自分の頭の温度が何度くらいあるのか、ご存知ですか?
「おでこは熱を診る時に結構手を当てるけれど、頭はじっくり触ったことがない」という人がほとんどではないでしょうか。
しかし、頭皮の温度によっては、薄毛の前兆の可能性があるのです。
頭皮の温度は体温より1℃~3℃低めが正常
体温は身体の中心部にいくほど高くなり、脇の下より1℃程度高くなります。
その一方頭皮は末端なので、1℃~3℃程度低いのが普通です。
頭皮や手足など末端部分は外気の温度に左右されやすいため正確に測ることはできませんが、室内で測ると大体その程度の温度差が出るのです。
一度、手で頭皮を触ってみてください。もし指よりかなり温かいと感じたら、頭皮が熱を持っている可能性があります。
頭皮が熱を持っているのは血行が良いということでは?
温かい=血行が良いというイメージがありますが、実は関係ありません。
血行が良いことと熱を持つことは、全く別のことです。
脳内の視床下部という部分は体温を調節する機能があり、たとえ頭部の血行が良くなっても、熱を持つことはないのです。
確かに、血液には熱を運ぶ働きがあります。
しかし血液は絶えず流れているので、頭皮だけに熱が運ばれて温度が高くなることは通常あり得ないのです。
頭皮が熱くなる原因とは
熱がある訳でもないのに頭皮が熱いという場合、以下のような原因が考えられます。
下半身が冷えている
これは冷え性の女性に多い症状です。
冷えによって下半身の血管が収縮してしまうため、上半身に血液が集まり、その結果「頭熱」という状態を引き起こすのです。
いわゆる「のぼせ」や「冷えのぼせ」の状態となり、下半身は冷えているのに頭部が熱くなって汗が出たり、顔が紅潮したりします。
ストレスによる自律神経の乱れ
自律神経には交感神経と副交感神経があり、ストレスが溜まると交感神経が活性化し、脳や筋肉に血液が集まるようになります。
これはストレスに対処するために、脳をフル回転させ、筋肉で相手に立ち向かおうとする、あるいは逃げようとするための自然な反応です。
しかし、ストレスが長引くと常に交感神経が活発になっているため、血液がいつも頭部に集まっている状態になり、熱がこもってしまうのです。
女性ホルモンの分泌量の減少
女性ホルモンは30歳前後が分泌量のピークで、それ以降は減っていきます。
これは加齢に伴う自然な現象なのですが、脳はそれを判断できません。
そのため、視床下部という部分がもっと分泌するようにと指令を出します。
しかし卵巣にはその機能がなくなっているため、視床下部は絶えず指令を出し続け、暴走します。
すると、視床下部の他の働きが影響を受けてしまうのです。
視床下部は自律神経や体温調節をする部分でもあります。
つまり、女性ホルモンの分泌量低下によって自律神経や体温調節機能が狂い、頭部に熱がこもりやすくなるのです。
更年期障害のホットフラッシュがよく起こる例で、頭部や顔面に熱感が起き、発汗や脈が上がったりしやすくなります。
慢性的な睡眠不足や質の悪い睡眠
人間の身体は体内時計が支配しており、1日のリズムが決まっています。
例えば、朝に日光を浴びると交感神経が活性化し、日が暮れると副交感神経が優位になるのです。
しかし、不規則な睡眠や睡眠不足、質の悪い睡眠が続くと、体内時計が狂って自律神経のバランスが乱れてしまいます。
すると体温調節機能もおかしくなり、頭部に熱がこもってしまうこともあるのです。
紫外線を長時間浴びた・帽子で蒸れた
頭部は全身のうちで最も直射日光を浴びる部分です。
そのため、日焼けによって頭皮が炎症を起こし、熱を持つことがあります。
また、紫外線を防ごうと帽子を長時間かぶっていると、蒸れて熱がこもることもあります。
頭皮が熱いと薄毛になる?その理由
頭皮が熱くなる原因は様々ですが、それによって起こる症状は同じで、それが薄毛の原因となります。
紫外線によって皮脂が酸化する
頭皮が熱を持つと毛穴が広がり、毛穴内部の皮脂腺の働きが活発になり、皮脂分泌量が増えてきます。
すると紫外線によって皮脂が過酸化脂質に変化し、頭皮の細胞を酸化させてしまいます。
すると毛穴奥にある髪を産み育てる毛母細胞の機能も低下するため、薄毛の原因となるのです。
雑菌が繁殖する
もう一つ、特に男性に多いのが雑菌のマラセチア菌の繁殖です。
頭皮にはこの菌が常在しており、表面を弱酸性に保っています。
しかし熱によって毛穴が広がり皮脂分泌量が増えると、それをエサに菌が大量発生してしまうのです。
するとこの菌によって毛穴内が炎症を起こし、かゆみや肌荒れ、フケの大量発生などが起こります。
これが悪化すると脂漏性皮膚炎となり、抜け毛が増えてしまうのです。
頭皮の炎症を抑える方法
頭皮の熱を放置すると、頭皮環境がどんどん悪くなり、薄毛や白髪の原因となります。以下の方法で頭皮の炎症を抑えましょう。
下半身を温める
頭部の熱を下半身に移動させる方法が手っ取り早く、かつ効果的です。
特に足首の血管は太く、この部分を温めるとすぐに血液が移動してきます。
温める方法は、自宅なら足湯が簡単です。両足が入る大きさの湯おけに少し熱めのお湯を注ぎ、充分温まるまでつけましょう。
また、湯船にお湯を半分程度張り、半身浴をするのも効果的です。下半身に水圧がかかると、血液が押し上げられて全身くまなく巡るようになります。
なお、血液の流れを妨げないよう、服はゆったりしたものを着用し、靴下は足首がきつくないものにしましょう。
下半身の筋肉を鍛える
血液は筋肉の動きに合わせて移動します。
そのため、下半身の筋肉量が増えるとその分血行も良くなるのです。
また、下半身には全身の筋肉の約7割が集まっているので、下半身を鍛えると基礎代謝もアップし、ダイエット効果も期待できます。
これまで運動をしていなかったという人は散歩やウォーキングから始め、徐々に軽いジョギングやサイクリングなどを取り入れていきましょう。
また、足の筋トレにはスクワットがお勧めです。
スクワット1回は腹筋100回分の効果があるとまでいわれ、下半身を中心に全身の筋肉を鍛えることができるのです。
回数は特に決まりはなく、ちょっとツライという程度でOKです。
ストレスを溜めない
「頭に血が上る」「怒りで顔が真っ赤になる」という言葉もあるように、ストレスは頭部の熱を上げてしまいます。
ストレスを完全に避けることは不可能ですが、溜まってしまう前に発散する方法を見つけましょう。
一番簡単なのは、長めの入浴です。
少しぬるめの湯船に15分ほど浸かっていると、血管が拡張されて血行が良くなり、頭部の血液が下に降りていきます。
すると副交感神経が優位になり心身がリラックスするのです。ぐっすり眠れるようになるので、体内時計も正常になりますよ。
その他、カラオケですっきりする、アニマルカフェで癒される、森林浴をする、たまにはスイーツバイキングで思い切り食べるなど、自分に最も合った方法を探してくださいね。
身体を温める食材を摂る
身体を温めると聞くと、唐辛子などの香辛料を思い浮かべるかもしれません。
しかし、実はこれらのほとんどは暑い土地に育つもので、汗をかくことで身体を冷やす作用があるのです。
そのため、特に冷え性気味の女性が摂ると、逆効果になります。
意識して摂っていただきたいのが、ごぼうやにんじんなどの根野菜、れんこん、玉ねぎ、味噌、醤油などです。これらには身体を温める働きがあるため、血行が良くなって頭皮に貯まった血液が全身に移動しやすくなるのです。
女性ホルモンをカバーするなら大豆製品を
女性ホルモンの分泌量は一生で決まっており、体内で増やすことはできません。
しかし、大豆に含まれるイソフラボンは女性ホルモンに似た作用があり、脳の視床下部の暴走を抑え、自律神経の働きを正常に近づけてくれるのです。
大豆そのものは身体を冷やす作用があるため、味噌や醤油を使ったり、豆腐を食べる時は湯豆腐にしたりするなどの工夫をしましょう。
まとめ
自分の頭皮が熱いかどうか、なかなか気づかないかもしれません。
しかし触ってみていつも指の温度より高いと感じたら、危険信号です。
特に女性の場合、冷え性から熱が頭のほうにこもってしまうことが多いので、常に下半身を温める、食事に気をつけるなどのケアをして、薄毛の予防に役立てましょう。