あなたは抜毛症という症状を知っていますか?
抜毛症は圧倒的に女性に多く、ストレスが原因により起こることが多いと言われていますが、その他にもさまざまな要因が関わっているとされています。
そこでここでは、抜毛症の症状や改善方法などについて、詳しく見ていきたいと思います。
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抜毛症とはどんな症状なの?
別名:トリコチロマニアとも呼ばれている抜毛症は、手が触れやすい前頭部付近の髪を抜いてしまい、またその他の部分の髪だけでなく眉毛やまつ毛を抜く場合もあります。
抜毛症の発症率はだいたい0.6~3.4%であると言われており、近年増加傾向にあります。
また発症するのは90%が女性であるとされており、その原因の多くはストレスによるものであるとされています。
20代までの若い年代で発症することが多いと言われており、髪を抜く原因としては、何かストレスや不安を感じた際に気持ちを落ち着かせるためであると言われています。
髪を抜くとすっきりして気持ちが安定し不安が収まります。そのため、再び不安に駆られるとまた髪を抜いてしまうという行為を繰り返して行ってしまうという悪循環に陥ります。
髪を抜く癖が治らないと、髪は徐々に細くなりやがて生えなくなってしまう場合もあります。
また抜毛症になった方の3割~4割が食毛症と呼ばれる抜いた髪を食べてしまう症状を併発し、腸閉塞や栄養失調などになる場合もあります。
さらに抜きすぎて指にあざができたり、手首や肩などを傷めたりすることもあります。
強迫症の症状のひとつである皮膚をかきむしってしまう皮膚むしり症を引き起こす場合もあるため、くれぐれも注意が必要です。
抜毛症の主な原因は?
ここでは、抜毛症の症状が起こる主な原因について詳しく見ていきたいと思います。
元々髪を触る癖がある
元々緊張した際などに髪を触ると落ち着くといった方は、一度思いきって髪を抜いてみたら気分がスッキリしたなどという体験から、そのまま抜毛症に移行してしまうケースになることがあります。
ストレスや不安感
抜毛症になる原因として最も多いと言われているのが、ストレスや不安感です。
未成年のうちに発症することも多いとされている抜毛症ですが、成人してから発症した方は、特にストレスを感じると一気に症状が悪化してしまうとも言われています。
緊張やストレスが高まった際に、良くないこととは分かっていても髪を抜いて満足感や落ち着きを得ると、何度もその行為を繰り返すようになります。
家庭環境の影響
小さい頃から家族にあまり構ってもらえず一人で過ごすことが多かったという場合、孤独や寂しさを紛らわすために髪を抜き始めてしまうことにより発症する場合もあります。
また夫婦仲が悪かったり、自分と家族の関係がうまくいかない場合にも症状が起こる場合もあります。
学校や友人関係のトラブル
学校で友人関係がうまくいかなかったり、いじめなど何らかのトラブルを抱えていても、教師にそれを打ち明けられなかったり、両親に心配かけたくないからと我慢するタイプの方は、抜毛症になりやすいと言われています。
普段からから良い子で聞き分けがよく、親の期待に応えようと頑張りすぎる傾向がある方は特に要注意です。
抜毛症は適度なストレス発散が重要
ストレスが原因により抜毛症を発症する方は、実に全体の4分の1にも及ぶと言われています。
ですからできるだけストレスをため込まないようにして、適度にストレス発散を心がけることが非常に重要であると言えるでしょう。
また体や頭皮環境を健康に保てるように、規則正しい生活や栄養バランスの取れた食生活を送ることもとても大切です。
抜毛症と脱毛症との違いとは?
抜毛症と脱毛症の違いについて正直よく分からない、という方も多いのではないでしょうか。
抜毛症とは、前述した通り髪やまつげなどを自ら抜いてしまう症状です。
一方で脱毛症は、本人の意思には関係なく何らかの原因で髪が抜ける症状となっています。
よく耳にする円形脱毛症などは、典型的な脱毛症の症状であると言えるでしょう。
どちらも原因としては、精神的なストレスが挙げられますが、抜毛症は精神的な部分が大きく、脱毛症はあくまで皮膚の病気であるという大きな違いがあります。
そのため症状にもよりますが、それぞれの病気に対する治療方法も異なります。
抜毛症の基本的な治療は、髪を抜く癖を改善するために患部の治療と精神療法の両方を行っていきますが、脱毛症については主に髪が抜けた皮膚に対する治療を中心に行います。
抜毛症を発症した場合の治療方法とは?
抜毛症を発症する最も多い原因はストレスによるものと考えられていますが、実は根本的な原因は未だに解明されていません。
ですから明確な治療方法や、確実に効果があるという薬も開発されていないのが現状のようです。
ですから抜毛症の治療は投薬治療や精神療法を並行して行い、徐々に回復を目指していきます。
また抜毛症には患部の治療と精神的な治療の両方が必要なため、皮膚科医と精神科医が連携して治療を行うことが望ましいとされています。
投薬治療
髪が抜いた部分への治療としては、ステロイド剤や水酸化塩酸塩を投与する治療を行います。
このように発毛が自然に戻ることが難しい場合は薬を使用する場合もありますが、成長期に発症し早く症状が収まれば、ほとんどの場合は時間の経過とともに髪は自然に元の状態に戻るため、あまり心配はいらないようです。
精神療法
ストレスなどの精神的な問題が大きい場合は、専門の医師により心理カウンセリングを行います。
一般的にはまず認知行動療法が行われます。この治療方法は髪を抜く癖そのものに焦点を当てた治療法です。
この方法では自分の考え方に共通した癖があることに気づかせ、問題となっている行動を修正していくことを目指していきます。
抜毛症治療の場合には、まず気づきと対抗反応の訓練を行います。気づきの訓練とは、自分が髪を抜き始めるタイミングを気づかせ、さらに髪を抜きたくなる時の気分や感覚にどんな特徴があるかを自分が理解する方法です。
またその結果を記録することにより、普段無意識にしてしまっているけとを自分で意識させることにより、髪を抜く癖がどんな時に起こりやすいのか分かることができるようになります。
対抗反応の訓練は、髪を抜きそうになった時にそれに反する行動、つまり拮抗行動が取れるように訓練する方法です。
拮抗行動とは両手を握り合わせたり、脇を固く締めてみたりといった行動を数分間続けるというものであり、普段の生活の中でも行うことができます。
薬物療法
ストレスなどが原因としてなっている場合は、抗不安薬や抗うつ薬、抗精神病薬などの薬を処方されるケースもあります。
初期の抜毛症の場合、選択的セロトニン再取り込み阻害薬のSSRIと呼ばれる薬を投与されることもありますが、あまり効果が感じられない場合は、ピモジドなどのドーパミン受容体拮抗薬を追加する場合もあります。
また併発している症状がある場合は、その病気に対する薬を処方する場合も多く見られます。
まとめ
抜毛症をそのまま放置しておくと、頭髪の一部が薄くなり生えてこなくなったりする場合もあるため注意が必要です。
気がついた時には外出をためらうほど薄毛になってしまうケースもあるため正しい対策を行い、改善していくことが重要です。
症状が進行すると合併症を引き起こしたり完治するまでに長く時間がかかる可能性があるため、まずは病院での治療が必要な状態かどうか、一度受診して医師に相談してみることをおすすめします。