女性は35歳を過ぎると、「エイジング世代」と呼ばれる髪の毛の変化が出やすい年代となってきます。
主に「薄毛」の悩みが増えてくると、多くの方が育毛剤の使用を検討しますが、どれを選べばいいのか分かりづらいですよね。
育毛剤には多くの種類や成分がありますが、なかでも近年、注目されている成分が「ミノキシジル」です。
この記事では、元育毛カツラメーカー勤務&現役美容師の私が、最近よく聞く「ミノキシジル」の効果や、その内容について解説していきます。
Contents
ミノキシジルとは
ミノキシジルは元々、高血圧の薬として開発されました。
血管を拡張させる作用によって血圧を下げる治療に使用されていたところ、治療を受けた患者から発毛効果が認め、その後、発毛成分としての研究が進められた、という経緯があります。
薄毛の原因の一つとなる毛周期(ヘアサイクル)の乱れを解消させる為には、その要因となる血行不良を改善させる必要があります。
ミノキシジルは血行を拡張させることによって血行不良を改善し、毛周期(ヘアサイクル)を整えることを目的とした成分です。
ミノキシジルの効果
上記したようにミノキシジルには血行不良を改善させる効果があります。
ヘアサイクルには
早期成長期毛
中期成長期毛
後期成長期毛
移行期毛
休止期毛
脱毛
という段階があり、女性は通常、このヘアサイクルを4~6年かけて繰り返していきます。
加齢などが原因によってヘアサイクルが乱れてくると、このヘアサイクルが上記した通常の段階を踏むことが出来ず、まだ弱く細い状態の成長期毛の段階で脱毛してしまいます。
ミノキシジルの具体的な効果には、
成長期毛をより長く伸ばす
脱毛後に成長期毛へ誘導する
が挙げられます。
この効果によって、髪の毛が細く、少なく、柔らかい状態から、太く、寿命の長い髪の毛に成長させていく、というのがミノキシジルの効果です。
ミノキシジルは女性にも使える?
男性用の育毛剤に多く見られることの多いミノキシジルですが、もちろん女性が使用しても問題ありません。
近年は女性用の育毛剤にも、ミノキシジル配合を謳った製品が多く販売されています。
加齢による脱毛を「壮年性脱毛症」と呼び、男性であれば「AGA」、女性であれば「FAGA」という分け方をします。
女性の薄毛の原因にはこの壮年性脱毛症以外にも、妊娠、出産などのホルモンバランスによる影響も考えられますが、加齢が原因なのであればその要因は男性と変わりません。
種類は内服薬と外用薬の2種類
ミノキシジル配合の製品は、大きく「内服薬」と「外用薬」に分かれます。
頭皮に直接塗布する一般的な育毛剤は「外用薬」、タブレットタイプのような経口摂取するものが「内服薬」です。
それぞれに効果や使用方法、副作用に違いがあるので、普段の生活スタイルなどによっての使い分けが大事になってきます。
ここでは、「外用薬」と「内服薬」の使用方法について説明していきます。
外用薬の使用方法
ミノキシジル配合の外用薬とは、一般的な頭皮に塗布するタイプの育毛剤のことです。
容器自体を振って頭皮に薬液をつけるタイプと、プッシュタイプがあります。
使用する回数は一日2回の朝、夜。
鼻を通った頭皮の正中線上に4プッシュし、その両サイドにも3プッシュずつ塗布した後、つむじや生え際などの気になる箇所に数プッシュします。
その後、頭皮全体を優しくマッサージするように馴染ませます。
これを毎日欠かさず行います。個人差がありますが、効果が出るのは約3か月~半年ほど。
ミノキシジル配合の外用薬は効果が出やすいと言われていますが、実際に効果が出るまでにはやはり根気よく継続していくことが大事です。
内服薬の使用方法
ミノキシジル配合の内服薬を使用する上で最も大事な事は、「用法、用量を守る」ということです。
近年では、海外生産のミノキシジル配合内服薬もインターネットなどで購入することが出来ます。
その際注意することは、日本語での説明が記載されていないパターンがある、ということです。
風邪薬などと同じく、経口摂取するタイプである内服薬は、メーカーによって用法、用量が違います。
せっかくミノキシジル配合の内服薬であったとしても、間違った摂り方をしてしまうと、思わぬ事態になりかねません。
なんとなく絵で説明しているものもあれば、全て外国語でなにが書いてあるのか分からないような場合もあるので、購入した内服薬の名前をご自分で調べて正しい使用方法を守るようにすることが大事になってきます。
副作用は?
育毛成分として優秀なミノキシジルですが、やはりいくつかの副作用もあります。
上記したような外用薬と内服薬の使用方法の違いと同じように、それぞれの副作用も異なります。
とは言え、ミノキシジルは基本的には安全が認められている成分です。
アレルギー反応などで身体が受け付けない、ということはあるかもしれませんが、用法、用量を正しく守っていればほとんどの場合は副作用が起きる可能性は低いと言えます。
ここではその副作用について、説明していきます。
初期脱毛
ミノキシジルを使用してすぐの時は、脱毛本数が増える、といったことがあります。
ミノキシジルの作用によって生えてきた新しい髪の毛に、古い髪の毛が押し出されてしまう、といった原因が考えられます。
これは初期脱毛と呼ばれ、個人差はありますがおよそ1~2か月程度で治まります。
育毛剤を使用し始めてすぐの時期に起こる副作用であり、「自分には合わないのでは…」と思ってしまうことで使用をやめてしまう恐れもありますので経過観察が必要になります。
初期脱毛の起こらない人もいるので、必ずしも誰にでも起こる副作用、というものではありません。
立ち眩み、めまい
育毛剤は基本的には頭皮に塗布するものであり、経口摂取によって内服するタイプの薬でなければ、この症状が出ることはありません。
もともと血圧を下げる為に開発されたミノキシジルには、服用することで低血圧に似た症状になることがあります。
現在はミノキシジル配合の内服薬はAGA治療のためとして医師から処方されることはありますが、専門医による適正な量を守るようにすれば、深刻な事態になることはありません。
かゆみ、かぶれ
使用者個人のアレルギー反応によって、「かゆみ」や「かぶれ(炎症)」などの症状が出てしまうことがあります。
これには個人差があるので、どれくらいの使用量で反応が起こるのか、などを断定することは難しいもの。
また、育毛剤にはミノキシジル以外にも多くの育毛成分が配合されているものなので、アレルギー反応が出たとしても一概にミノキシジルが原因なのかはなかなか分かりません。
使用後にこういった症状が出た場合は、専門医へ相談した方がいいでしょう。
体毛が濃くなる
外用薬を頭皮に直接塗布した場合ではなく、内服薬としてミノキシジルを使用した場合に起こる可能性のある副作用です。
服用した場合は頭部にだけその発毛効果が出るのではなく、身体全体に発毛効果は現れますので、体毛が濃くなるケースもあります。
まとめ
ミノキシジルは認可されてから今日まで、多くの育毛アイテムに使用されてきました。
当初はその多くが男性向けの育毛アイテムとして販売されていましたが、近年では女性用のミノキシジル配合育毛アイテムも数多くあります。
なかには女性に多くある「トップのボリュームがほしい」、「つむじが割れて気になる」などのニーズに対応したものもありますので、年々その需要は高まっているものだと思います。
是非、ご自分に合ったミノキシジル配合のアイテムを探してみていただければと思います。