髪の毛の先から稲穂のように裂けていっていってしまう切れ毛。
ロングヘアの女性には特に悩みの種ですね。
「トリートメントしないとかな…」
「ドライヤーのかけすぎ…?」
するべき処置としては様々なものがありますが、実は原因はドライヤーの使い方が間違っていることにあるかもしれません。
この記事では、現役美容師の私が、意外と知らないドライヤーの正しい使い方について解説していきます。
Contents
美容師が考えるドライヤーの性能
そもそも使うドライヤーにも、近年様々なものが販売されています。
マイナスイオン
場(フィールド)
速乾
温冷機能
などなど、高価なドライヤーになればなるほど多機能なドライヤーが増えていきます。
これを美容師目線で見た時に思うのは、「どれでも変わらない」ということです。
そもそも「高価なドライヤーを使えば髪の毛が傷まない」という考え方が間違っていて、高価なものでも安価なものでも、使い方が間違っていれば髪の毛は傷みます。
高価なドライヤーは、「できるだけ楽して傷みづらくなるように乾かしている」だけで、「乾かす」という行為自体にはなにも違いはありません。
逆に、安価なドライヤーであっても正しい使い方をしていれば、髪の毛を傷ませることなく、ツヤツヤな髪の毛にすることができます。
最低限必要な機能は3種類
高価なドライヤーでなくても、基本的にドライヤーには3種類の機能がついています。
強温風
弱温風
冷風
の3つの機能です。
それぞれに使う目的があり、基本的に髪の毛を傷めずに乾かす目的で使うのであれば、この機能があれば問題ありません。
それぞれの使い方を説明していきます。
強温風
使用するドライヤーについている機能のなかで、一番強い温風が出る機能です。
基本的に美容師は、お客様の髪の毛をブローするときにはこの機能しか使いません。
ですが、髪の毛の傷みや、切れ毛の原因となりやすいのもこの機能。
強い温風によって髪の毛を乾かしすぎてしまう「オーバードライ」になってしまい、それが切れ毛の原因となります。
目安としては8割ぐらいまでをこの強温風で乾かし、その後、次のステップに以降していきます。
弱温風
しっかりと乾かす仕上げの段階で使うのがこの弱温風。
8割くらいまで乾かした髪の毛を、10割まで乾かし切るまでの間に使うイメージです。
髪の毛はこの8~10割までの乾かされるタイミングが一番クセのつきやすい状態です。
この間にしっかりとクセつけをしてあげることで、好みのヘアスタイルをキープすることができます。
冷風
どんなドライヤーにも必ずといっていいほどついている冷風(クール)機能。
「これってなんの為に使うの?」と思っている方も多いのではないでしょうか。
この機能は、高温で乾かされた髪の毛の余熱をとる為と、ツヤを出す為に使います。
髪の毛は温めた後、冷やすことでクセがつく性質があります。
この性質を利用し、毛先の1カールや、流れるクセを作ることができます。
また、冷風でキューティクルを閉じさせる働きもあるので、キレイに閉じたキューティクルによって髪の毛全体のツヤ感をだすことが出来ます。
とは言え、実際に美容師はこの冷風機能はあまり使いません。
クセつけをしたいのであれば、強温風で乾かした後、毛先などのクセを着けたい部分に強温風をあて、一度ドライヤーの風を髪の毛から離し、またあて、を繰り返すことでクセをつけていきます。
ベリーショートの女性やメンズのバーバースタイルに使う事はありますが、この機能自体あまり使う美容師は少ないですね。
正しい乾かし方の手順
各機能の特徴が分かったところで、実際に乾かすときの手順を説明していきます。
これは美容師が行う基本的な乾かし方の手順です。
一つ一つ意味があり、美容師は普段、こういったことを意識しながらお客様の髪の毛を乾かしています。
意外と大事なタオルドライ
シャンプー後の髪の毛がビチャビチャな状態で乾かすのはNG。
あまりにも濡れすぎている状態だと、当然のことながらなかなか乾きません。
また、部位によっての乾かす度合いにもムラが出ます。
シャンプー後は髪の毛の根元から毛先まで、しっかりとタオルで水気をふき取ってあげることがとても重要です。
この時も、タオルで髪の毛を優しく包むように、優しく水気をとってあげるようにしてください。
乾かすのは襟足から
タオルドライが終わったら、ドライヤーを強温風にし、襟足から乾かしていきます。
この時、襟足から顔側に向かって乾かしていくのがポイント。
後ろから前に向かって乾かすことで、髪の毛の根元のクセを取ることにもなり、その後のブローがしやすくなります。
そのままの状態で
襟足
↓
後頭部
↓
両耳上
↓
両側頭部
の順に髪の毛の根元を乾かしていき、最後にトップの根元付近を乾かします。
弱温風でクセつけ
強温風で全体的に根元を乾かしたら、中間から毛先と、前髪を弱温風で乾かしていきます。
毛先のワンカールやサイドの流れるクセをつけたい場合は、この時にブラシを入れながら乾かしてあげます。
強温風に比べてかなり風量が弱い気がしてしまい、強温風に戻したくなるのをグッとこらえ、そのまま弱温風でしっかりと乾かすようにしましょう。
仕上げに冷風機能
弱温風でしっかりと髪の毛全体を乾かしたら、最後に冷風機能を使って髪の毛をクールダウンさせてあげます。
こうして余熱をとり、髪の毛のキューティクルを整えてあげることで、ツヤツヤな髪の毛にすることができます。
ドライヤーは振るもの
ドライヤー自体の基本的な使い方ですが、ドライヤーは振るものです。
美容室に行って美容師が髪の毛を乾かす際、ドライヤーを振っていますよね。
振ることによって熱を分散させ、乾かしムラがないように乾かすことと、振ることによって頭皮が熱くなりすぎないようにしています。
特に襟足の根元付近などは髪の毛が重なり合い密集している箇所なので、ドライヤーを振って頭皮を火傷させず、しっかりと乾かす為には重要なポイントです。
ドライヤーの前にはアウトバス
タオルドライをしてドライヤーで乾かす前におススメなのがアウトバス。
これには
トリートメントオイル
トリートメントミルク
トリートメントミスト
などの種類があります。
それぞれに合った髪質、使い方などがありますが、ドライヤーの熱によるダメージから髪の毛を保護するという目的はどれも同じ。
ご自分の髪質とヘアスタイルに合ったアウトバスを使用することによって、髪の毛を楽に乾かし、傷みづらくさせ、好みのヘアスタイルにすることが出来ます。
パーマのウェーブを保ちたい時の乾かし方
せっかくパーマをかけても、乾かし方一つでなかなかキレイなウェーブは出ないもの。
間違ったドライヤーの使い方によっては、パーマも取れやすくなってしまいます。
ウェーブを保ちたいスタイルであれば、髪の毛の乾かしすぎ自体が厳禁。
毛先が少し湿ってるくらいでドライヤーをやめ、ムースなどの水分量の高いスタイリング剤を使うことがおススメです。
乾かす際にはタオルドライ~強温風をあて8割くらいまで乾かすことは上記した手順と同じですが、その後、弱温風にしてからが変わります。
毛先のウェーブをつけたい箇所を下から上に持ち上げ、髪の毛を手で握って包んだ状態のまま弱温風にしたドライヤーをあてていきます。
そのまま、髪の毛を包んだ方の手は離さずに冷風に変えてドライヤーをあて、完全に乾かし切る前にムースをつけていくと、キレイなウェーブをつくることができます。
まとめ
切れ毛などの髪の毛の傷みも、普段のちょっとしたドライヤーの使い方などによって意外なほど簡単に解消されるものです。
あまりにも傷みすぎてしまった髪の毛にはトリートメントなどの施術が必要な場合もありますが、そうなる前に正しいドライヤーの使い方を覚えておくことはとても大事なことです。
是非、参考にしていただければと思います。