最近ピリピリしびれるような頭痛が起こる…そんなことはありませんか?それはもしかしたら頭痛ではないかもしれません。
最近、美容院で「頭皮神経痛」あるいは「後頭神経痛」と呼ばれる症状を訴える女性が増えています。
これが、薄毛や脱毛の危険性があるかも、といわれているのです。
頭皮神経痛(後頭神経痛)とは
頭に痛みがあると「頭痛」と思いますが、「頭皮神経痛」は頭というより頭皮に起こる痛みです。
「頭皮神経痛」は一般的に呼ばれている言い方で、正式な名称は「後頭神経痛」です。
頭皮神経痛の症状
正式名称の通り、主に後頭部に起こる痛みで、このような症状が起こります。
・頭皮にピリピリ、チクチクした、電気が走ったような痛みが起こる
・痛みの度合いは人によって違い、かすかなしびれ程度の場合も激痛の場合もある
・突然痛みが起こりすぐに消える人もいれば、数時間続く場合もある
・押すと痛みが強くなる
・左右片側の場合も両側に出る場合もある
・片頭痛や緊張型頭痛と違い、吐き気やめまいは起こらない
ちょっとしたピリピリ感程度なら頭痛との違いがわかりますが、激痛になると判断が難しくなります。
そのため、頭痛薬を飲んでしまう人が多いようです。
実際、病院でも一般的な鎮痛薬を処方することが多いのですが、頭痛ではなく「神経痛」なので、自己判断で市販薬だけで済ませていると、悪化してしまうこともあります。
頭皮神経痛が起こる場所
頭皮神経痛は後頭部の頭皮や筋肉の神経に問題が起きて発生する症状です。痛みのある部分によって3つに分かれます。
・大後頭神経痛:髪の生え際あたりにある出っ張りを通り上下に伸びる大後頭神経に添って起こる痛み
・小後頭神経痛:頭の側頭部に起こる痛み
・大耳介神経痛:耳の下から頬に向かって伸びる大耳介神経に添って起こる痛み
3つの神経とも首の後ろの筋肉の間から伸びていて、場所が違っても原因は同じと考えられています。
多くの場合、耳の後ろが痛くなることから始まり、後頭部から頭頂部へと縦方向に痛みが移動します。
頭皮神経痛が起こる原因
現在のところ、以下の原因が考えられています。
・姿勢の悪さからくる神経の圧迫
・肩こり
・天候
・ストレス
・睡眠不足
・貧血
・甲状腺ホルモンの異常
・首の骨の異常
・ケガや手術の後遺症
・帯状疱疹などの感染症
特に多いとされるのが、姿勢の悪さから来る首や肩の血管の圧迫、天候、睡眠不足、ストレスです。
姿勢の悪さから来る神経の圧迫
パソコンを使用している時の姿勢が、大きな原因になっていると考えられています。
パソコンのモニターを使用者の正面ではなく左右どちらかにずれた位置に置いていると、身体は正面、首だけモニター画面とひねった姿勢になります。
この姿勢は左右の大後頭神経、小後頭神経、大耳介神経それぞれの片方だけが引っ張られ、もう片方は頭蓋骨と首の骨に挟まれる形となります。
それが長時間続くと神経が緊張し、それが痛みを引き起こすのです。
引っ張られる側あるいは挟まれる側だけが痛む人もいれば、両方も痛む人もいます。
また、スマホの長時間使用でずっと同じ姿勢を取り続けることも、原因の一つと考えられています。
人間は無意識のうちに音などに反応して顔を上下左右に動かしますが、スマホを凝視しているとその動きがほとんどなくなります。
ずっと斜め下を向いているため、大後頭神経、小後頭神経、大耳介神経がずっと引っ張られてしまうため、筋肉が緊張します。
すると神経が圧迫されて痛みが起こるのです。
天候の変化による痛み
頭皮神経痛を訴える人は、雨が降る前日に増えることが多いとされています。
これはどの神経痛も同じですが、天気が変わる前の気圧の変化で症状が起きるのです。
その原因としては、気圧の変化が起こると体内の圧力が自動的に調整されますが、それがうまく行かない、いわゆる気象病のためと考えられます。
睡眠不足
睡眠不足が続くと、身体は充分休息できなくなります。
睡眠中は成長ホルモンが分泌され、脳内の不要な情報を消し去ったり、内臓を休ませ、細胞の修復や新陳代謝の促進を行なったりしています。
しかし睡眠不足が続くとこのホルモンが分泌されにくくなるため、疲れが残ってしまいます。
すると筋肉がこわばり、硬くなった筋肉に神経が圧迫され、痛みを起こすのです。
ストレス
ストレスが起こると、交感神経のスイッチが入り筋肉を硬くしてしまいます。
するとその筋肉に挟まれたり押しつぶされたりした神経が痛みを発するのです。
さらに、ストレスが起こると、神経伝達物質のセロトニンやアドレナリンといった、痛みの感じ方を弱める物質の分泌量が減ることがわかっています。
そのため、神経が過敏になって痛みを感じてしまうこともあります。
頭皮神経痛が薄毛や抜け毛の原因となる可能性
頭皮神経痛が知られるようになってきて、薄毛や抜け毛との関係もあると言われるようになりました。
その理由は、頭皮神経痛と薄毛の原因がほぼ同じだからです。
詳しく見ていきましょう。
姿勢の悪さから来る血管の圧迫
髪の毛は頭皮から生えていますから、頭皮の状態が悪ければ髪は生えにくくなります。
パソコンやスマホの長時間使用で、猫背や首の骨が真っ直ぐになるストレートネックになると、5キロ前後はある頭の重みが首にかかるため、首やそれを支える肩が常に緊張してしまいます。
すると首こりや肩こりが起こり、硬くなった筋肉が血管を圧迫してしまいます。
その結果、頭皮に充分な血液が届かなくなるため、髪の毛が抜けやすくなったり細いまま成長しにくくなったりするのです。
睡眠不足
頭皮神経痛のところでも書きましたが、睡眠不足になると成長ホルモンの分泌量が減ります。
すると日中紫外線や外的刺激でダメージを受けた頭皮の毛母細胞の修復や新陳代謝が、正常に行なわれなくなります。
毛母細胞は髪を産み、伸ばす働きがあるのですが、その機能が低下してしまうのです。
頭皮神経痛を改善するには
頭皮神経痛は神経が圧迫されて起こるものですから、その圧迫が取れない限りずっと痛みが起こる可能性があります。
また、いつ来るかわからない痛みにストレスを感じると、自律神経の乱れがひどくなり、肉体的にも精神的にもトラブルが起きやすくなります。
そこで、神経痛を改善するために、以下のことを行ないましょう。
痛む部分を温める
根本の原因は筋肉が硬くなって神経を圧迫していることですから、痛む部分の筋肉を柔軟にしてあげれば痛みは軽減されます。
濡らしたタオルをレンチンして温めて患部に当てたり、湯船に首まで浸かって筋肉のコリをほぐしたりしましょう。
仕事や家事の合間に首のストレッチをする
首をゆっくり反らし、限界まで行ったら5秒ほど静止します。その後ゆっくり戻って今度は前下方向に下ろし、また5秒ほどそのままにします。
その後ゆっくりと正面まで戻します。
左右も同様に、痛みを感じるギリギリまで倒し、戻し、反対側に倒すことを繰り返します。これを上下左右各5回ほど行ないます。
このストレッチの際は、猫背にならないように注意してくださいね。
肩のストレッチも効果的
現代人は、肩の筋肉をあまり使わなくなっています。
そこで、椅子に姿勢を正して座り、両手を膝の上に置いた状態で、肩を前から後ろに回し、その後後ろから前に回すストレッチも効果的です。
各5~10回繰り返しましょう。
すぐにでも痛みを和らげたい場合は
耐えられないほどの痛みが起こった時は、一番痛い部分を親指で力いっぱい5秒押しては離すことを数回繰り返すと、神経の興奮がおさまって痛みが軽くなります。
まとめ
最近、これまでとは違うピリピリする頭痛が起きる、と感じたら、頭皮神経痛かもしれません。
放置しても改善するケースも少なくありませんが、中にはずっと繰り返し起こるようになり、手足までしびれが来たり首を少し動かしただけで痛むようになったりする場合もあります。
薄毛や抜け毛の原因にもなりますから、今回ご紹介した改善法を試し、それでも効果がない場合は病院に相談しましょう。