シルクというと、ゴージャスなランジェリーとか光沢が美しいフォーマルウェア、といったイメージがありますよね。
しかし、シルクの特徴は光沢だけではありません。お肌にも髪にもとても良いのです。
最近は手頃な価格で手に入るシルクも増えていますから、この機会にシルクの効能・効果を知って、ぜひ試してみてくださいね。
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シルクの歴史
シルクは、中国で紀元前3000年とも6000年ともいわれる時期に、すでに生産が始まっていた線維です。
中国の一部で広まった後、インドやペルシャに輸入されるようになり、6世紀頃に東ローマ帝国に製法が伝わりました。
その後全ヨーロッパや日本へと広まりましたが、以前として最高品質は中国のものでした。
その後、日本では研究が進み、江戸時代には中国製に勝るとも劣らない品質のシルクができるようになり、1900年代初期には中国より輸出量が多くなったほどです。
しかし、第二次世界大戦後は世界的に安価なナイロンやレーヨンの製造が盛んになり、現在日本ではほとんどシルクは製造されていません。
シルクの製造法
シルクは、カイコが体内で生み出すフィブロインというタンパク質が主成分の動物線維で、マユ1個で1,000メートル前後の線維が取れます。
カイコを熱湯や薬品で処理した後に糸にし、数本をより合わせて作られるのが生糸(きいと)で、これを布にしたのが一般的にシルク(絹)と呼ばれるものです。
その他、生糸に適さないものを集めて、真綿や紬糸(つむぎいと)、スパンシルクなどが作られます。
シルクの持つ特徴とは
シルクのフィブロインタンパクの構造と三角形の断面によって、光が当たるとプリズム効果によって美しい光沢を放ちます。
また、発色が非常に良く、日光に当てない限り色落ちもしにくいため、長期間繊細な色合いを保ちます。
フィブロインの分子はお互いに引き合う力が強いため、引っ張っても簡単に切れることがありません。
その強さは鋼鉄に匹敵するといわれ、羊毛やコットンよりはるかに強くなっています。
シルクの線維は元々カイコの保護のためのものなので、保湿性・保温性に富んでいます。
さらにコットンの1.5倍吸水性があり、それを放湿する働きもあります。
そのため、下着に使用すると夏は熱を放出し、冬は保温するという機能を発揮することから、一年中使用できる素材です。
静電気は、生地同士の摩擦によって起こりやすくなります。
しかしシルクは表面が滑らかなので摩擦が起きにくくなっています。
そのためホコリが付きにくく、喘息やハウスダストによるアレルギーの人でも安心して着用できます。
シルク線維には、繭を紫外線から守る機能があります。
シルクでできた下着や服が紫外線によって黄ばむのは、紫外線を吸収したからです。
シルクのUVBカット率は約90%といわれ、特に皮膚表面の日焼けを防ぐ効果に優れています。
シルクの持つ効能・効果とは
高い保湿作用で肌を守る
シルクには、セリンという保湿作用の高い成分が含まれています。
セリンは非必須アミノ酸の一種で、シルクから発見された成分です。肌や頭皮の角質に最も多く含まれ、水分が逃げないようにする天然保湿因子の成分です。
角質はわずか0.01ミリの厚さしかありませんが、水分を逃げないようにしたり、雑菌やウイルスが侵入しないよう守ったりする働きがあります。
セリンは天然保湿因子の成分なので、お肌のうるおいを守ってくれるのです。
コラーゲンの生成を助ける
シルクには18種類ものアミノ酸が含まれています。
お肌が20種類ですから、非常に肌に近い天然成分といえます。
そのため、肌への親和性が高く、さらにコラーゲンの生成を助けてお肌のハリや柔軟性を保つサポートをしてくれるのです。
体内のタンパク質組織を強化する
シルクは良質なタンパク質なので、シルクの粉末を食べている人の多くは、爪が割れなくなった、筋力がアップした、といった効果を感じています。
質の良い睡眠を招く
2017年九州大学の発表で、セリンには高い睡眠効果があることが報告されました。
セリンには体内時計を調節し、質の良い睡眠を招く必要があるということです。
セリンによって体内で時間調整が行われ、不規則な生活や時差ボケの状態を早く緩和させる機能があるのです。
そのため、シルクのパジャマを着用したり枕やシーツに使用したりすることで、質の良い睡眠を取ることができます。
認知症を予防する作用
成分の一つセリンには、ホスファチジルセリンという物質を生み出す作用があります。
ホスファチジルセリンには脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖の吸収を促す作用があります。
そこから高齢者の認知機能障害を予防する可能性があるということがわかり、研究が進められています。
生活習慣病予防
東京農業大学が発表したところによると、シルクフィブロインタンパク質を1ヶ月摂取したところ、悪玉コレステロール値と中性脂肪値が低下したという結果が出ています。
また、食後の血糖値の急激な上昇も抑制されることがわかりました。
糖尿病患者の治療に使用できるほどの効果ではないものの、予防としては良い結果が期待できるそうです。
シルクが髪に与える効果
シルクは布にして着用することもできれば、粉末にして化粧品などに添加したりサプリとして摂取したりすることもできます。
どの方法でも髪に良い効果を与え、健康的な髪へと変化させてくれますので、その一例をご紹介しましょう。
髪を太くしっかりさせる
シルクは18種類ものアミノ酸からできており、髪の毛の成分となって太くしっかりした髪を作るサポートをしてくれます。
特にシルクをパウダーにしたものを摂取すると非常に吸収が良く、数か月摂取を続けると髪にハリやコシが出た、抜けにくくなったというケースが少なくありません。
髪にハリやツヤを与える
シルクは18種類のアミノ酸からできており、同じく18種類のアミノ酸からできている髪の毛や頭皮のケラチンタンパク質と構造が似ています。
そのため親和性が高く、コンディショナーやトリートメントに少しシルクの粉末を混ぜると髪のタンパク質になじみ、ハリやツヤを与えてくれます。
また、髪をコーティングしてダメージ部分を保護し、保湿してくれるので、髪にうるおいが戻ってきます。
高い保湿性で髪をまとめやすくする
少し前になりますが、シルクのナイトキャップで髪がとてもまとまりよくなると評判になったことがありました。
これはシルクの保湿性が髪の乾燥を防いでくれるからです。
また、寝具との摩擦が少なくなることも、髪にダメージを与えないために大切なことです。
特にパーマやカラーリングで髪が傷んでいる人は、ちょっとの摩擦で髪が切れやすくなっていますから、ナイトキャップやシルクの枕カバーを使用することをお勧めします。
髪のダメージが広がりにくくなり、まとまりやすくなりますよ。
静電気から髪を守る
特に冬は髪の毛に静電気が貯まりやすくなります。
これは乾燥した髪の毛同士の摩擦が大きな原因です。
また、ブラッシングによっても摩擦が発生し、静電気が起こりやすくなるのです。
静電気が起きた髪はキューティクルが剥がれ、そこから髪のタンパク質や脂質、水分が逃げ出してパサパサになったり切れ毛・枝毛などが増えたりしてしまいます。
そこで、シャンプー後のコンディショナーにシルクの粉末を少し入れると、髪をコーティングして静電気が起きにくくなります。
また、シルクのスカーフを首に巻くと、静電気が髪に溜まりにくくなりますよ。
紫外線をカットして髪のダメージを防ぐ
髪の毛は一年中紫外線を浴びており、非常にダメージを受けやすくなっています。
また、頭皮の真皮にあるコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸を劣化させたり、それらを生み出す線維芽細胞のDNAを破壊したりしてしまいます。
シルクにはこれらの対策として高い作用があり、頭皮と髪の健康を守ってくれるのです。
シルクで美しい髪を維持しましょう
シルクを日常的に使用する方法は色々あります。
・下着やスカーフ、ナイトキャップ、枕カバー、タオルなど、身体や髪に直接触れる布製品にシルク製品を使う
・シルクを配合した化粧品やシャンプーを使用する
・シルクの粉末をヘアケア剤に入れる
・シルクの粉末やシルク配合のサプリメントなどで直接摂取する
健康にも髪にも良いシルクを、もっと生活に取り入れましょう。