シャンプーをした際に大量の髪が抜け落ちたり、朝起きた時に枕に多くの抜け毛が着いていると、何か病気が原因なのではないかという不安を感じたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
抜け毛の多くは自然なものや生活習慣の乱れ、またストレスなどから起こるとされていますが、中には病気が引き金となり抜け毛が増えて薄毛につながる場合もあるため、特に短期間で急に抜け毛が気になるようになったなどという場合には注意が必要です。
そこで今回は、女性がかかりやすいとされている抜け毛や薄毛を引き起こすさまざまな症状について詳しく見ていきたいと思います。
女性は特に注意が必要な薄毛や抜け毛の症状とは?
以下では、男性より女性の方が特に注意しなければならない病気について具体的に見ていきます。
びまん性脱毛症
全体的に髪が薄くなり地肌が透けて見えたりボリュームダウンしたと感じた場合には、びまん性脱毛症が考えられます。
びまん性脱毛症の原因としては、年齢を重ねたことによる髪や頭皮の老化、女性ホルモンの分泌量の減少やストレス、間違ったヘアケア方法などが挙げられます。
ダイエットや不規則な生活が引き金となり20代という若い年代でも発症する可能性があるため油断は禁物です。
女性は40代後半になると女性ホルモンの量が急激に減少し、さらには50代半ばにかけて閉経を迎える方も多いため、やがてFAGA、つまり女性男性型脱毛症が起こるケースもあります。
また頭皮の血行不良や毛母細胞への栄養不足により髪の成長を阻んでしまい、髪の本数だけでなく、一本一本の髪自体が細くなってしまうこともびまん性脱毛症の要因とひとつとなります。
もし抜けてしまった髪をチェックした際に細く短いものが多いという場合は、髪が十分に育つ前に抜け落ちてしまっている可能性があるため、くれぐれも注意が必要です。
女性男性型脱毛症(FAGA)
女性男性型脱毛症は、女性ホルモンの分泌量の減少に伴い男性ホルモンの分泌量が増えることで引き起こされるとされています。
髪が細くなり頭頂部が薄くなるなど髪が全体的にボリュームダウンするのが特徴がであり、女性ホルモンのバランスが崩れたり閉経を迎えることにより起こると言われています。
甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンの値が低くなることで代謝が悪くなり、体にさまざま不快な症状が表れるのが甲状腺機能低下症です。
びまん性脱毛症と同様に女性がかかりやすい病気であるとされており、髪だけではなくまゆ毛まで抜けてしまうことがあります。
甲状腺ホルモンの分泌量が減少すると、肌や頭皮の乾燥や抜け毛が見られる場合もあります。
膠原病(こうげんびょう)
膠原病とは、自己免疫疾患やリウマチなど炎症を引き起こす症状の総称です。
若い女性に多い病気であると言われており、一度発病すると完治が難しいため難病指定されています。
発熱や発疹、手足のしびれやリンパの腫れなどが見られ、抜け毛が起こることもあります。
膠原病の中でも全身性エリテマトーデスという症状が起こると、髪が弱く細くなり円形脱毛症を併発することもあるため注意する必要があります。
亜鉛欠乏症
ミネラルである亜鉛が欠乏すると、貧血や口内炎の他にも肌の炎症や脱毛などさまざまな症状が現れます。
女性に多い症状として知られており、特に妊婦や授乳中には亜鉛欠乏になりやすいためくれぐれも注意が必要です。
亜鉛欠乏症による抜け毛は後頭部または頭部全体に広がることもあり、円形脱毛症になったり、悪化すると髪だけでなく全身に脱毛の症状が現れる状態になったり発症するケースもあります。
脂漏性脱毛症
頭皮の皮脂が過剰分泌されることで赤みやかゆみ、フケや炎症などが起こり、抜け毛が増えるのが脂漏性脱毛症です。
原因としてはシャンプーなどの刺激や汗、またビタミン類などの栄養不足の他にも、カビの一種であるマラセチアという菌が関わっていることもあります。
ごく初期の段階であれば、シャンプーの見直しや栄養バランスの偏った食生活の改善などで症状を緩和することができますが、湿疹ができたり急激に抜け毛が増えるなど悪化した毛が際には、専門医を受診してステロイドや抗真菌外用剤などで治療する必要があります。
粃糠性(ひこうせい)脱毛症
脂漏性脱毛症と同じように、頭皮のフケや赤み、かゆみや抜け毛の症状が起こるかのが粃糠性脱毛症ですが、なぜそのような症状が起こるのかは不明であると言われています。
円形脱毛症
円形の脱毛部分が、頭皮に一ヶ所あるいは複数ヶ所個できるのが円形脱毛症です。
病側頭部から後頭部の生え際にかけて髪が帯状に抜ける蛇行型や全ての髪が抜けてしまう、全頭型、さらに体毛まで抜ける汎発型などの種類があり、自分の免疫細胞が何らかの原因により自らの体組織を攻撃する自己免疫疾患が大きく関わっているといわれています。
ほとんどは数ヵ月ほどで自然に治ることが多いですが、改善するスピードは人により異なるため、心配な場合はやはりクリニックなどを受診するのがいいでしょう。
病気以外に考えられる女性の抜け毛や薄毛の原因と対策は?
ここでは、病気以外で薄毛や抜け毛を引き起こすと考えられるさまざまな要因について詳しく見ていきたいと思います。
栄養バランスの整った食事を取る
健康的な髪を育てるためには、主原料となるたんぱく質が多く含まれている肉や魚類、たんぱく質を合成するために欠かせない牡蠣やレバーなどに含まれているミネラルである亜鉛、頭皮環境を整えるために必要な玄米やマグロに含まれているビタミンB類をはじめとしたビタミンを意識して毎日の食事から摂取する必要があります。
インスタント食品やファストフードや、脂肪の多い食生活を続けていると皮脂の過剰分泌などを引き起こして頭皮環境を悪化させる場合があるため注意しなければなりません。
また女性の場合は無理なダイエットによりホルモンバランスが乱れたり、髪の成長に必要な栄養素が不足して抜け毛が増えるケースもあるため気を付けましょう。
加齢による女性ホルモンの減少や、ストレスなどによりホルモンバランスが崩れやすいという場合には、豆腐や納豆、豆乳などの大豆製品を積極的に日々のメニューに取り入れていくようにしましょう。
大豆に含まれている大豆イソフラボンは、女性ホルモンの一種であるエストロゲンに似た働きをするため意識して摂取するようにしてくださいね。
適度にストレスを発散する
人間はストレスが溜まると血行が悪くなり、それは頭皮の毛細血管にも悪影響を及ぼします。
髪の成長に必要な栄養素や酸素が頭皮にうまく届かないと抜け毛が増えて薄毛の原因となるため、自分の好きなことに没頭できる時間を持つなど、うまくストレスを発散できるように心がけましょう。
また眠る2時間ほど前に軽い運動を行うとストレス解消につながるだけではなく、眠りにつきやすくなる効果も期待できるためおすすめですよ。
質のよい睡眠を取る
髪の成長を促す成長ホルモンは深い眠りの間に非常に多く分泌されるため、良質な睡眠を心がけることもとても重要です。
ですから寝る1時間前にはスマホやパソコンの画面を見るのをやめブルーライトを浴びないようにしたり、軽くストレッチを行う、アロマオイルをたくなどして気持ちよく眠れるように準備を整えておきましょう。
頭皮や髪の紫外線対策を行う
外出する際には肌に日焼け止めを塗るだけではなく、頭皮や髪の紫外線を防ぐための対策を講じることも薄毛や抜け毛の予防につながります。
頭皮用のカットスプレーや帽子などをうまく活用し、しっかり髪や頭皮を紫外線から守りましょう。
パーマやヘアカラーを控える
おしゃれのためにパーマやヘアカラーを行う女性も多いと思いますが、パーマなどを頻繁に繰り返すことは、髪や頭皮へのダメージにつながり、抜け毛や薄毛の原因となるため注意する必要があります。
またいつも分け目が同じヘアスタイルや髪をきつく結ぶことも、髪や頭皮への負担となります。
抜け毛が気になる場合にはパーマやヘアカラーはできるだけ控え、少し様子を見るようにしてください。
専門医やクリニックを受診するのもひとつの選択肢
生活習慣や見直しや睡眠を改善してもひどい抜け毛の症状が収まらないという場合には、病院やクリニックで治療を受けるのもひとつの方法です。
病院などで処方された薬は、各々の体質や症状やなどを考慮して出してもらえるため、早い改善が期待できます。
抜け毛や薄毛に対して悩みや不安を抱えている方は、一人で悩まずに専門家である医師に相談してみるといいでしょう。
まとめ
急激に髪が多く抜けてしまったという場合には、不規則な生活習慣やストレスなど他にも、びまん性脱毛症や甲状腺機能低下症、脂漏性皮膚炎など病気の可能性もあるため、くれぐれも注意しなければなりません。
内臓の病気が原因となっている抜け毛は自身のケアだけでは改善できないため、急激に抜け毛が増え薄毛の症状が表れた場合には、まず原因を見極めることが大切ですので、抜け毛の他にも気になる症状がある場合には、医療機関を受診してみることをおすすめします。