女性の薄毛

温泉でお肌スベスベ!でも髪はボロボロ、女性も薄毛になる危険性あり?

温泉でさっぱり、お肌はスベスベツルツル…女性にとって至福の時ですよね。

でも、髪の毛がゴワゴワになったという経験はありませんか?

温泉の性質にもよりますが、多くの場合温泉は髪の毛にダメージを与え、枝毛や切れ毛、抜け毛の原因になってしまうのです。

その原因について、詳しく解説しましょう。

温泉の定義とは

まずは、温泉とは何か、基本から解説しましょう。

温泉の定義

日本では、「温泉法」というものがあり、何をもって温泉というか決まっています。

以下の定義で温泉かどうか決められます。

①温泉源のお湯の温度が25℃以上であること

②19の特定成分のうちどれか1つ以上が1kg中規定以上の量含まれていること
 (ラジウム塩、ラドン、水素イオン、臭素イオン、重炭酸ソーダなど)

基本は①で、地中から湧いてきた温水や鉱水が25℃以上であれば、すべて温泉となります。

ただし、25℃以下でも②の成分が一定量以上含まれていれば、それも「温泉」です。

また、温泉の中でも「療養泉」という、治療効果があると環境省が認めたものは、①のほか7種類の特定成分のうち1つ以上含まれているものを指します。

私たちが温泉でイメージするのは、何らかの効能・効果があるものですよね。

でも実際には、地中から湧き出ている水が25℃以上であれば、何でも「温泉」なのです。

現在、温泉地は3,038、源泉は約25,000あるといわれており、温泉が多い都道府県は順に北海道、長野、新潟、青森、福島となっています。

また源泉ではトップが大分、次が鹿児島、静岡、北海道、熊本です。

温泉のpH(ペーハー)によって性質が変わる

温泉にはいくつか分類の仕方があり、水質の性質を表わす「pH」という単位によって分けるのがその一つです。

大きく分けると、酸性・中性・アルカリ性です。

中性が6~7.4で、それ以上ならアルカリ性、それ以下なら酸性です。

アルカリ性温泉の特徴

特定19成分のうちどれかが含まれているものの、規定より少ない量の温泉を「単純温泉」といいます。

そのうちpHが7.5~8.4の温泉を「弱アルカリ性単純温泉」、pHが8.5以上を「アルカリ性単純温泉」、pHが10以上を「強アルカリ性単純温泉」といいます。

日本の温泉の約4割がこのタイプです。

アルカリは肌触りが少しぬるぬるした感じのあるお湯で、タンパク質を変質、溶解する働きがあります。

そのため、アルカリ性温泉に入ると古くなった角質が剥がれやすくなり、肌がツルツルスベスベになるのです。

また、タンパク質を溶解するといっても肌への刺激はあまりないので、それほどpHが高くなければ肌が弱い人でも問題ありません。

ただし、pH10以上の強アルカリ性の場合、油分も取られてしまうので肌がカサカサになってしまうこともあります。

そのため、身体をゴシゴシ洗わないこと、温泉に浸かった後は必ず普通のお湯で全身をきれいに洗い流すようにし、保湿化粧品などでしっかり肌を保護することが大切です。

また、弱アルカリ性、アルカリ性温泉は、飲むと胃の粘膜に軽い刺激を与えます。

そこから、慢性の胃腸病や便秘、リウマチ、腰痛、神経障害などにも効果があるといわれています。

酸性温泉の特徴

酸性温泉は、pHが3~5.9のものを「弱酸性温泉」、pH2.9未満を「酸性温泉」と分けられています。

温泉水1kg内に水素イオンが1mg以上含まれており、海外ではあまり見られないといわれています。

酸性温泉は殺菌作用やピーリング作用があり、皮膚のケガや病気に良いといわれています。

例えばニキビや湿疹、水虫、アトピー性皮膚炎などに適しており、アルカリ性温泉とは違った作用で肌を美しくする効果があります。

しかし少しピリピリするような刺激があり、長湯は避け、出た後は必ず全身をしっかり普通のお湯で洗い流す必要があります。

また、pHによっては刺激臭があります。

飲用としては向きません。

胃が酸性に傾くため、胃酸過多となり体調を崩しやすいのです。

酸性温泉には高血圧や胃潰瘍、リウマチに効果があるとされ、そのメカニズムが名古屋市立大学の実験でわかっています。

酸性温泉に浸かることで神経端末から特殊なタンパク質が放出され、これが炎症を抑え傷の治りを促進させることが確認できたのです。

中性温泉の特徴

日本で最も多いのが中性温泉で、pHが6~7.4のものをいいます。

水道水がpH約6.5ですから、非常に刺激が少ないのが特徴です。

アルカリ性温泉や酸性温泉に比べると効果・効能がないように感じるかもしれませんが、水質の分け方はpHだけではありません。

例えば山形県の赤湯温泉は中性温泉ですが、硫黄やナトリウム、カルシウムを含む塩化物温泉で、皮膚のケガや乾燥、冷え性などに良いとされています。

温泉で髪が傷む?その理由

このように、どのタイプの温泉も長湯さえしなければ、あるいは最後にしっかり真水で洗い流せばとても肌に良い効果があります。

しかし、髪の毛に対してはあまり良くないとされています。

その理由を解説しましょう。

アルカリ性温泉は髪のキューティクルにダメージを与える

パーマやヘアカラーを続けると、髪が傷むことは良く知られています。

その原因の一つが、どちらにも含まれるアルカリ剤です。

アルカリ剤には、髪の表面にあるキューティクルを開かせる作用があります。

キューティクルはうろこ状の組織で、髪質により2~8枚程度が重なっています。

キューティクルには内部のコルテックスという部分に含まれるタンパク質や脂質、水分などが流出するのを防ぐ役割があり、健康な髪ほどキューティクルの層が多く、しっかり閉じています。

しかし、それではパーマ液やカラーリング剤が浸透しないため、アルカリ剤でキューティクルをこじ開けるのです。

しかし、一度開いたキューティクルはなかなか閉じず、シャンプーやブラッシング、髪同士の摩擦などで簡単に剥がれてしまいます。

キューティクルは再生しないため、剥がれた部分からタンパク質などがどんどん逃げ出してしまいます。

すると髪が細くもろくなり、切れ毛や枝毛、抜け毛などの原因となるのです。

また、髪の表面には18-MEA(メチルエイコサン酸)という脂肪酸があり、この成分が頭皮の皮脂を髪全体に送っています。

この成分はミンクにも含まれており、髪のツヤは18-MEAによってできているのです。

しかし、この成分はたった1回のパーマやカラーリングで8割失われるといわれており、その原因がアルカリ剤です。

つまり、アルカリ性温泉で髪を洗うと18-MEAがなくなってしまい、髪にツヤがなくなり、さらに頭皮の皮脂が届かなくなるため乾燥しやすくなります。

その結果静電気が起きやすくなり、髪に大きなダメージを与えるのです。

酸性温泉は頭皮に強い刺激を与える

皮膚のpHは4.5~6の弱酸性ですから、弱酸性温泉ならpHが近く問題ないように感じます。

しかしお湯の場合ピリピリすることからわかるように、頭皮に刺激を与えてしまいます。

また、頭皮にはマラセチアという菌が常在していて、雑菌が侵入するのを防いでいるのですが、酸性温泉の殺菌作用によっていなくなってしまいます。

すると頭皮が雑菌によって炎症を起こしやすくなったりフケを増やしたりして、毛穴内にもダメージを与えてしまいます。

その結果、髪の成長が悪くなり細毛や薄毛を増やす可能性があるのです。

なお、名古屋市立大学がマウスで行なった実験によると、酸性温泉によってIGF-1という成分が増えることがわかっています。

IGF-1はインスリン様成長因子で、育毛促進効果があるといわれています。

しかし、酸性温泉が人間の頭皮にどのような作用をもたらすかまだわかっていないため、やはり髪につけるのは避けたほうが良いでしょう。

硫黄が含まれている温泉もNG

また、これらのタイプの温泉の他、「硫黄」が含まれている場合も髪に強いダメージを与えるため、髪につけないよう注意が必要です。

まとめ

温泉には、様々な効能・効果があることが科学的にもわかってきています。

しかし髪には決して良くないので、温泉に入る時はタオルで覆うなどして、できるだけお湯と接しないよう注意しましょう。

また、髪の毛を洗う時は最後にして、湯気に含まれる成分の付着をしっかり洗い流すことをおすすめします。