実は人間の髪や頭皮にはさまざまな種類の常在菌が存在しており、各々の役割を果たすことにより頭皮環境を正常に保つことができていると言われています。
しかし中には頭皮環境を悪化させ、抜け毛や薄毛を招く菌もいるためくれぐれも注意が必要です。
そこで今回は、頭皮や髪の常在菌の働きや共存していく方法について詳しく見ていきたいと思います。
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頭皮の常在菌とは?
人間の頭皮には、980億個もの常在菌が存在すると言われており、常在菌と一時菌の2種類の菌があります。
常在菌は善玉菌と呼ばれ、黄色ブドウ球菌などのブドウ球菌類、アクネ菌、マラセチア菌などの真菌類があります。
これらの常在菌はリパーゼという酵素を持っており、汗や体液を使って皮脂を溶かし、乳液状にしてら皮脂膜となって頭皮を保護し髪にツヤを与えてくれます。
またブドウ球菌類とアクネ菌は余分な皮脂を食べ、さらに余計な菌を増やさないよう体の耐菌性を高める働きを担っています。
真菌類とは角質の中に棲むいわゆるカビの一種であり、剥がれた角質を食べて分解し、新陳代謝を高める働きを持っています。
球菌類、アクネ菌は毛穴や毛の中に、真菌は角質に生息していると言われています。
一方で悪玉菌である一時菌は外部から付着します。
連鎖状球菌や大腸菌、枯草菌、緑膿菌などさまざまな種類があり、頭皮に付着すると急激に増加して頭皮のかゆみなどの原因となります。
しかし一時菌は、水またはシャンプーで洗い流すことで除去することができるため、あまり心配する必要はありません。
善玉菌である常在菌ですが、シャンプーのしすぎや体調不良などによって常在菌のバランスが崩れると悪玉菌になってしまい、フケや頭皮のカユミ、肌荒れや炎症が 起こってしまう原因となるため注意が必要です。
例えばアクネ菌が増え過ぎると、皮脂を食べて分解されてできた遊離脂肪酸が増えるため、アレルギー物質となってしまいます。
そうすると激しいかゆみや湿疹が出ますし、真菌が増え過ぎた場合は新陳代謝が活発化してするため、フケが増え頭皮環境の悪化を招きます。急増します。
頭皮にはダニが潜んでいる?
毎日シャンプーをして髪をどんなに清潔に保っていても、実は人間の顔や頭皮などにはダニが存在しています。
特に髪には、なんと約30万匹もの皮膚ダニがいると言われています。
皮膚ダニについてのは余分な皮脂を食べ、頭皮を清潔に保つ働きがあります。
しかし皮膚ダニが増え過ぎると、悪玉菌と同じように頭皮に悪影響を及ぼします。
皮脂を食べすぎることにより頭皮が乾燥したり、抜け毛が増えるだけではなく、ダニの排泄物がアレルギー源となり、頭皮に激しいかゆみや赤み、湿疹やフケが見られるため、頭皮を清潔に保ち、適切な頭皮ケアを行うことが重要となります。
シャンプーのし過ぎにも注意
特に暑い夏の時期などには、頭皮の臭い対策として1日に2回以上シャンプーするという方もいるようです。
ところが髪や頭皮の洗い過ぎは、頭皮に存在する全ての菌を洗い流してしまい、かえって逆効果になる可能性があると言われています。
さらにシャンプーのしすぎは健康な皮脂膜まで破壊してしまうため、皮脂不足を補うために皮脂が過剰分泌され、毛根に詰まって酸化した結果、頭皮の臭いや湿疹、かゆみやフケの原因になってしまいます。
ですからシャンプーは1日1~2回に留めておくようにしましょう。
常在菌と共存し健康的な頭皮環境を保つためのポイントとは?
ここでは、常在菌や皮膚ダニと共存し、頭皮環境を整えるためにはどうすればよいかについて、詳しく見ていきたいと思います。
正しい方法でシャンプーを行う
頭皮に余分な皮脂や角質がついた状態のまま放置しておくと、悪玉菌が増える原因となります。
ですから正しい方法でシャンプーを行い、普段から頭皮を清潔に保つように心がけましょう。
またシャンプー後のすすぎが不十分だと、シャンプーやトリートメントの成分が頭皮に残ったままになってしまい、頭皮環境の悪化につながります。
ですから頭皮や髪に成分が残らないように、しっかりシャワーで洗い流してくださいね。
免疫力アップを心がける
ストレスや睡眠不足、運動不足や体調不良などで免疫力が低下すると、頭皮の悪玉菌が繁殖しやすい状態になります。
ですから免疫力を高めるように、規則正しい生活を心がけたり、適度な運動や栄養バランスの取れた食事を取るようにしましょう。
食生活を見直す
脂質の多い食事やカロリーの高い食事ばかり取っているとは、皮脂の分泌量が増え頭皮環境が悪化する原因となります。
菌や皮膚ダニのエサとなる皮脂を増やさないようにするためにも、野菜を多く使った体によい食事を取ることをおすすめします。
質のよい睡眠を取る
髪の成長に欠かせない成長ホルモンは、睡眠中に分泌されます。ですから質の高い睡眠を取るようにすることで、成長ホルモンの分泌を促し頭皮環境を正常に保つことができます。
午後10時~午前2時までが最も成長ホルモンの分泌量が多いと言われているため、質の高い睡眠を取るためには、この時間帯に6時間以上睡眠時間を確保するといいでしよう。
また就寝前に静かな音楽を聴いて、リラックスすると副交感神経が優位に働き、深い眠りにつきやすくなります。
仕事などで夜10時に寝るのがなかなか難しいといたい方は、最低でも毎日6時間程度の睡眠を確保することを心がけましょう。
また、寝る直前にスマホなどから出るブルーライトを浴びてしまうと眠りが浅くなり睡眠の質がさがるため、寝る直前のスマホ操作は控えるようにしてくださいね。
ストレスを溜めない
過剰なストレスは頭皮の血流悪化につながり、頭皮環境が悪化することにより抜け毛や薄毛の引き金となるため注意が必要です。
ストレスを適度に発散するためにも、趣味に打ち込む時間を作ったりウォーキングなどの有酸素運動を行うことをおすすめします。
飲酒や喫煙を控える
飲酒や喫煙習慣はお酒や体に負担をかけるだけではなく、頭皮の血行の悪化にもつながり、頭皮に髪の成長に必要な栄養素が行きとどかなくなってしまいます。
またお酒を飲みすぎると、アルコールを体内で分解する際に、髪に必要な栄養まで一緒に分解されてしまうため、週1〜2日は休肝日を作るようにしましょう。
またタバコを吸うことによりニコチンを過剰摂取すると、血管が収縮して血流が悪化し、頭皮環境の悪化や薄毛の原因となるため、できれば禁煙することをおすすめします。
頭皮マッサージをする
シャンプーの際に頭皮マッサージをすることで、頭皮が刺激され、血行促進につながるだけではなく、シャンプーの有効成分が頭皮の奥まで浸透しやすくなるといった効果が期待できます。
シャンプー後に後頭部から耳の後ろ、側頭部から頭頂部、前頭部というように指の腹を使ってやさしく揉みこみ、頭皮の血行を良くするイメージでマッサージを行うようにしましょう。
その際にツメを立てて強くマッサージをしてしまうと頭皮を傷つけてしまう可能性があるため、指の腹で優しく行うのがポイントです。
まとめ
頭皮の常在菌は髪を健康に保つためには欠かせないものですが、シャンプーのしすぎなどにより頭皮環境のバランスが崩れるとかゆみや湿疹、フケなどの原因となるため、くれぐれも注意が必要です。
頭皮環境を整え健康な髪を育てるためには、正しい方法でシャンプーを行ったり、免疫力を高める生活を心がけることが非常に大切であると言えるでしょう。