人間の髪の多くはたんぱく質からできていますが、その中の主成分がケラチンという物質であるということをご存じでしょうか?
そこでこの記事では、髪を構成しているケラチンとはそもそもどんなもので、また不足すると髪にどんな影響を与えるのかなどについて詳しく見ていきたいと思います。
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ケラチンとは?
人の体は20種類のアミノ酸から、髪は18種類のアミノ酸から成り立っており、ケラチンは髪や爪や、皮膚などの角質層を形成している成分となっています。
水分を多く含んでおり、弾力性がある繊維状の細長い形状がその特徴タであり、アミノ酸の含まれている割合により髪や爪などの硬ケラチンと皮膚の角質層の軟ケラチンの二つに分類されます。
ケラチンを合成するアミノ酸の中でも必須アミノ酸には、体内で生成することのできない成分であるため、ケラチンが不足すると髪の成長が遅れたり薄毛や抜け毛の原因になってしまいます。
ですから健康的な髪の成長を促し薄毛を防ぐためには、毎日の食事から意識してケラチンなどのたんぱく質を摂取する必要があります。
日本人女性は慢性的なたんぱく質不足?
20~30代を中心にダイエットする女性が増えている近年、無理な食事制限や一品だけを食べて減量を行うことなどにより、体調不良を訴えたりダイエットしてはリバウンドを繰り返す方が多くみられます。
間違った方法のダイエットを行うと、体の機能を正常に保ち髪を作るために必要たんぱく質などの栄養素の不足を招き、抜け毛を増やし薄毛を引き起こす原因となってしまいます。
動物性タンパク質と植物性たんぱく質
たんぱく質は大きく分けると、動物性たんぱく質と植物性たんぱく質に分類することができます。
肉や魚類、牛乳などの乳製品などから摂取できるたんぱく質のことを、動物性たんぱく質と言います。
動物性たんぱく質には必須アミノ酸が多く含まれているため、少量でも体に必要なアミノ酸が効率的に摂取することが可能となっています。
ストレスなどが原因で免疫力が低下したり、筋トレなどを行って傷ついた筋肉をできるだけ早く修復したいという場合には動物性たんぱく質を摂るのがおすすめです。
しかし高カロリーでコレステロールや脂肪分が多く含まれている食品も多いため、摂りすぎには注意が必要です。
一方で大豆製品などに含まれている植物性たんぱく質には油脂がほとんど含まれていないため、ダイエットや健康管理が目的で低カロリーの食事を摂りたいという際には、非常に理想的なタンパク質となっています。
また植物性たんぱく質を多く含む食品には、糖質や脂肪の代謝を助けるビタミンBやコラーゲンの合成を促すビタミンCなどの水溶性ビタミン、食物繊維が含まれているものが多く見られます。
健康的な髪を作り出すためには、摂取した食物を吸収して不要物を体外に排出する役割を担っている、腸内環境を整えることも非常に重要です。
腸内環境を良くすることは免疫力アップや新陳代謝機能の向上にもつながるため、頭皮環境を改善して薄毛や抜け毛を予防するためには、ヨーグルトなどの乳製品やキムチなどの発酵食品を摂り、腸内の善玉菌を増やすように心がけましょう。
ただし、植物性タンパク質のみでは全ての必須アミノ酸を摂取することはできないため、動物性たんぱく質と植物性たんぱく質の含まれている食材をバランスよく毎日のメニューに取り入れる必要があります。
たんぱく質のケラチン以外に薄毛予防に欠かせない栄養素とは?
以下では、たんぱく質以外に髪の成長を促進して薄毛や抜け毛を改善または予防するために必要な栄養素について、具体的に見ていきたいと思います。
ビタミンB群
ビタミンB群には、ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの8種類があります。
髪は頭皮にある毛母細胞が細胞分裂を繰り返すことにより成長しますが、その分裂を手助けする働きをしているのが、ビタミンB群となっています。
ただし水溶性ビタミンであるビタミンB群は尿と一緒に体外に排出されるため、普段の食事から定期的に摂取する必要があります。
ビタミンB2には髪の成長を促し、ハリやツヤを与える効果があると言われており、ビオチンが不足すると抜け毛の原因になるとされているため注意が必要です。
毛母細胞の細胞分裂を促し、頭皮を健康に保つために必要なビタミンAは、ケラチンの生成にも重要な役割を担っています。
ビタミンEには血液の流れをスムーズにする効果があり、頭皮の毛細血管を通して髪の成長に欠かせない酸素や栄養素を運ぶことが可能となっています。
抗酸化作用のあるビタミンCには、コラーゲンの生成を促す働きがあり、頭皮を健康な状態に保ってくれます。
ビタミンCは体内で生成することができず、一度に多く摂取しても必要なもの以外はすぐに体外に排出されてしまうため、ビタミンCが多く含まれている緑黄色野菜やフルーツなどを毎日の食事からこまめに摂るようにしましょう。
亜鉛
髪の主成分であるケラチン、つまりタンパク質を合成する役割を担っているミネラルの一種である亜鉛は、クエン酸やビタミンなどと一緒に摂取すると、体内への吸収率がアップすると言われています。
特に亜鉛を多く含んでいる牡蠣は、その他にもアミノ酸やビタミン群、鉄分など、髪に良いとされる多くの栄養素が含まれているためおすすめの食材です。
ただし亜鉛の過剰摂取は吐き気や下痢、さらには免疫障害を引き起こすきっかけともなるため、くれぐれも注意が必要です。
カルシウム
日本人の髪が黒いのは、メラニンという色素が多く含まれているからであると言われています。
カルシウムにはメラニンを生成するメラノサイトの働きを活発にする効果が期待でき、白髪予防にもよいとされています。
これはNG!髪の成長に悪影響を与える食品
長期保存が可能なハムやベーコン、ウインナーなどの加工食品には、リン酸塩という食品添加物が含まれており、ミネラルである亜鉛の体内への吸収を妨げて髪の成長に悪影響を及ぼすと言われています。
一方で同じハムでも生ハムにはアミノ酸が多く含まれているため、抜け毛や薄毛予防に良いだけではなく、白髪を防ぐためにも効果的であると言われています。
また精製された白砂糖が含まれているスイーツや菓子類は、やはり亜鉛の吸収を阻害し、さらに体を冷やす作用があるため、新陳代謝機能の働きを妨げて抜け毛の引き金になります。
スナック菓子も同様に髪に悪い影響を与えるだけではなく、塩分の過剰摂取にもつながり頭皮の血行を悪くする可能性もあるため、できるだけ摂るのは控えるようにしましょう。
さらにコーヒーなどによるカフェインの摂取は、交換神経を刺激し血液の流れを悪くしたり副交感神経とのバランスが乱れて眠れなくなってしまうこともあるため、多くても1日に飲むのは2~3杯にとどめておくようにしてください。
生活習慣を見直すことも大切
薄毛や抜け毛を防ぐためには食生活の改善はもちろんですが、毎日の生活を見直してみることも非常に重要です。
ストレスの蓄積は食欲不振による内臓の機能の低下や不眠などを招き、髪の成長に必要な栄養素が頭皮まで行き届きにくくなってしまう可能性があるため、自分なりのストレス解消法を見つけこまめに発散することが大切です。
また髪の成長に欠かすことのできない成長ホルモンは深い睡眠であるレム睡眠に入った際に多く分泌されると言われているため、質の良い睡眠を取り、できれば毎日6~8時間は睡眠時間を確保することが大切です。
適度な運動は、自律神経や女性ホルモンのバランスを整える働きがありまたストレス発散にもつながります。
さらに頭皮の血行を促し、毛母細胞に栄養素や酸素を届けたり毛細血管を増やす効果も期待できるため、ウォーキングやストレッチ、よがなど自分に合った方法で定期的に運動することをおすすめします。
まとめ
髪の主成分となっているケラチンは、多くの種類のアミノ酸で形成されているたんぱく質です。
しかしその中でも必須アミノ酸は体内で作り出すことはできないため、日々の食事から摂取する必要があります。
またアミノ酸に分解されケラチンを生成するためにはビタミン類や亜鉛なども非常に重要な栄養素であり、健康的な髪の成長を促し薄毛を防ぐためにもこれらは欠かせません。
ですから栄養バランスの良い食生活を心がけるとともに、無理なダイエットは避けて健康的な生活を送るようにしましょう。