ヘナといえば、天然素材を使用した白髪染めとしてよく知られています。
オレンジ色の染料で、それだけではかなり明るく染まってしまいますが、インディゴ(藍)を混ぜることによってとても深みのある色に染まるのです。
しかし、ヘナの特徴は髪が染まることだけではありません。
つややかでハリのある髪になると同時に、抜け毛を防ぐ効果も期待できるのです。
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そもそもヘナとは?
最初に、ヘナとはどういうものか簡単にご紹介しましょう。
ヘナは植物から採れる天然色素
ヘナはミソハギ科の植物で、インドでは5,000年以上前からボディペイントに使われてきました。
ヘナの葉にはローソン(ローソニア)というオレンジ色の色素が含まれており、葉を粉にしたものをお湯で溶いて身体に模様を描くと、徐々に色落ちしながら数週間残るのです。
現在も冠婚葬祭の際にはよくボディペイントされ、その模様の豪華さによって貧富がわかるとされています。
また、インド伝承医学アーユルヴェーダでは、熱を冷まし身体をデトックスさせる万能薬として、また皮膚の抗炎症薬や防腐剤としても大変重要視されています。
ヘナで髪が染まる仕組み
ヘナには、タンパク質に絡みついて発色する性質があります。
髪の毛の表面を覆うキューティクルの隙間から入り込み、コルテックスという髪の中心部のケラチンタンパク質に絡みついて定着するのです。
ヘナ染めのメリット・デメリット
ヘナは天然の植物で、さらにアレルギーを起こす確率が低いといわれているので、肌が弱い人でも使用できるというメリットがあります。
また、髪が補修されてくるので髪にツヤやハリが出てきます。
しかし、オレンジ色の色素なので、何度使用しても黒く染まることはありません。
そのため、通常はインディゴ(木藍・藍)をプラスすることで黒に近づけていきます。
しかし、インディゴはヘナに比べるとアレルギー反応が出やすいため、すでにアレルギーを持っている人は必ず事前にパッチテストが必要です。
また、ヘナの一番のデメリットは染めるのに時間がかかることでしょう。
特に最初の頃は2~3時間かかり、しかも色落ちが激しくなかなか染まりません。
髪が補修されるに従って色持ちが良くなりますが、それまでの期間は人によって違うため、しばらくの間は辛抱が必要です。
ヘナは髪の健康や薄毛防止にも最適
ヘナには、カラーリング以外にも髪と頭皮に良い特徴があります。
一つずつ見ていきましょう。
頭皮の過剰な皮脂を取り除く
ヘナにはデトックス作用があり、頭皮や毛穴の余分な皮脂を取り除く働きがあります。
皮脂が過剰分泌されると雑菌が繁殖しやすくなり、かゆみや炎症の原因となります。
また、常在菌のマラセチア菌は皮脂をエサに脂肪酸を放出し、これが毛穴に入り込むと脂漏性皮膚炎を引き起こします。
さらに、皮脂が紫外線に当たると過酸化脂質に変化し、この成分も毛穴に入り込んで毛母細胞を変質させてしまいます。
これらの結果、頭皮環境が非常に悪くなり、髪が成長途中で抜けたり細いままになったりするのです。
ヘナは余分な皮脂を吸着しきれいに取り除いてくれるので、シャンプーしてもすぐ髪や頭皮がべっとりしてしまう人に非常に効果的です。
髪のダメージを補修する
ヘナで何度か髪を染めていると、段々手触りが良くなりさらっとしてきます。
これは、ヘナが髪のダメージ部分に浸透するからです。
髪がダメージを受けるとダメージホールができ、その部分から内部のタンパク質や脂質、水分などがどんどん逃げていきます。
そのため、その部分がパサパサになるだけでなく、水分が入り込みやすくなるため、その部分が強くうねったりクセが出たりします。
ヘナはダメージホールに入り込み、徐々にその部分に定着していくという特徴があります。
そのため、使い続けると髪の小さなデコボコが埋まり、うねりのない手触りの良いサラサラ髪になっていくのです。
さらに、ヘナを使っているとダメージが補修されるだけでなく、ネコ毛の人はハリが出て太くなり、クセ毛の人はボリュームが抑えられるなど、どんなタイプの髪質や状態でも良くなっていきます。
ただし、定着するといっても髪の一部に変化することはないため、使用を中止すればダメージホールからヘナが抜けていきます。
一度しっかり入り込むと吸着力が強いため、数か月は効果が持続するといわれています。
髪をコーティングして保護する
ヘナには髪の毛のケラチンタンパク質に吸着するので、髪全体をコーティングし、紫外線などの外気の刺激によるダメージを防ぐ作用があります。
これは、ヘナが栽培されている地域や育て方と大きな関係があります。
ヘナは主にインドの北西部で栽培されていますが、特に高品質といわれるのがラジャスタン州ソジャットのものです。
ソジャットは乾燥地帯で、1年のうち初夏~夏にかけての数週間以外ほとんど雨が降りません。
また、年間を通して気温が高く、さらに1日のうちで寒暖の差が激しい地域です。
例えば、1月は最低気温が5℃、最高気温が25℃前後になりますし、最も暑い5月~6月にかけては最低気温が25℃、最高気温が42~45℃近くになります。
このような厳しい気候の元で育つので、ヘナには紫外線や外気から受ける刺激から身を守るフラボノイドがたっぷり含まれています。
そのため、ヘナが髪や頭皮に浸透して紫外線による劣化から守ってくれるのです。
さらに、わずかな降水量の地域で育つため、水分をキープする力が強く、髪にうるおいを与えてくれます。
撥水効果で髪の広がりを防ぐ
ヘナを使用していると、外部からの水分を弾くようになってきます。
これは髪が本来の健康を取り戻したからで、自身の頭皮から分泌される皮脂が髪を覆い、天然のトリートメントとなったからです。
髪の毛の表面にはMEAというビロード状の組織があり、頭皮の皮脂がMEAを伝って髪全体に広がり、外部の刺激から守る働きをしています。
しかしMEAはたった一度のパーマや二剤式ヘアカラーの薬剤で8割は失われてしまい、再生することがありません。
しかしヘナを使い続けているとMEAが保護され、髪に皮脂が乗るようになり、水分を弾いてくれるようになります。
その結果、まとまりにくかった髪がしっとり落ち着いてくるのです。
ヘナを使用する際の注意点
ヘナは白髪染めとしてではなく、トリートメント剤として使うこともできる優れた製品です。
トリートメント剤として使用する場合は長時間放置する必要はなく、10~20分の使用でも十分効果が期待できます。
しかし、使用の前に知っておいていただきたいことがあります。
ヘナは髪の状態を非常によく反映します。
そのため、ダメージへアの場合はゴワゴワし、頭皮の皮脂が過剰な人はベトベトになることがあります。
これは一過性のものではありますが、人によっては1ヶ月近くその状態が続いてしまいます。
冷え性の人には合わないかも
ヘナは暑い地方で栽培されているので、身体を冷やす作用があります。
そのため、冷え性の人が使用すると寒気を感じることがあります。
偽物ヘナが販売されている
本物の100%ヘナは、適した産地で育てられたヘナの葉だけを粉にしたものです。
しかし中には適していない産地で栽培されたもの、茎まで入れたもの、砂をヘナ粉に似た緑色に着色したもの、合成着色料を配合したものなどがあります。
これらはインド国内で普通に流通しており、日本に輸入されたものの一部はそういった偽物です。
そのため、信頼のおけるお店から購入するようにしましょう。
まとめ
ヘナは白髪染めだけでなく、美髪効果の高い優れた天然成分です。
慣れないうちは塗りにくい、独特のニオイがする、髪がゴワゴワするなどデメリットのほうを強く感じるかもしれませんが、それを過ぎれば美髪に生まれ変わっていきます。
最初はヘナを扱う美容院で染めてもらうなどして、その効果を試してみてくださいね。