高野豆腐というと、地味な食材というイメージが強いですよね。
実際、よく食べるという人はそれほどいないようです。
しかし、高野豆腐は栄養が豊富で、しかも女性の薄毛の予防や改善に良いといわれる成分がたっぷり含まれているのです。
今回は、高野豆腐の栄養と期待出来る効果について、解説しましょう。
高野豆腐とは
高野豆腐とは、その名の通り高野山が発祥とされる豆腐の一種で、凍り豆腐ともいいます。
元々は豆腐を数日間夜間寒気の中に干し、さらに乾燥させたものですが、現在は冷凍庫で凍らせてから乾燥させています。
木綿豆腐を乾燥させると少しパサパサしたスポンジ状に、絹ごし豆腐を乾燥させたものは湯葉のようになります。
一般に出回っているのは、ほとんど木綿豆腐を乾燥させたもので、水を含ませても元の豆腐の食感とは全く違うものになっています。
なお、本来の作り方による高野豆腐は非常に硬く、戻すのに半日近くかかるため、現在は早く戻すため膨軟剤が添加されています。
また、乾燥した高野豆腐は1枚が15~20gですが、戻したものはその6倍程度になります。
高野豆腐の成分
高野豆腐には、元の豆腐とは違う栄養素がたっぷり含まれています。
その中でも代表的なものを挙げました。
レジスタントタンパク質(プロテイン)
市販の高野豆腐に「レジスタントタンパク質がたっぷり」などと書かれているのを見たことがあるかもしれませんね。
レジスタントタンパク質は日本人が発見した特殊なタンパク質で、食物繊維と似た働きがあり、消化吸収されず腸まで届き、コレステロールや中性脂肪を排出する働きがあります。
実験によると、高野豆腐を3週間食べた結果、中性脂肪やコレステロールが明らかに減ったと報告されています。
また、血糖値の上昇を抑えたり、満腹感を持続させたり、腸のぜん動運動を促進したりと、健康にもダイエットにも非常に効果的なタンパク質なのです。
高野豆腐には、原料である大豆の1.5倍ものレジスタントタンパク質が含まれています。
この理由は加工過程によるもので、凍結したり乾燥したりしているうちに普通のタンパク質から変化するのです。
また、レジスタントタンパク質は高野豆腐に含まれるタンパク質の約35%を占めており、身体を支える元となるタンパク質を摂りながら、同時に老廃物の排除もできるのです。
大豆イソフラボン
大豆イソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンに似た作用をする成分で、高野豆腐には豆乳の3.5倍ものイソフラボンが含まれています。
女性ホルモンは卵巣から分泌されますが、30歳頃から卵巣機能が落ちてくると、ホルモンの分泌量も減ってきます。
特に45歳頃から一気に減り、10年ほどかけてゼロに近くなります。(ただし、ゼロにはなりません)
これが更年期で、人によって更年期の分泌量の落ち込み方が違うため、更年期障害が出る人もいればほとんどないという人も出てきます。
そこで更年期にさしかかった女性におすすめしたいのが、高野豆腐です。
大豆イソフラボンは女性ホルモンが正常に分泌されている時は作用せず、減少した時に効果を発揮するという特徴があります。
そのため、摂り過ぎる危険性がなく、毎日摂取することで更年期障害を軽くする働きが期待できるのです。
カルシウム
高野豆腐1枚に約150mgと、1日の平均必要量の3割も含んでいます。
カルシウムは骨の主要成分で、姿勢を保ち内臓を保護する重要な成分です。
また、神経の伝達をスムーズにする働きがあり、ストレスが溜まりにくくしてくれます。
さらに、筋肉の伸縮を促進させる作用もあり、運動のパフォーマンスを上げるためにも大切な成分です。
特に女性は、骨粗しょう症予防のために高野豆腐を積極的に利用したいですね。
必須脂肪酸
高野豆腐には、必須脂肪酸が豊富に含まれています。
その多くは多価不飽和脂肪酸で、取り過ぎは良くないものの、不足すると血中コレステロールが増えたり、動脈硬化が起こりやすくなったりします。
高野豆腐には、脂肪酸がバランス良く含まれていて、生活習慣病の予防効果が期待できます。
この他、ナトリウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、マンガン、セレンなどが含まれ、非常にミネラルバランスが良くなっています。
しかも消化吸収率が96%と、大豆製品の中でも特に優れています。
ただ、高野豆腐にも難点があります。
ビタミンが、ビタミンK以外ほとんど含まれていないのです。
大豆そのものには非常に豊富なビタミンが含まれているのですが、加工によってなくなってしまいます。
そこで、高野豆腐を食べる時には、野菜や動物性タンパク質も一緒に摂ると良いですね。
高野豆腐が女性の薄毛に良い理由
これだけ豊富な成分が含まれているので、健康に良いことはおわかりいただけると思います。
では、髪にはどのような作用があるのでしょうか。
血液サラサラ効果で栄養が頭皮まで充分届く
欧米人ほどではないものの、近年日本人も動物性食品から多くのタンパク質を摂取しています。
肉には特にビタミンB群が豊富に含まれていて、髪の生育には大切な役割があります。
しかしその一方脂質も多く、蓄積されると中性脂肪やコレステロールになり、血液をドロドロにしてしまいます。
例えば、豚バラ肉は100g中脂質が約35gも含まれており、これだけで1日の目安摂取量の約6~9割にもなってしまいます。
その点、高野豆腐は脂質も比較的多いものの、レジスタントタンパク質の働きで脂質を抱え込み、排出してくれるのです。
さらに、エネルギー源として消費しやすくしてくれる作用もあります。
その結果、血液がサラサラになり、細い毛細血管を通って頭皮までしっかり届き、髪に充分な栄養を与えてくれるのです。
腸内環境を良くして便秘を防ぐ
レジスタントタンパク質は食物繊維に似た働きをして、腸内の善玉菌を増やす作用があります。
腸内に悪玉菌が増えると腐敗菌によって有害物質が産生され、これらが血液に乗って全身に運ばれてしまいます。
また、腸のぜん動運動が弱くなるため便秘になりやすくなり、ますます有害物質が蔓延してしまうのです。
当然頭皮にも届き、髪の成長を止めてしまいます。
高野豆腐を食べることで腸内環境が良くなると、老廃物や有害物質が排出されるので、栄養価の高い血液を頭皮に届けることができるのです。
イソフラボンが髪の毛の成長を助ける
女性ホルモンには、髪の寿命を伸ばし髪を健康に成長させる働きがあります。
男性より女性のほうが髪が太く寿命も数年長いのは、このホルモンの働きが大きいとされています。
しかし、30歳前後から分泌量が減ると、抜け毛や細毛が増えたりコシやハリがなくなってきたりと、髪トラブルが増えてきます。
高野豆腐に豊富に含まれる大豆イソフラボンは、女性ホルモンと似た働きをしてくれるため、健康な髪を育て維持する効果が期待できるのです。
高野豆腐を美味しく食べるには
高野豆腐は結構好き嫌いがあり、「スポンジを食べてるみたい」と感じる人もいるようです。
確かに、脂質が含まれている割にはパサつき感があるので、苦手意識があるかもしれません。
そこで、パサパサ感をなくして美味しくいただく方法をご紹介します。
こってり系
片栗粉をまぶし、とろみのある食感に仕上げます。
①高野豆腐に80℃前後のお湯をひたひたになるまで注ぎ、15分ほど置く
②冷めてから好みのサイズにカットする
③手で軽くしぼる
④片栗粉を全体にまぶす
⑤多めの油で揚げ焼きし、かりっとさせる
⑥調味料を熱し、その中に⑤を入れて煮詰める
あっさり系
高野豆腐は水か50℃以下のぬるま湯で戻すのが一般的ですが、熱湯で戻すと全く違ったプルプルの食感に変化します。
①鍋に水を入れ、沸騰させる
②火を止めて高野豆腐を入れ、蓋をして4~5分置く
または、
①鍋に水を入れ、沸騰させる
②沸騰したら高野豆腐を入れ、蓋をして強火で1分半煮る
せっかく栄養価が高く髪の毛にも良い食材ですから、美味しくいただく工夫をしてみてくださいね。