卵といえば、ほとんどの人がにわとりの卵を思い浮かべると思います。
卵は非常に栄養価が高く、健康維持にぴったりの食材ですよね。
しかし、実はあの卵よりうずらの卵のほうが栄養価が高く、その成分から薄毛に悩む女性により良い働きをしてくれるのです。
同じ卵でも鶏卵ほど注目されていないうずらの卵について、詳しく解説しましょう。
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「うずら(鶉)」ってどんな鳥?
うずらはキジ科の鳥類で、日本で野生を家禽(かきん)化した日本原産鳥です。
現在、日本のほかインド、タイ、韓国、台湾、中国などアジア圏に生息しており、冬になると温暖な地域に越冬します。
日本では、野生のうずらは主に北海道や東北地方と四国や九州を行き来していますが、中には朝鮮半島から越冬してくるうずらもいます。
また、飼育されているのは愛知県豊中市が最も多いのですが、環境省レッドリストによって絶滅危惧Ⅱ類に指定されており、生息数が減ってきています。
うずらはキジ科で最も小さく、全長が20センチ程度です。
5月~9月頃になると10個前後の卵を産みます。
1個10g程度と、普通の卵の5分の1程度の重さです。
うずらの卵の特徴的な模様は外敵から守るための保護色で、同じ雌が生む卵はすべてほぼ同じ模様をしています。
うずらの卵に含まれる成分
うずらには、炭水化物(糖質)と食物繊維以外のほとんどの成分を含んでいます。
詳しく見てみましょう。
ビタミンもミネラルも非常に豊富
タンパク質と脂質のほか、ビタミンA、ビタミンB1・B2・B6・B12、ナイアシン、葉酸、パントテン酸、ビオチンと全8種類のビタミンB群、ビタミンEなどのビタミン。
また、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、ヨウ素、セレンなどミネラルも非常に豊富です。
しかも、たった1個の卵でビタミンB12やセレンは1日の目安摂取量の約1/4も含んでいます。
また、鶏卵と比較すると、同じ重量でビタミンAは2.5倍、ビタミンB6は8.8倍、ビタミンB12は5.2倍、葉酸は2.1倍、鉄は1.7倍と、鶏卵よりはるかに栄養価が高いのです。
このように小さい中にたくさんの栄養素を含んでいるのは、うずらは生後1~2ヶ月で親鳥と離れて生活を始めるため、早く成鳥になる必要があるためだといわれています。
健康効果のある成分もたっぷり
うずらの卵には、以下の成分も含まれています。
・DHA(ドコサヘキサエン酸)
青魚に多く含まれる多価不飽和脂肪酸で、脳内に入り込める数少ない成分の一つです。
脳内では特に記憶力や判断力を司る海馬に多く集まっていることから、DHAは脳を活性化する働きがあると考えられています。
アルツハイマー型認知症患者に摂取させると、認知機能が向上したという結果も出ています。
さらに、血管の細胞膜を柔軟にして血流を良くする作用があり、動脈硬化の予防に役立つといわれています。
なお、鶏卵にもDHAは含まれていますが、うずらの卵の半分以下です。
・メチオニン
必須アミノ酸の一つで、硫黄を含む含硫アミノ酸の一種です。
肝臓に蓄積された老廃物や有害物質を排出したり、血中コレステロールの燃焼を促進し脂肪肝を予防したりする働きがあります。
また、アレルギーの原因となるヒスタミンを抑制し、症状を軽くするといわれています。
さらに、メチオニンはドーパミンやノルアドレナリン、セロトニンなど精神を安定させたり幸福感を高めたりする神経伝達物質の材料です。
そのため、メチオニンを多く摂取することでストレスを軽減する効果が期待できます。
メチオニンの量は鶏卵に比べ約2.9倍と、非常に多くなっています。
・グリシン
非必須アミノ酸の一種で、血管を拡張させて体表の体温を上げ、身体の奥の体温を下げる働きがあります。
人間は身体の中心の温度が下がることで眠気が来るようにできているため、グリシンは質の良い睡眠を取るために大切な成分です。
さらに、グリシンはコラーゲンの主成分です。
皮膚のハリや弾力はコラーゲンによって保たれており、不足するとたるみやシワが増えてしまいます。
グリシンを積極的に摂取することで、若々しい肌を保つ助けとなるのです。
うずらの卵の様々な健康作用
うずらの卵には、以下のような健康維持に効果的といわれる作用があります。
造血作用で貧血を予防
女性に多い貧血は鉄欠乏性貧血ですが、葉酸やビタミンB12が不足して起こる巨赤芽球性貧血もあります。
普通の赤血球より大きい巨赤芽球が作られ、息切れや脱力感、疲労、チクチクした痛み、筋力の低下などが起こります。
この症状がひどくなると錯乱を起こすこともあるといわれ、たかが貧血と放置しては危険です。
うずらの卵には葉酸やビタミンB12が豊富なので、巨赤芽球性貧血の予防効果が期待できます。
また、鉄分も鶏卵より豊富なので、鉄欠乏性貧血の予防にもなります。
抗酸化作用で老化や病気を予防
うずらの卵に含まれるミネラルのセレンは、抗酸化酵素の合成に必要な成分です。
脂質が酸化して細胞を劣化させる過酸化脂質を抑制させる、グルタチオンペルオキシダーゼという抗酸化酵素の原料の一つで、老化や病気の予防に効果があります。
しかし、抗酸化酵素は加齢とともに減少するため、うずらの卵を食べることでアンチエイジング効果が期待できるのです。
免疫力を高めアレルギー症状を緩和
うずらの卵には、アレルゲンとされるタンパク質のオボムコイドが含まれています。
しかしうずらの卵のこの成分は他の鳥類と違い、アレルギーを起こしにくい性質があります。
さらに免疫力を高めるとされ、ヨーロッパでは花粉症などの治療にも使われています。
枝毛や切れ毛を防ぐ
メチオニンは、髪の毛の主成分であるケラチンタンパク質を構成する18種類のアミノ酸の一つです。
含有量はわずか1~2%程度ですが、裂毛症という毛髪がもろくなる病気の人を調べると、メチオニンが不足していることがわかっています。
そのため、メチオニンは育毛に深く関係していると考えられています。
うずらの卵にはメチオニンが多く含まれているので、髪の正常な成長に良い効果が期待できます。
育毛促進効果がある
うずらの卵には、ビオチンというビタミンB群が同じ重量の鶏卵に比べ5倍以上含まれています。
ビオチンはアミノ酸の代謝を促進して髪の毛の成長を助ける作用があり、育毛剤にもよく配合されています。
うずらの卵を効果的に食べる方法
うずらの卵は栄養満点ですが、いくつでもどんな食べ方でも良いということではありません。
以下の注意点を読んで、正しく食べましょう。
固ゆでより半熟がベスト
小さいために火が通りやすく、あまり固ゆでにしてしまうとタンパク質やビタミンが変質してしまうといわれています。
沸騰したお湯に入れて2分半で半熟、3分で黄味がやや柔らかい程度、3分半で固ゆで状態になるので、3分以内がお勧めです。
1日の摂取量は?
うずらの卵の目安摂取量は、特に決まっていません。
また、鶏卵も以前は1日1個までといわれてきましたが、これはコレステロールが多いためあまり摂ると身体に良くないと考えられてきたからです。
しかし現在は2個以上食べても動脈硬化との関連性が認められないとして、個数制限はなくなっています。
しかし、いくら栄養バランスが良いとはいえあまり食べ過ぎると過剰摂取になる栄養素も出てきます。
そのため、鶏卵は2個程度が妥当だと考えられています。
そこから考えると、うずらの卵の可食部は8~10g、鶏卵は約45g(MS)~57g(L)なので、10個程度ということになります。
うずらの卵のニオイは餌によるもの
昔はうずらの卵というと独特のニオイがありました。
これは餌に水を混ぜたものを与え、餌受けに残った餌が発酵してしまったためだといわれています。
今は餌に水を混ぜる方法はほとんど取られなくなった上に、衛生管理が徹底されてきたため、臭うことはありません。
もし臭うとしたら、飼育管理ができていない農場で水を混ぜた餌を与えている可能性があります。
まとめ
日本ウズラ協会によると、うずらの卵の消費量は1年で一人当たり10個程度と、鶏卵が330個なのに対し1/30以下となっています。
最近は水煮などが手軽に手に入りますから、これだけ栄養価が高く健康にも薄毛にも良いうずらの卵を、もう少し積極的に食べてみてはいかがでしょうか。