身体の中には沢山の臓器がありそれぞれに役割がありますが、髪の毛に栄養をしっかりと届ける為に、まずは栄養をしっかり吸収させることが必要です。
その役割を持っているのが「腸」です。
《腸の主な役割》
・栄養の吸収
・不要なものを排出
・免疫力を保つ
小腸で栄養素を吸収し、大腸で水分を吸収し残ったものが便として排出されます。
つまり、腸が元気でないと栄養を摂ってもしっかり吸収することができないのです。
腸内細菌の役割
腸内環境を整えるというと、腸内細菌が大きく関わってきます。
腸内細菌は三つのグループに分けられると言います。
・善玉菌
・悪玉菌
・日和見菌
善玉菌は、腸内の毒素を無毒にし腸内を弱酸性にして免疫力を活性化する身体にとって役に立つ物質を作り出す役割があります。
悪玉菌は、病気の原因になる有毒物質を作り出す働きがあります。
日和見菌は、善玉菌と悪玉菌の間に立ち、腸内で強くなっている菌の味方をします。
普段は無害なのに、悪玉菌が増えている場合はその働きを手伝ってしまうのです。
腸内の菌のベストバランスは「善玉菌20%・悪玉菌10%・日和見菌70%」と言われています。
悪玉菌がいるからこそ善玉菌も頑張るという仕組みなので、悪いからといって全くなくなってしまってもいけないのですね。
歳をとるにつれて善玉菌は減り悪玉菌が増える傾向になりますので、より生活改善を意識して腸内環境を整える必要があります。
美しい腸内フローラを目指す
腸内を元気にすれば、栄養の吸収も滞りなく行われその栄養は身体の隅々まで届けられます。それは勿論頭皮にも。
先ほども書いた、「善玉菌20%・悪玉菌10%・日和見菌70%」という割合を保つことが腸内環境が整っている状態といえます。
腸内をカメラで見た時にまるで植物が群生しているようにみえることから「腸内フローラ」と言われます。
美しい腸内フローラを作りそれを美しいバランスのまま保つことが必要なのです。
《美しい腸内フローラを作る為に》
・食事改善
野菜・豆・果物・全粒穀などの植物性食品をとることや、発酵食品を毎日摂る事が有効とされます。
その他にも食物繊維やオリゴ糖を摂る事もおすすめ。
発酵漬物には乳酸菌やビタミンB群、食物繊維も多いので腸は大喜びです。
納豆にはセロトニンの材料になるトリプトファンが含まれます。
食物繊維には水溶性と不溶性があり、水溶性はその漢字のまま水に溶けて腸に届くので善玉菌のえさになってくれます。
不溶性は水に溶けないということで腸内でも水分を吸収して便をスムーズに出す手助けになります。
オリゴ糖は熱や酸に強いので胃酸や消化酵素で分解されず腸まで届きやすく、これも善玉菌のえさになります。
逆に避けたい成分は、食品添加物。これを毎日摂っていると腸内細菌が減少し、腸内フローラのバランスが崩れてしまうと言われます。
化学的に合成された食品添加物は結局身体にとっては異物とみなされ、免疫細胞にダメージを与えたり自然免疫の好中球が異物に攻撃する際に活性酸素を出してしまうと考えられます。
活性酸素は体の中に増えすぎると不調をもたらします。長い間積み重なりがん細胞を成長させるのです。
取り入れるのであれば、ぜひ善玉菌のえさになる自然な食品。化学的な添加物が多い食品はできるだけ避けましょう。
そして、注意したい点がもう一つ。
良かれと思って摂っている乳酸菌やオリゴ糖も、摂り過ぎると「SIBO(小腸内細菌異常増殖)」と呼ばれる状況になる可能性があります。
小腸内で細菌が異常に増えてしまって、お腹が痛くなったり便秘になることもあるのです。
菌は生き物なのだと自覚し、程よく付き合っていくことが肝心です。
良質な睡眠をとる
自律神経と腸にも繋がりがあるのです。
眠っている間は副交感神経が優位になる為、質の悪い睡眠状態だと交感神経が働いたまま効率よく休むことができなくて自律神経が乱れると言われます。
うまく寝付けなくて、疲れたまま翌日も働き、また副交感神経のスイッチをオンに出来ずに眠りにつくとぐっすり眠れない。
このような負の連鎖が起きる可能性があります。
腸のコントロールをしているのも自律神経なのです。
副交感神経と交感神経の切り替えのメリハリがつくことにより腸の働きも活性化すると考えられます。
ストレスを溜めない
自律神経が大切だと言いましたが、ストレスも大敵ですね。
身体が疲れているだけでなく心の疲れも自律神経に大きく関わります。
交感神経の働きが強くなると脳内に「ノンアドレナリン」や「コルチゾール」というホルモンを分泌させます。
これらは免疫力を落とすと言われます。
リラックスしている時は副交感神経が優位になりますし、それに加えて「楽しい」や「好き」といった感情にあるとき人はNK細胞(がん細胞を攻撃する免疫細胞)を活性化させるとも言われます。
イライラしていると良いことはない。まさにその通りなのでしょう。
ストレスの原因を排除するか、うまく対処することで身体も腸も元気に近づくでしょう。
便秘に気を付ける
ダイエットなどで食事量を減らしたり運動不足、移動中に我慢をする習慣がある人、生理の前や妊娠初期にも便秘になりやすいと言われますね。
大腸に便が溜まると悪玉菌が増え、出ていくべき毒素や有害物質が溜まってそれは血液と共に体内を巡ります。
それが頭皮や髪の毛の成長にも悪影響を及ぼすと言われます。
必要な栄養素の吸収も妨げられるので、十分に髪の毛に栄養が行きわたらないことも。
これも先ほどの食事内容の改善が大切だという点に繋がります。
食物繊維と発酵食品を取り入れることです。
ですが、不溶性食物繊維は摂り過ぎも便秘に繋がりますので要注意。
身体に必要なミネラルまで体外に排出されてしまうこともあるので、一日の目安量としては20g~25ℊでよいと考えます。そして水分補給も忘れずに。
有酸素運動が腸を活性化
有酸素運動というと代表的なのはマラソンやランニング、ジムのバイクなどもありますね。
有酸素運動を行うと腸内で酪酸菌が増えると言われます。
酪酸というのは短鎖脂肪酸の一種で、腸内を弱酸性に保ち有害な菌の繁殖を抑え腸の炎症予防、免疫機能の調整などに効果がると近年注目されています。
腸内が弱酸性になっていることにより、ミネラルなどの吸収率も上がると考えられます。
腸に良いと言われる乳酸菌やビフィズス菌では酪酸を作り出すことはできません。
室内でも有酸素運動は可能です。踏み台を使ったステップ運動や、階段の上り下りをするのもいいですね。
ただ、有酸素運動ということは、酸素を沢山取り入れるということです。
酸素を沢山取り入れると活性酸素やフリーラジカルによる酸化を引き起こすこともまた否めません。
活性酸素やフリーラジカルに対処する為にはファイトケミカルを取り入れることがおすすめです。
ポリフェノールやカロチノイドを含む食材、赤ワインやブルーベリーのアントシアニンや人参やかぼちゃのベータカロテンがそれに当たります。
トマトのリコピン、ほうれん草のルテインもあります。
サプリメントで取るよりも食材で取り入れることが効率が良いといわれますので、運動と共に食事で活性酸素対策をしましょう。
さいごに
頭皮を健康に保つためには、良質なシャンプーや育毛剤の使用がおすすめです。
そして身体の内から栄養素を十分に取り入れること、その働きをより活性化させるためにも腸内を美しく保つことが必要です。
一日二日で効果は実感できないでしょう。何事も続けることが重要です。
身体を内側からキレイにして、心の悩み・頭皮の悩みも解決に導きましょう。