スマホを手放せない、仕事中や家事の途中でもつい気になって覗いてしまう、という女性は少なくありません。
しかし、スマホのし過ぎで肩こりや首こりがひどい、という人は要注意!
「ストレートネック」になっているかもしれません。
放置すると、薄毛の原因にもなるのです。
スマホと薄毛の関係、その対処法について解説しましょう。
スマホの長期使用が原因のストレートネックとは
「ストレートネック」とは「スマホ首」とも言い、その名の通りスマホのし過ぎで首が真っ直ぐになる症状のことを指します。
なぜそんな症状が出るのでしょうか。
本来首は湾曲している
人間の首は頚椎(けいつい)と呼ばれ、7つの椎骨でできています。
これを横から見ると、少し前方向にカーブしています。
このカーブは頭を支え姿勢を最も正しく保つためで、体重の10%程度といわれる頭部の重みがうまく首と肩に分散するようになっているのです。
頚椎のカーブがなくなる「ストレートネック」とは
しかし、最近このカーブがなくなり真っ直ぐになる「ストレートネック」の人が増えています。
中には逆の後ろ方向にカーブしてしまっている人もいます。
その大きな原因が、スマホの長時間使用です。
通常、スマホの使用時は目の高さまでスマホを持っていくのではなく、片方の手でスマホを持ち、首を前傾させて画面を見ています。
その時、5キロ前後はある頭は首だけで支えることになります。
それが長時間続くことで、頚椎に負担がかかりカーブがなくなってしまうのです。
特に女性は男性に比べて首の骨が細く、さらに筋肉が少ないため首をしっかり支えることができません。
そのため、ストレートネックになりやすいといわれています。
自分がストレートネックか調べる方法
ある調査では、日本人の8割以上はストレートネック、あるいはその傾向があるということです。
自分がどうか、こんな方法で調べることができます。
①壁を背にして、かかとが壁につくようにして自然な姿勢で立つ
②目線を真っ直ぐにし、正面を見る
③壁に接触している部分を確認する
この時、壁にかかと、お尻、背中(肩甲骨)、後頭部の4箇所がついているでしょうか。
もし後頭部がついていないなら、ストレートネックの可能性が高いです。
ストレートネックを放置すると
一度ストレートネックになってしまうと、自然に湾曲が戻ることはほぼありません。
それどころか首の前傾がひどくなり、ストレートネックも悪化してしまうのです。
その原因は、角度によって首にかかる重量が変化するからです。
真っ直ぐの状態の時に首にかかる負荷を頭部の重み5キロ程度とすると、15度前傾すると約12キロ、30度なら約18キロ、45度なら何と22キロもの負荷がかかるのです。
スマホを長い時間操作するほど首は前傾になり、30~45度になっている人は少なくありませんが、その状態は10キロのお米の袋を2個首に乗せていることになります。
この状態が長く続くと、首こりや肩こりだけでなく、頭痛や手の痺れ、頻繁な寝違え、不眠、腰痛など様々な不調が出やすくなるのです。
自律神経を乱す原因にも
自律神経は脳から始まって背骨を通り、全身に広がっています。
そのため、骨が歪むと自律神経も起点近くから歪み、周りの組織に圧迫されやすくなります。
すると交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、頭痛や動悸、めまい、倦怠感、不眠、下痢・便秘、生理不順、精通などの症状が出やすくなります。
さらに、イライラや落ち込み、集中力の低下、不安感など、精神面にも大きな悪影響を及ぼすのです。
ストレートネックは薄毛の原因になる
ここでは、ストレートネックが髪に及ぼす影響について見ていきましょう。
血行不良で髪に栄養が届かなくなる
筋肉のすぐ近くにある血管は筋肉の動きによって移動し、全身を巡っています。
しかしストレートネックになると肩や首の筋肉がこり、硬くなってしまいます。
すると血管も収縮するため血液が肩から上に流れにくくなり、栄養不足から髪が育たなくなってしまうのです。
ある調査によると、脳への血流量は前傾度によってこれだけ違うそうです。
0度…血流100%
10度…血流70%
20度…血流43%
30度…血流37%
脳にこれだけしか行かなくなるということは、当然頭皮にはもっと少なくなりますから、髪が栄養不足になってしまうのです。
毛細血管がなくなってしまう場合も
頭部は、耳あたりまでが太い動脈で、そこから枝分かれして毛細血管になります。
毛細血管は髪の毛の10分の1の太さしかないため、血液が流れなくなると徐々に消滅します。
これを「ゴースト血管」といい、その部分に栄養が届かなくなるため、髪が抜けやすくなります。
眼精疲労で側頭部の髪が減る
ストレートネックが及ぼす影響は、首や肩だけではありません。
スマホ画面を長時間見ていると、まばたきの回数が減るため目が疲労しやすくなります。
また、画面をじっと見ている時は目の周りの筋肉が緊張するため、眼精疲労を起こしやすくなります。
この状態を続けると目の周りにも血液が届きにくくなり、特にこめかみや側頭部の髪が細くなったり薄くなったりしやすいのです。
頭を動かさないので頭皮が凝り固まる
女性の薄毛は「びまん性脱毛症」と呼ばれる、頭部全体に起こるタイプが多いのですが、それでも目立つのは頭頂部です。
薄毛になると分け目が目立ちますし、髪のハリやコシがなくなるので頭頂部や前髪がぺしゃんこになりやすいのです。
実は、頭頂部には筋肉がありません。
そのため、元々血液が届きにくくなっています。
それに拍車をかけるのが、スマホの長時間使用なのです。
頭部には前頭筋、側頭筋、後頭筋という3つの大きな筋肉があり、それらが頭頂部の「帽状腱膜」という膜を引っ張っています。
そのため、スマホで同じ姿勢を取り続けると3つの筋肉がほとんど使われないため帽状腱膜も動かず、どんどん硬くなっていきます。
するとその上にある頭皮も凝り固まり、血管を圧迫してしまうため、血液が流れにくくなって髪の生育に問題が起きやすいのです。
ストレートネックを改善するには
ストレートネックは、放置するとどんどん悪化してしまいます。
予防・改善に良い方法をご紹介しましょう。
スマホ使用時は時々休みストレッチする
スマホの使用に慣れていると、首が前傾したまま長時間使っていても疲れを感じにくくなってしまいます。
ゲーム中はステージが終わった時やコマーシャルが流れた時など、ちょっとしたタイミングで身体を反らしたり腕を上に伸ばしたりして、身体の硬直を適宜ほぐすようにしましょう。
目を動かす
腕を伸ばして人差し指を斜め上に立て、上下左右に移動させます。
それを、顔は動かさず目だけで追うようにします。
この目の動きが首の緊張をほぐし、血行を良くします。
あご押し体操
あごに力をかけることで、首を伸ばすストレッチです。
①背筋を伸ばして座り、正面を向いてあごをぐっと引く
②あごを軽く掴むか指数本を置き、ぐっと後ろに押す。この際、あごが下に移動しないよう、頭から動かすようにする
③5秒ほどキープしたら手を離し、首の位置は変えないであごを上げ、天井のほうを見て5秒キープする
首振り体操
首の筋肉の柔軟性を高め、疲労が残りにくい状態にします。
①背筋を伸ばして座り、首もできるだけ真っ直ぐにする
②その状態で首をゆっくり右に倒す。無理に首を曲げるのではなく、頭の重みで自然に曲がるところまで倒してキープする
③左側も同様に行なう
④姿勢を戻し、身体は正面を向いたままゆっくり首を右に向ける
⑤反対側も同様に行なう
⑥最後に正面に戻る
首のストレッチ
肩を押さえ、首の側面をできるだけ伸ばす方法です。
①右肩の鎖骨から肩甲骨にかけての部分に反対側の手のひらを置き、動かないように固定する
②その状態でゆっくり上を向く
③その状態で首を右側に倒し、15秒キープする
④左側も同様に行なう
これらの運動の回数に制限はありませんので、気づいた時に行なうようにしましょう。
痛みを感じたらその部分で止め、無理に力をかけないでくださいね。
まとめ
ストレートネックは見た目にも良くなく、しかも肩こりや首こりだけでなく、薄毛の原因にもなります。
特に女性は男性に比べてストレートネックになりやすいため、あまり猫背になって画面を見ないようにし、時々ストレッチで首を伸ばしてあげましょう。