女性の薄毛

【基礎知識】毛髪の基本的なメカニズム

女性の薄毛や白髪などの髪の毛のトラブルで悩んでいる方も多いはず。

様々なトラブルを解消するためには、まずは毛髪の基本的なメカニズムを知っておくと原因が分かって適切な対策をとることができます。

私たちの髪の毛はなぜ生えているのか、髪の毛の成分など知ってそうで知らない基礎知識を解説していきますので、この記事を機に毛髪へ興味を持っていただきたいです!

毛は身体を守るためにできている

犬や猫、ウサギなど哺乳類は全身に毛が生えています。その主な役割は外敵・紫外線・寒さなどから身体を守ること。

人間は進化するとともに大部分の体毛は薄くなりましたが、頭髪やまつ毛、眉毛などは残り、人間の体においても防御の役割を果たしています。

人にとって不可欠な毛髪

毛髪があるおかげで、たまたま何かが頭に落ちてきたりぶつかってきたりしたとしても、生命維持活動に不可欠な脳は守られ、直射日光にさらされることもありません。

また、まつ毛がなくなれば汗が直接目に入ってきまいますし、鼻毛がなくなればホコリやゴミだけでなく、病気の原因となるウイルスや最近も侵入しやすくなります。
ほとんどの毛は、理由があって生えているのです。

イメージを決定づける役割も

毛は上記のような機能的な役割だけでなく、ボディイメージを決定づける役割も果たしています。

とりわけ毛髪など首から上の部分に生えている毛は、衣服で覆われずに露出していますし、さらに目につきやすい顔周りなので、イメージに直結します。

同じ顔でも黒髪がふさふさしている人と、薄毛やスキンヘッドでは全く印象が違うはずです。

あるいは髪型が同じでも黒髪と金髪、白髪など髪色が違えば、やはり印象は変わります。

また、毛髪ほどではありませんが、眉毛やまつ毛の有無、濃さ(密度)、形もかなりイメージを左右します。

毛髪は「毛包」でつくられる

毛髪は、地肌から出ている「毛幹」と、地肌の中にある「毛包」に大きく分けられます。

普段私たちが目にしているのは毛幹部分ですが、髪の成長に大切な役割を果たしているのは毛包の方です。

毛包の先端の膨らんだ部分は「毛球」と呼ばれ、ここがいわば髪の製造工場です。

毛球にある毛乳頭が毛母細胞に「髪を作れ!」という指令を出すと、毛母細胞が分裂し、それが押し出されて髪となって伸びていくのです。

ぐんぐん伸びる髪の毛は生きているように見えますが、死んだ細胞の集まりが頭皮から次々押し出されているだけ。爪と同じように肌の角層が変化してできたものです。

毛髪の主な成分はタンパク質

毛髪がどんな成分でできているかご存じでしょうか?
毛髪を輪切りにしてみると、外側から順に「キューティクル」、「コルテックス」、「メデュラ」の3層で構成され、いずれも主な成分は「タンパク質」です。

しかし同一のタンパク質ではなく、硬さや形状がそれぞれの層で異なります。

キューティクル

一番外側のキューティクルは、かたいタンパク質が主成分。半透明のうろこ状のものが平たく4~10枚重なって、髪の内部組織を守る働きをしています。

コルテックス

中間層のコルテックスは三層の中で最も多く、髪の85%~90%を占めています。

繊維状のタンパク質が主成分で、このタンパク質と脂質の構造安い分量が、いわゆる「髪質」に影響します。

コルテックスの量が多いと髪が太くなり、少ないと細くなります。また髪の色は、コルテックスに含まれているメラニン色素細胞の種類と量によって異なります。

メデュラ

髪の中心部にあるメデュラは、柔らかなタンパク質が主成分です。
外的な刺激で空洞ができやすく、空洞がたくさんある髪は透過する光が散乱して、白っぽく色あせて見えます。

年を取るとなぜ白髪になるのか?

女性で悩んでいる方も多いであろう白髪。白髪の大半は生まれつきではなく、もともとは違う髪色だったものが毛髪へ変わっていきます。

「加齢とともに白髪が増えてきた」という方は多いでしょう。

白髪はメラニンをほとんど含まない毛髪のこと。メラニン色素は、毛髪組織の元となる毛母細胞と隣り合って、毛球部に存在している「メラノサイト(色素細胞)」で作られます。

毛母細胞が細胞分裂して髪が作り出されるときに、メラノサイトからメラニン色素が受け渡され、髪の内部に取り込まれます。

白髪になるのは、メラノサイトの働きが低下してメラニン色素が作られなくなったり、毛母細胞に色素が受け渡されなくなったりするからです。

メラノサイトの働きが低下する原因の多くは加齢と考えられますが、良く分かっていないことも少なくありません。

10代以下なのに白髪が目立つようになる、いわゆる「若白髪」は、遺伝・ストレス・高熱・薬の副作用なども影響があるといわれています。

毛根の数は一生変わらない

髪を作り出す毛根は胎児のときに作られ、その数は生まれてから基本的に一生変わりません。

また、一つの毛穴から生える髪は1本とは限らず、2~3本生えることも多いため、単純に「毛穴の数=髪の本数」とはなりません。

日本人の毛髪の平均本数は約10万本といわれますが、多い人で13万本~14万本、少ない人で6~7万本とかなり幅があります。

すなわち髪の密度にも差があるということです。

毛髪が伸びるスピードは、個人差はあるものの、1日に0.3~0.5mmほど。1か月で約1cm、1年で約12cm伸びることになります。

しかし切らなければ延々伸び続けるというわけではなく、一定の期間を経ると自然に抜け落ちます。そして抜け落ちた毛根から、また新たな髪が生えてきます。

この繰り返しの周期を「ヘアサイクル」といい、およそ4~6年とされているのです。

正常なヘアサイクルとは

ヘアサイクルのうちほとんどは、毛母細胞が分裂し髪が伸びる「成長期」が占めています。

成長期を終えた毛髪は毛包が退縮する「退行期」を経て「休止期」に入ります。

そして、その毛穴の奥で新たに成長を始めた髪に押し出されるようにして、自然に抜け落ちます。

その後、同じ毛穴で次の毛髪の成長期がスタートし、ヘアサイクルが繰り返されていくのです。

毛髪は1本1本ヘアサイクルのスタートが異なり、脱毛の時期がずれるため、通常は一度にまとめて抜けることはありません。

ヘアサイクルから計算すると、1日当たり50本~100本程度の髪が自然に抜けることになります。

成長した髪がこの程度の本数抜けるのはごく自然な生理現象で、心配する必要はありません。

しかし、本来の成長期を全うできずに「短く細い抜け毛」が増えてきたら要注意。薄毛になりかけている可能性があります。

【まとめ】髪だけでなく全身の健康を意識した生活習慣を

薄毛や抜け毛、白髪などといった毛髪にかかわるトラブルを気に病む女性は少なくありません。

この記事では髪の毛のメカニズムについて解説してきました。髪の毛の基本構造を知ることによって、様々なトラブルに対して適切な対策をとることができます。

髪のためにどのような生活習慣を心掛ければいいのかを、もう一度見直すいいきっかけになるかもしれません。

よく薄毛予防にはワカメやゴマがいいとかなどといわれていますが、いずれも根拠はありません。髪がふさふさと生えてくる、魔法のようなサプリメントもありません。

日々の生活習慣の積み重ねが、健康的な毛髪を作り上げていきますので、毎日の生活をより規則正しくしていきましょう!