ヘアケア

女性の髪には大切な役割が3つある!薄毛が進行する前に知ってほしいこと

生まれた時はほとんどなかった髪がいつの間にか頭皮全体を覆い、それが何十年と続く…。

不要なものであればヒトの進化の過程で退化していくはずですから、髪には私たちの健康に何らかの役割がありそうですよね。

今回は、髪の毛の役割について詳しく解説します。

大昔人間の全身は毛で覆われていた

ヒトは、猿人→原人→旧人→新人(ホモ・サピエンス)と進化してきました。

猿人の時代は全身が毛で覆われていました。

しかし、脳が発達するにつれて動物の毛皮や植物の繊維から作った布などをまとうようになり、徐々に身体の毛が退化していったと考えられています。

これは今から60万年ほど前のことで、地球が氷河期に入ったことで毛皮を身に着けたり布で住居を覆ったりするという知恵が生まれたためだろう、といわれています。

しかし、現在に至っても髪の毛は退化することなく存在しています。

それは、髪の毛には生命維持や健康維持に大切な役割があるからなのです。

その役割は3つあります。

髪の毛の役割その1:保護作用

髪の毛は、外的刺激から脳を保護するという非常に重要な役割があります。

この刺激は、大きく分けて3つあります。

気温からの保護

通常、脳内温度は約37℃に保たれており、それより上がり過ぎても下がり過ぎても脳の活動に支障が出てしまいます。

そのため脳内の視床下部には体温調節機能があり、一定に保たれています。

しかし、視床下部は自律神経や性ホルモンのコントロールなどの役割もあり、様々な要因によって機能が低下してしまうこともあります。

そんな場合でもできるだけ脳内の温度が一定になるよう、髪の毛が外気の温度から脳を守っているのです。

衝撃からの保護

何かにぶつかった時、髪の毛がクッションとなって衝撃を和らげます。

頭皮は幼児の頃は非常に柔軟性が高く、多少の衝撃を受けても皮膚がそれを吸収してくれます。

しかし加齢とともに頭皮が硬くなってくると、髪の毛が代わりに脳を守ってくれるのです。

髪の毛が太く密に生えているほど、脳への保護力は強くなります。

紫外線からの保護

髪は、脳が直接紫外線を浴びるのを防いでいます。

特に黒髪は紫外線を吸収する働きが強く、頭皮の奥まで透過するUVAをある程度まで阻止し、細胞のガン化を防いでくれるのです。

黒色が皮膚ガンに大きく関係していることは、白人の皮膚ガン(メラノーマ)罹病率が日本人の約8倍、黒人の約20倍ということからも推測できます。

髪の毛の役割その2:知覚作用

頭皮には様々な感覚受容器があり、毛穴奥の毛根部には毛包受容器があります。

この受容器は、髪の毛の動きや引っ張られた刺激などをすぐに感知し、脳に伝える働きがあります。

その働きによって、髪が刺激を受けた時に周囲の状況を判断したり、危険を脳に伝達し回避させたりしていると考えられます。

いわば「猫のヒゲ」と同じような働きをしているのです。

髪の毛の役割その3:排泄作用

よく覚醒剤の捜査で毛髪検査を行なうことからわかるように、髪の毛には有害物質が貯まりやすいという特徴があります。

必須ミネラルのカルシウムや鉄、リン、セレン、亜鉛、ナトリウム、マンガンなどの成分も含まれますが、それ以外に水銀や鉛、カドミウム、アルミニウム、ヒ素、有害な菌や乱用薬物なども蓄積されるのです。

誰の体内にも有害物質は蓄積される

私たちは、日常生活の中で知らず知らずのうちに有害物質を摂取しています。

それを排出してくれるのが、肝臓です。

肝臓には解毒作用があり、分解し無害なものにした上で、便の中に排出してくれるのです。

しかし、肝臓はタンパクの合成や栄養の貯蔵・代謝、胆汁の合成など多くの役割があり疲労が貯まりやすい上に、アルコールや高血圧によってさらに疲弊してしまいます。

そのため、肝臓に機能が低下していると有害物質が体内に蓄積されやすくなるのです。

日常生活で蓄積されてしまう有害物質

有害物質は、皮膚・肺・胃腸から吸収されます。

一例として、以下の物質が身近な製品に含まれています。

・鉛…一部のヘアカラー、ペンキ、缶詰の果物やジュース など
・水銀…水銀汚染された海や川で採れた魚貝類、歯科治療材料 など
・カドミウム…ペンキ、タバコの煙(副流煙含む) など
・アルミニウム…制汗剤、アルミ缶に入ったビールやジュース、アルミ製鍋で調理した食品 など
・ヒ素…殺虫剤、ワイン、魚貝類 など

この他、必須ミネラルではあるものの必要以上に蓄積されると、胃腸障害や肝機能障害、神経障害などを引き起こすとされている成分もあります。

特にセレンは流産や催奇性があることが知られています。

・銅…農薬、歯科治療材料、ビール など
・セレン(セレニウム)…魚貝類、卵黄 など
・リン…農薬、加工食品、清涼飲料水、ジャンクフード など

さらに、薄毛や白髪の人の髪には、ナトリウムが多いという特徴もあります。

これは腎臓の機能が低下しており、余分な塩分が体内に蓄積されている可能性が高いということです。

肝臓と腎臓はお互いの影響を受けやすい臓器で、どちらかが悪くなるともう片方の機能も低下する傾向があります。

すると有害物質が便と尿どちらによっても排出されなくなり、どんどん体内に蓄積されてしまうのです。

髪の毛は有害物質の排出器官

メカニズムは不明ながら、髪の毛には有害物質が貯まりやすいという特徴があります。

これは多分、髪の毛が生命維持に関係ないことや、内臓から遠い部分にあるからではないか、と考えられています。

特に肝臓や腎臓の機能が低下している場合は、髪の毛が有害物質を排出するためのメインの出口となり、身体を有害物質から守る非常に重要な役割があるのです。

薄毛になると様々なデメリットが出やすくなる

ここまででおわかりいただけると思いますが、髪の毛は私たちの健康を維持するためになくてはならないものです。

細毛や抜け毛が増え薄毛が進行すると、特に以下の点で大きなデメリットとなります。

紫外線の悪影響を直接受ける

紫外線には、細胞のDNAにダメージを与える働きがあります。

薄毛で紫外線を防ぎきれず、毛穴奥の毛母細胞まで届くと、細胞分裂や増殖機能が低下します。

その結果、ますます髪が伸びにくくなったり猫毛になったりして、成長途中で抜ける毛がどんどん増えてしまいます。

また、新しい髪を育てる機能も弱くなるため、髪が生えてこなくなる可能性もあるのです。

さらに、紫外線は活性酸素を発生させ、頭皮に増えると皮膚ガン、脳内に増えると機能の衰えや脳梗塞、脳内出血などの原因となると考えられています。

脳は最も大切な器官のためガード機能がついており、ビタミンCやビタミンEを始めとするほとんどの抗酸化物質が入り込むことができません。

そのため、髪が少なくなると脳内に活性酸素がどんどん増えてしまう可能性があるのです。

有害物質が脳に貯まりやすくなる

髪が減ると、様々な有害物質が頭皮や脳に蓄積されやすくなることになります。

例えば頭皮に蓄積すると、かゆみや炎症を起こし抜け毛が進行してしまいます。

また、脳には水銀が貯まりやすく、水俣病に代表される神経障害を発症しやすくなります。

ヒ素の場合は頭痛やめまいが出やすくなりますし、放射性物質が留まると活性酸素を放出し続けるため、脳の機能が低下してしまうのです。

さらに近年の研究で、アルツハイマー型認知症患者の脳にはアルミニウムや歯周病菌のジンジバリス菌が蓄積されているケースが多いことがわかっています。

この傾向は、特に薄毛の人ほど強いといわれています。

つまり、髪の毛が少ないほど有害物質が排出されず脳に蓄積されてしまい、様々な不調や病気を引き起こしやすくなるのです。

まとめ

加齢によって髪の毛が抜けやすくなったり細くなったりするのは、自然の摂理です。

しかし女性の場合はホルモンの関係で、男性のようにはげることはほとんどありません。

生活習慣や食生活の改善や運動、睡眠、ストレスの解消、女性用育毛剤の使用などによって、薄毛の改善は可能だといわれています。

見た目だけでなく脳を老化させる危険性もある薄毛の対策は、一日も早く始めましょう。