「8時間寝ているのに、いつも眠くて…」「ちょっと休憩と思っても、気が付くと1時間以上爆睡」
こんな経験はありませんか?
これがたまにであれば問題ないのですが、毎朝起きた時からもう眠い、午後になると目を開けていられなくなる…そんな女性は、身体の機能が低下している可能性があります。
その原因の一つが、「体内時計」の乱れです。
そこで、体内時計とは何か、なぜこの時計が乱れると健康被害が起こりやすいのか、そして髪の毛にどんな影響が出るのか、それぞれ解説しましょう。
Contents
体内時計とは
体内時計とは、その名の通り身体の中にあり全身を調整している仮想時計のことです。
なぜそのようなものがあり、どんな役割があるのでしょうか。
身体のリズムを調節している体内時計
人間は元々朝目覚め日中活動的になり、夜になるとリラックスモードになるように出来ています。
これが「体内時計」で、そうすることで健康を維持できるようプログラムされているのです。
体内時計は各臓器にあり、それをまとめているのが脳の視交叉上核(しこうさじょうかく)にある体内時計です。
この時計が全身の体内時計に指令を送り、体温や血圧、呼吸、ホルモン分泌などあらゆる整理活動を司っているのです。
なお、人間は昼行性ですが、猫やネズミなどは夜行性の体内時計を持っています。
それぞれが最も健康に生きられるよう、生まれた時から備わっているのです。
体内時計は地球の自転周期と微妙にずれている
2019年の時点で、地球の自転周期は23時間56分4.1秒です。
ところが体内時計は自転周期と微妙にずれています。
個人差がありますが、体内時計の平均は約24時間10分程度で、自転周期とは約15分の差があります。
このずれを放置すると、4日で約1時間となり、1ヶ月もすると昼夜逆転になってしまいます。
つまり、朝なのに体内時計が夜を示してしまい眠くなる、交感神経が活性化すべき時間帯なのに活性化しない、といったことが起こってしまうのです。
ずれを調整するメカニズム
このようなずれが続かないよう、私たちには地球の自転周期に合わせてずれを調整する機能が備わっています。
その機能を動かすものを、「同調因子」といいます。
同調因子の最も大きなものは「光」です。
朝日を浴びることで微妙なずれがリセットされ、体内時計と地球の自転周期がぴったり合うよう自動調整されるのです。
また、光と並んで大きな同調因子が「食事」です。
朝食を食べることで体内時計が1日の始まりを感知し、ずれを調整するのです。
その他、通勤や通学といった通常朝に行なわれることも、体内時計のリセットを促します。
1日中眠い…それは体内時計が狂っているせい
このように、人間は朝起きて夜眠るよう、体内時計がセットされています。
そのため、昼夜逆の生活を続けていると時計が狂い、朝でも眠くなってしまうのです。
しかし、中には夜寝て朝起きる生活を続けているのに、1日中眠いという人がいます。
その原因には以下のことが考えられます。
ブルーライトによる脳の覚醒
毎晩7~8時間眠っているのに朝から眠い…その原因の多くは、体内時計の乱れによるものです。
例えば、夕方になると徐々にメラトニンという睡眠を誘うホルモンが分泌されますが、これが分泌されないと夜深い眠りを取れなくなります。
その原因の一つは、太陽以外の光の氾濫です。
スマホやパソコン、ゲーム機、TV、様々なディスプレイなどはLEDを使用しているものがほとんどですが、LEDの発するブルーライトは非常にエネルギーが強いため、脳は朝日と勘違いしてしまうといわれています。
その結果、メラトニンの分泌が抑えられてしまい、睡眠の質が悪くなってしまうのです。
交感神経の異常な活性化
スマホやゲーム機などに夢中になると、脳が興奮して交感神経が活性化します。
本来交感神経は夕方になると減り、副交感神経が活性化するように体内時計にプログラミングされています。
しかし夜遅くまで脳を興奮させていると、いつまでも交感神経が優位な状態のままになってしまいます。
すると心身がリラックスできなくなるため、ベッドに入ってもなかなか寝付けなかったり、浅い眠りになったりして、疲れが取れなくなってしまうのです。
朝食を抜いている、あるいは少ない
人間は、朝食を取ることでも体内時計がリセットされます。
しかし、時間がないからと抜いてしまったり、簡単につまめるトーストやおにぎり、サラダなどだけで済ませたりしていると、体内時計がしっかりリセットされません。
実験によると、朝タンパク質をしっかり摂ることで体内時計がよりしっかり調整されることがわかっているのです。
そのため、肉や魚、卵、乳製品、大豆製品などで充分なタンパク質を摂取することが大切です。
なお、タンパク質は消化に時間がかかるため、夜食べ過ぎると就寝中も胃腸が消化吸収のために働かなくてはならなくなり、これも体内時計を狂わせる原因となります。
タンパク質は朝か昼にたっぷり摂り、夜は控えめにしましょう。
夜に激しい運動をしている
適度な運動は心地よい疲れをもたらし、質の良い睡眠につながります。
しかし、夜に激しい運動をすると、各臓器の体内時計が刺激を受けて中枢の体内時計とは違う動きをしてしまうことがわかってきました。
つまり、脳は休めという指令を出しているのに、臓器が勝手に動いてしまい、身体が休めなくなってしまうのです。
内臓が働き続けるとエネルギーを消耗するため、運動すればするほど疲労が溜まり、朝爽やかに目覚めることができなくなるのです。
体内時計が狂うと薄毛に?その原因とは
体内時計の乱れは様々な健康被害を及ぼしますが、髪の毛の成長にも問題が出てきてしまいます。
その原因にはこのようなことがあります。
自律神経が乱れ血行が悪くなる
自律神経の交感神経と副交感神経は体内時計によって支配されており、通常午後6時頃からは副交感神経のほうが優位になります。
副交感神経には全身をリラックスさせ、血管を拡張させて血流を良くする働きがあるので、髪を産み育てる毛母細胞に栄養がたっぷり届き、髪を成長させてくれます。
しかし、LEDの浴び過ぎや脳の興奮などによって夜になっても交感神経が活性化していると、この神経の作用によって血管が収縮したままになります。
その結果、髪が栄養不足に陥り、抜け毛や薄毛、切れ毛、枝毛などが増えてくるのです。
成長ホルモンがうまく生かせなくなる
「お肌のゴールデンタイム」という言葉を、聞いたことがあると思います。
これは、夜10時頃から夜中の2時頃までしっかり寝ると、お肌の老化が防げるというものでした。
この時に肌をきれいにする働きをすると考えられていたのが、成長ホルモンです。
成長ホルモンには細胞を修復する働きがあるので、日中紫外線や大気汚染などでダメージを受けても、肌が若々しさを維持できるといわれているのです。
この作用はもちろん髪にも影響を及ぼし、髪を産み育てる毛母細胞の機能を促進させて、髪の健康を守ってくれます。
さて、この成長ホルモンは、近年の研究によって時間に関係なく、「就寝後30分~3時間の間の熟睡時間に大量に分泌される」ことがわかりました。
つまり、成長ホルモンは体内時計に左右されないのです。
しかし昼夜逆転の生活を長くしていると、実際には早く老化することがわかっています。
これは、眠りを誘うメラトニンの逆の作用をするコルチゾールという目覚めホルモンが、体内時計によってコントロールされているからです。
つまり、成長ホルモンとコルチゾールが同時に分泌されてしまうと、成長ホルモンの働きが弱くなってしまうのです。
その結果、毛母細胞のダメージが充分修復されなくなってしまい、抜け毛や薄毛が増えやすくなります。
体内時計を整えるには
体内時計は生まれた時から脳にインプットされているため、それに合わせた生活を送ることが健康を維持し、美肌や美髪を保つことにつながります。
単純なことですが、以下のことをできるだけ守るようにしましょう。
・365日できるだけ同じ時間に寝起きする
・就寝2時間前にはLED機器から離れる
・夜は湯船に15分程度浸かり、副交感神経を活性化させる
・朝食はタンパク質を中心に、夜は控える
・アルコールの摂取量を減らす
・ウォーキングやジョギング、サイクリングなど適度な運動を週3回は行なう
・寝不足でも朝日を浴びて交感神経を活性化させる
体内時計は、早ければ数日で正しく調整されるといわれています。
しかし、それだけに乱れるのも早く、すぐに体調に変化が現れてしまいます。
それを避けるために、まずは毎日同じ時間に起きて寝るのを習慣づけることから始めましょう。