人間の髪は、ヘアサイクルにより成長期や休止期などを繰り返して髪が伸びたり抜けたりするため、普段からある程度の抜け毛がみられます。
しかし中には思わぬ病気が隠れており、それが抜け毛や薄毛の原因となっていることがあるため注意が必要です。
そこでここでは、抜け毛が増え薄毛になる原因や、病気が疑われる場合の薄毛の症状について詳しく見ていきます。
髪が抜け薄毛になる原因は?
まずは、病気以外で女性が薄毛になる原因としてはどんなものがあるのかについて見ていきたいと思います。
加齢による女性ホルモンの減少
女性は年齢を重ねて更年期を迎えると、女性ホルモンの分泌量が急激に減少して、抜け毛や薄毛が起こります。
また女性ホルモンの減少に伴い比男性ホルモンが増加すると、ジヒドロテストステロンという物質が発生し、健康な髪の成長を妨げてしまう場合があるため注意が必要です。
食生活や生活習慣の乱れ
外食する機会が多かったり、ファストフードやスナック菓子などばかり摂っていたりと、たんぱく質やビタミン、ミネラルなどの髪の成長に必要な栄養素が不足するため、薄毛や抜け毛の原因となってしまいます。
その他にも睡眠不足やストレスの蓄積、喫煙習慣、過度の飲酒や喫煙といった習慣がある方は要注意です。
また、女性の場合は過度なダイエットによりホルモンのバランスが乱れ、頭皮に栄養素が届かなくなり髪が抜けてしまうケースもあります。
さらに仕事や家庭での問題などによりストレスを抱え、頭皮が血行不良となり薄毛になる場合もあるため注意が必要です。
ですから普段からできるだけ栄養バランスの取れた食事を心がけたり、無理なダイエットはせず、うまくストレス発散することなどが大切です。
紫外線の刺激
外出する際に、頭皮や髪には特に何もしていないという方は実は多いのではないでしょうか。
しかし頭皮も肌と同様に、紫外線の影響により日焼けしたり、刺激により赤みなどの炎症を起こしてしまうため、日傘や帽子、日焼け止めスプレーなどで予防するようにしてくださいね。
シャンプーの選び方ややり方の間違い
今使っているシャンプーの洗浄力が強すぎたり、頭皮に合わない成分が含まれていると、頭皮が乾燥しやすくなったり炎症を起こすなど、頭皮環境の悪化につながります。
またシャンプーのすすぎが足りないと、頭皮の毛穴のつまりなどにより髪の成長を阻んでしまうことがあります。
さらにシャンプー後の髪を濡れたまま放置していると、頭皮に雑菌が繁殖しやすくなったり、キューティクルが開いたままであるため髪が痛みやすくなってしまうため注意が必要です。
ですから自分の頭皮に合ったシャンプーを選んだり、シャンプー後にはきちんとシャワーで洗い流して、しっかりドライヤーで乾かすことが大切であると言えるでしょう。
パーマやヘアカラーなどよる影響
パーマやヘアカラーのしすぎは髪や頭皮へのダメージにつながり、薄毛の原因となります。
普段からヘアカットやヘアアレンジなどを工夫し、パーマやカラーリングの回数を減らしておしゃれを楽しむのもひとつの方法ですよ。
病気の疑いがある自分の薄毛の症状とは?
抜け毛が増え体調不良もあるという場合は、生活習慣やストレス以外にも、病気などが引き金となり薄毛になっている可能性が考えられます。
では、どんな症状の場合に病気の心配があるのか詳しく見ていきましょう。
女性男性型脱毛症(FAGA)
抜け毛が増え薄毛になるとともに、ニキビが増えたり月経不順が起きている場合などには、女性男性型脱毛症である可能性があります。
女性男性型脱毛症は、女性ホルモンの分泌量の減少とともに男性ホルモンの分泌量が増え、ホルモンバランスが乱れることで引き起こされます。
特徴としては、髪が細くなったり、頭頂部を中心に全体的に髪が薄くなることが挙げられます。
脂漏性皮膚炎
頭皮が赤く炎症を起こしていたり、フケが多く見られる場合には、脂漏性皮膚炎である可能性があります。
特に皮脂の分泌量が多い箇所に発症する脂漏性皮膚炎は、赤みや炎症などを引き起こす病気であり、原因は汗やマラセチアというカビの存在であると言われています。
ごく初期であれば、こまめなシャンプーや食生活の見直しなどにより症状を改善することができます。
ただしシャンプーの際には頭皮に優しい成分の配合されている商品を使い、強く擦りすぎないようにしましょう。
また日々の食生活においては、ビタミンB群を多く含む食材を意識して多く摂取し、脂質や糖分が多く含まれている食品や、刺激となる香辛料やアルコールなどを摂るのは控えた方がいいでしょう。
重症化すると湿疹ができたり、抜け毛が増え薄毛が進行してしまうため、早めに専門医を受診するようにしましょう。
円形脱毛症
円形脱毛症とは、文字通り頭皮に円形や楕円形の脱毛が突然生じる疾患です。
ある日突然何の前触れもなく、髪がまとまって抜け始めるのが特徴的であり、脱毛部分は10円玉大ぐらいのものから、頭部全体に広がるものや、眉毛やまつ毛、体毛などが抜けてしまう重度のものまでその症状はさまざまです。
比較的ゆっくりと症状が進行するFAGAと比べて、進行するスピードが速いのも円形脱毛症の特徴のひとつとなっています。
男女ともに発症する可能性があり、また一度回復しても再発してしまう確率が高い病気でもあるためくれぐれも注意が必要です。
円形脱毛症の原因として有力であるとされているのが、自己免疫疾患です。
自己免疫疾患とは、外部からの侵入物を攻撃することで私たちの体を守ってくれている免疫系に異常が生じ、自分の体の一部分を異物とみなして攻撃してしまう病気です。
円形脱毛症は、Tリンパ球が毛根を異物と間違えて攻撃してしまうために発症し、それにより健康な髪でさえ突然抜け落ちてしまいます。
甲状腺機能低下症
顔がむくみ体重が急に増えたり倦怠感が強い場合には、甲状腺機能低下症の疑いがあります。
甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの働きが低下することで全身の代謝機能が抑制され、体にさまざまな不調が表れる病気です。
女性がかかりやすい病気でもあり、髪以外にもまゆ毛が抜けてしまうこともあります。
このような症状がある場合には、できるだけ早く専門医を受診することをおすすめします。
病気による薄毛の改善にはどれぐらいかかるの?
病気による薄毛は、もちろんすぐに改善できるということわけではありません。
病気の症状や進行度などによりそれぞれ異なり、長く時間がかかる場合もあります。
ヘアサイクルによると、髪が成長期にある程度伸びるまでには2~6年かかると言われています。
さらに、一旦髪が抜け落ちた毛根から新しい髪の毛が生えてくるまでには、一般的にはだいたい2~3ヶ月はかかります。
正常なヘアサイクルでもこれだけの時間がかかるのですから、病気を治療しさらに薄毛を改善するためには、やはりそれなりに時間がかかると考えていた方がいいでしょう。
発毛クリニックなどの専門医により処方される治療薬のほとんどは、使用し始めてから約4ヶ月以上経過した頃より効果が現れ始めるとされています。
そのため病院での薄毛の治療は、最低でも4ヶ月以上継続することが必要となります。
まとめ
急激に薄毛が進行した場合などには、生活習慣の乱れなどの原因の他にも、病気から抜け毛が起き薄毛になっているケースもあるため注意しなければなりません。
ですから急に薄毛を抜け毛が増え薄毛が気になるようになったり、その他にも体調不良を伴う場合には、まず原因を知ることが大切です。
最近は女性の脱毛症や薄毛を診療しているクリニックなどもあり、また皮膚科などで診てもらうという方法もあるため、ぜひ一度専門医に相談してみてはいかがでしょうか。