加齢によって髪の毛が薄くなってきたり、抜け毛や細毛が気に出してくる時期を『エイジング世代』と呼びます。
35歳を過ぎてくるころから女性に多く出てくる髪の毛の悩み。そろそろ年齢に適したシャンプーが必要な時期かもしれません。
インターネットなどで検索していくと、一言にシャンプーと言っても色々な種類のものが数多く出てきます。
金額も商品によって様々で、なかにはかなり高価なものもあったりします。
「市販のシャンプーとなにが違うのか分からない…」
「しょせんシャンプーなんだからどれも同じじゃないの?」
なんて思っていたら要注意です。
もしかしたらあなたのその薄毛の原因は、年齢と頭皮に適していないシャンプーのせいかもしれません。
この記事では、過去に大手育毛かつらメーカーに在籍し、現在も現役で美容師をしている僕が、最近は世間でも認知されるようになってきたアミノ酸系シャンプーと市販のシャンプーとの違いを解説していきます。
Contents
アミノ酸系シャンプーとは
そもそもアミノ酸系シャンプーとはなにか?ということをしっかり理解できている方は、まだまだ少ないようです。
実際に美容室でお客様と会話をしていても、「聞いたことはあるしなんだか良さそうなものなんだとは思うけどよく分からない…」という方が圧倒的に多いです。
シャンプー剤にはもともと、『界面活性剤』と呼ばれる洗浄成分があります。
これには種類があり、
高級アルコール系
アミノ酸系
PPT系
石けん系
オレフィン系
スルホコハク酸系
アミドエーテル硫酸系
ベタイン系
などに分けることが出来ます。
アミノ酸系シャンプーとは、この中の『アミノ酸系界面活性剤』を使用しているシャンプー剤を指します。
アミノ酸系シャンプーの特徴
アミノ酸系シャンプーの特徴としては、
洗浄力が弱い
泡立ちは市販のシャンプーと比べると悪い
高価
パーマやカラーの持続性が良くなる
頭皮への刺激が少ない
ということが挙げられます。
洗浄力や泡立ちが悪いというのはあくまでも市販のシャンプーと比べて、ということですので、本来のシャンプーとしての洗浄効果は問題ありません。
頭皮や髪の毛には本来、一定量の油分が必要です。
油分はバリア機能の役割を果たし、紫外線や乾燥から頭皮や髪の毛を守ってくれます。
洗浄力が弱く、頭皮への刺激も少ないおかげで必要な油分を取りすぎないというのがアミノ酸系シャンプーの最大の特徴です。
市販されているシャンプーの多くは高級アルコール系
『高級』と付くのでなんだか良さそうな感じもしますが、これは石油系の界面活性剤です。
市販されているシャンプー剤に1番多く使われている界面活性剤ですが、上記した界面活性剤のなかでも特に刺激の強いものになります。
特徴としては、
洗浄力が強すぎる
泡立ちが良い
安価
水質に左右されない
パーマやカラーの持続性が悪くなる
頭皮への刺激がある
などが挙げられます。
特に注目すべきなのが『洗浄力が強すぎる』という点です。
強すぎる洗浄力により、本来頭皮や髪の毛に残っていた方が良い油分を取りすぎてしまいます。
こういった理由からアミノ酸系のシャンプー剤に比べ、頭皮に悪影響を及ぼしやすくなります。
アミノ酸系と高級アルコール系の見分け方
「じゃあアミノ酸系のシャンプー剤を買おう!」と思っても、実際に販売されているシャンプーに『アミノ酸系』や『高級アルコール系』といった表記はされていません。
シャンプーボトルの裏に書いてある内容成分の欄に、それぞれの配合されている成分の種類の名前がカタカナで記載されています。
そのなかでも多く使われている成分をそれぞれ挙げていきます。
アミノ酸系に多く使われる成分
以下、実際にシャンプー剤によく使われているアミノ酸系の成分名になります。
ココイルグルタミン酸
ラウロイルグルタミン酸
ラウロイルメチルアラニン
ココイルメチルアラニン
ラウロイルサルコシン
ココイルサルコシン
『アラニン系』や『グルタミン系』や『グリシン系』と分かれます。
これ以外にもアミノ酸系の成分はありますが、上に挙げたものが現状ではシャンプー剤に多く使われている成分の表記名です。
高級アルコール系に多く使われている成分
同じく、高級アルコール系の成分名になります。
ラウリル硫酸
ラウレス硫酸
後ろにNaやTEAといった表記が付きますが、この記載のあるものは石油系の界面活性剤ということになります。
注意しないといけないのはこの『アミノ酸系』と『高級アルコール系』の両方の界面活性剤が入っているパターンです。
そういった時は、『多く入っているのがどちらか』を重視してみるようにします。
内容成分表記のルールとして、化粧品は多く入っている成分から順番に書く、というのが義務づけられています。
ほとんどの場合は最初に『水』があり、そこから成分が多い順に並べられていますので、先にアミノ酸系の表記があればそのシャンプーはアミノ酸系であると言えます。
アミノ酸系シャンプーで頭皮環境を整える
薄毛や抜け毛の原因の1つに、『ヘアサイクル(毛周期)の乱れ』があります。
髪の毛の1本1本が新しく生まれてから脱毛するまでの周期を『ヘアサイクル(毛周期)』と呼びます。
分かりやすく言うと髪の毛の寿命ですね。
頭皮環境が乱れてくると本来であれば約4年~6年あった髪の毛の寿命が短くなり、短いと1年~2年ほどに短縮されてしまいます。
通常であればまだまだ成長途中の髪の毛が成長を止め、脱毛してしまうことになります。
アミノ酸系シャンプーには、頭皮の血行促進や育毛効果のある成分が入っていることが多いです。
『育毛シャンプー』とも呼ばれますね。
アミノ酸系であり育毛効果のあるシャンプーを使うことで、ヘアサイクルの乱れを整え、頭皮環境を改善していきやすくなります。
ノンシリコンかシリコンか
シャンプーを選ぶポイントの1つとして、ノンシリコンか否かというのは重要になってきます。
シリコンとはもともと、シャンプー剤に含まれる髪の毛をサラサラにさせる成分です。
なので、ノンシリコンのシャンプーは多少きしみがあったり、洗い上がりがギシギシしていたりといったことが起こりやすくなります。
シリコン入りのシャンプーは洗い上がりのクシ通りも良く、洗っている段階でも指が通りやすい特徴があります。
ですが、数年前から『シリコンは毛穴を詰まらせる』という風潮があり、シリコン=悪者というイメージが強くなってしまいました。
このあたりは美容師のなかでも意見の分かれることではあるのですが、今回のテーマである『薄毛』に絞ってどちらが適しているかを言えば、『髪質による』となります。
と言うのも、シリコンが入っていても入っていなくても、薄毛対策としては関係がないからです。
それよりは前述したアミノ酸系かどうかといった洗浄成分の方が大事なことですし、傷みがひどい髪質であればシリコン入りのシャンプーを使い、あまり傷んでいない髪質ならノンシリコンを使う、といった使い分けをするといいですね。
まとめ
シャンプーが頭皮や髪の毛に与える影響は思っている以上に大きなものです。
本来頭皮は毎日洗うものですから、シャンプーも毎日使うものです。
毎日使うのであれば、お肌に影響が出ないわけがないですよね。
刺激の強いシャンプーは使うほどに頭皮に刺激を与えているということになります。
薄毛などで悩み始めたデリケートな頭皮には、是非、刺激の少ない優しいシャンプーで洗ってあげるようにしてください。