女性の薄毛

頭蓋骨の老化が女性の悩み「薄毛・抜け毛・シワ・たるみ」を作る!?

最近薄毛や抜け毛が増えてきた、顔のシワやたるみがはっきりわかるようになってきた…。

女性なら誰でも、加齢とともにこんな悩みが出てくると思います。

そして、これまではこういった衰えは肌細胞の老化にあると考えられてきました。

しかし、近年それ以外にも原因があることがわかってきたのです。

アメリカでの研究でわかってきた、「頭蓋骨の老化」について解説しましょう。

頭蓋骨の老化とは

頭蓋骨といえば、脳を守る非常に大切なもの。しかし、これが加齢とともに老化することがわかったのです。

頭蓋骨とは

頭蓋骨(ずがいこつ・とうがいこつ)とは脳髄を収容している骨格のことで、顔面骨と併せて「頭蓋(とうがい)」といいます(ここでは、両方を合わせてわかりやすく「頭蓋骨」で統一します)。

頭蓋骨は計28個の骨でできており、非常に複雑な構造になっています。

また、ほとんどの骨が分離せずしっかりくっつき合っているため、ちょっとの衝撃程度でバラバラになるようなことはありません。

頭蓋骨は加齢とともに形が変わる

私たちは骨が老化することは知っていますが、頭蓋骨まで老化すると考えている人はあまりいないでしょう。

しかし、2011年にアメリカの研究誌に報告されたところによると、頭蓋骨も加齢とともに老化していくことがわかったのです。

頭蓋骨の老化とは、形の変化です。

若い頃は頭のほうがあごより大きく、ちょうど洋梨を逆にしたような形をしています。目の部分にある穴(眼窩:がんか)の形もほぼ円形です。

しかし加齢とともに頭蓋骨が下に流れ、楕円形に変化してきます。頭の部分が細くなり、眼窩は大きく広がり垂れ下がっていくのです。

するとどういうことが起こるでしょうか。

頭蓋骨回りの皮膚が余り、下に垂れてきてしまうのです。これが、顔のたるみやシワを作り出す原因となるのです。

頭蓋骨が老化する原因は骨粗鬆

この原因は、骨粗鬆(こつそしょう)にあります。加齢とともに骨量が減ると、頭蓋骨も痩せてしまうのです。

骨は生きており、常に新陳代謝しています。古くなった骨は破骨細胞によって溶かされ、骨芽細胞によって新しく作り替えられています。

しかし、加齢とともにこの働きが低下すると骨の形成が追い付かなくなり、骨の量が減ってしまうのです。

その結果、頭蓋骨の骨量減少によって頭部が痩せてもろくなってしまいます。

骨粗鬆の原因はカルシウムの不足とコラーゲンの減少

骨粗鬆の原因として最初に浮かぶのが、カルシウム不足でしょう。

カルシウムは骨の重要な構成成分で、建物でいうとコンクリートの役割があり、カルシウムが多く含まれているほど「骨密度」が高くなります。

しかし加齢とともに破骨細胞による骨の破壊のほうが多くなると、骨内にカルシウムが減ってしまい、スポンジのような状態になってしまうのです。

さらに、コラーゲンも重要です。

建物の鉄骨の役割を果たしているのがコラーゲンで、骨の約50%もの体積を占めています。

コラーゲンは骨の柔軟性を保つ働きがあり、「骨質」を維持するのに不可欠です。

コラーゲンが少なくなると骨にかかる衝撃が大きくなるため、骨折しやすくなるのです。

女性は骨粗しょう症になりやすい

特に女性は男性より骨粗しょう症になりやすいと言われています。

その原因は女性ホルモンのエストロゲンの減少です。

エストロゲンには骨を健康に保つ作用があるのですが、30歳前後が分泌量のピークで、それ以降徐々に減っていきます。

さらに45歳前後から急激に減少し、閉経とともにゼロに近くなっていきます。

その結果、閉経前後から骨粗しょう症になる人が増えてくるのです。

調査によると、閉経後の女性が骨粗しょう症になる確率は男性の約3~4倍といわれています。

しかし気づいていない人が相当数いるとされ、1000万人以上が骨粗しょう症あるいは予備軍と考えられています。

骨粗鬆=頭蓋骨老化=薄毛の原因に

では、なぜ骨粗鬆によって頭蓋骨が老化すると、薄毛を引き起こす原因になるのでしょうか。これは顔のたるみと同じ原因から来ています。

皮膚のたるみ=頭皮の硬化

前述したように、コラーゲンには皮膚の柔軟性を保つ働きがあり、肌のハリや弾力を維持するために不可欠です。

そのため、コラーゲンが減少すると皮膚が重力に負け、下に落ちてたるみの原因となります。

実は、これは顔だけでなく頭皮にも起こっているのです。

カルシウムやコラーゲンが減少して頭蓋骨がもろく弱くなると段々縮小してしまい、それに伴って頭皮もたるみ、しかも柔軟性がなくなってきます。

すると重力に負けて下に垂れ下がるようになり、毛穴が広がったままになります。

これは、顔のほほあたりに開いた毛穴ができるのと同じ状態です。

毛穴には髪の毛をしっかり支える土台としての役割があります。

そのため、土台が緩むとブラッシングやシャンプーなどの刺激で髪が抜けやすくなってしまうのです。

毛穴が開くと雑菌の温床に

毛穴が開いてしまうことで起こるもう一つのトラブルは、雑菌の繁殖です。

毛穴内には皮脂腺がありますが、毛穴が開くと皮脂分泌量が増えてしまいます。

すると雑菌が繁殖しやすくなり、頭皮が炎症を起こしたり、毛穴内に入り込んで毛母細胞にダメージを与えてしまったりするのです。

また、女性にはあまり見られませんが、皮脂分泌量が増え過ぎると脂漏(しろう)性脱毛症を発症することもあります。

毛穴内に皮脂がびっしりと詰まってしまい、シャンプー程度では落とせなくなってしまい、脱毛の原因となるのです。

血管が硬くなって栄養不足に

頭蓋骨が痩せてもろくなってくるということは、全身のコラーゲンが減少しているというサインです。

コラーゲンには、血管をしなやかに保つ働きがあります。

血管が硬くなると血液を流す力が弱くなるため、血流不足となります。

すると頭皮に充分な栄養が届かなくなるため、細く弱い毛になったり成長が止まって抜けてしまったりするのです。

また、カルシウムの99%は骨に含まれており、骨は貯蔵庫の役割もあります。

カルシウムの摂取量が減ると、骨内のカルシウムが溶けて血中に送られるようになっています。

しかし、常にカルシウムが不足すると身体はカルシウム不足を補おうと骨内のカルシウムをどんどん溶かしてしまいます。

これが血中に流れ込むと血管壁に付着し、血管を狭く硬くしてしまいます。

日本人はカルシウムの摂取量が不足しており、推奨量が650mg/日なのに対し女性は約497mg、男性は514mg(平成30年国民健康・栄養調査による)と、全く足りていません。

そのため、骨粗しょう症になりやすいだけでなく、血液の流れが悪くなって薄毛や抜け毛を引き起こす原因となるのです。

頭蓋骨の老化を防ぐには

頭蓋骨の老化を食い止め薄毛や抜け毛、シワやたるみを予防改善するには、骨密度や骨質をアップさせることが重要です。

その方法をいくつかご紹介しましょう。

適度な運動を心がける

運動というと筋肉を動かすというイメージがありますが、実は身体は骨・関節・筋肉がうまく連携することで初めて自由に動かせるようになっています。

そのため、アスリートがケガなどで一時期運動を休止すると、筋肉が減るだけでなく骨密度や骨質も低下してしまうことがわかっています。

そこで、常に骨に刺激を与えるために、適度な運動を行なうようにしましょう。

骨に刺激が加わると新陳代謝が良くなり、新しい健康な骨を維持するのにとても効果があるのです。

特に骨に重力がかかるウォーキングやジョギングがおすすめです。

また、筋トレも筋肉を通して骨にも刺激が伝わるので、効果的です。

筋トレをする場合は、特に上半身を中心に鍛えると良いでしょう。

なお、運動はできるだけ日光を浴びながら行なうようにしましょう。

紫外線にはカルシウムが骨に沈着するのを促進する、ビタミンDを合成する作用があるのです。

1日20分程度であれば、紫外線を浴びることはむしろメリットになります。

骨密度や骨質をアップさせる栄養素を摂る

骨密度のアップはカルシウムやビタミンDを、骨質は大豆製品やビタミンB群を摂取することが大切です。

そこで、以下の食材を積極的に摂りましょう。

・カルシウム…しらす干し、あゆ、いわし、さば、チーズ、厚揚げ、豆味噌、油揚げ、モロヘイヤ、京菜 など

・ビタミンD…しらす干し、いわし、サケ、にしん、サンマ、うなぎ、きくらげ など

・ビタミンB群…レバー、魚介類、豆類 など

・大豆製品…納豆、豆腐、厚揚げ、油揚げ、湯葉、醤油、味噌、豆乳、きな粉 など

特に大豆製品はビタミン、ミネラルとも豊富なので、毎日の食事で必ず摂ることをおすすめします。

頭部のマッサージもこまめに

頭部の骨を集中的に鍛えるには、マッサージが最適です。

特に頭頂部は筋肉がないため、放置するとどんどん頭蓋骨の老化が進んでしまうのです。

頭蓋骨への刺激はそれほど強くする必要はなく、頭皮マッサージをすることで充分刺激が伝わります。

下から上、横から斜め上方向に、軽く叩いたり指を頭皮に固定して円を描くように動かすと良いでしょう。

まとめ

頭蓋骨が老化するのは不可避で、特に女性は加齢とともにエストロゲンが減るため、骨の密度や質が低下しやすくなっています。

しかし薄毛や抜け毛、シワやたるみの原因になるのですから、老化を少しでも遅らせたいものです。

カルシウムやコラーゲンを摂取したり、日光を浴びたり、適度な運動をしたりすることで効果が出やすいので、毎日の習慣にしましょう。