とつくれない人の違いは何か。
それは、最近注目されている腸内細菌(腸内フローラ)にあります。
大腸に、大豆イソフラボン(ダイゼイン)をエクオールに変換してくれる「エクオール産生菌」と呼ばれる腸内細菌がいるかどうか(活動しているかどうか)が重要です。
しかし、エクオールをつくれるのは、日本人のおよそ43%、若い女性だと20~30%と更に少なくなると言われています。
まだこの研究は近年進められている段階ですが、大豆製品を日常的に食べる習慣がある人はその習慣がない人に比べてエクオール産生者が多いと言われています。
大豆イソフラボンの効果が実感できないからと言って、食生活から大豆製品をなくしてしまうのは得策とは言えません。
また、腸内環境を整えるために乳酸菌や食物繊維を取り入れ、適度に運動して規則正しい生活を送ることも一定の効果があると言われています。
腸内環境を改善することは、それ自体が薄毛を抑制し育毛を促進することにつながりますので、生活習慣の改善をすることは一石二鳥と言えそうです。
まとめ
この記事では、大豆イソフラボンの効果を中心に大豆製品が頭皮や髪に与える良い影響についてご紹介してきました。
納豆、豆腐、きな粉、味噌をはじめ、大豆からできている食品はいずれも他の食材とも合わせやすく、気軽に取り入れることのできる食材です。
継続的に食事に組み込むことで、エクオールを生成できる体づくりに努めましょう。
大豆イソフラボンを摂取しホルモンバランスを整えることで、薄毛の改善に取り組んでいきましょうね。