女性の薄毛

血液検査ではOKなのに貧血症状が…女性の薄毛はフェリチン不足から!

女性は貧血、特に鉄欠乏性貧血になりやすいものです。

疲れやすい、めまいやたちくらみがする、集中力が続かないなど、いいことはありませんよね。

しかし、中には血液検査で問題がないという結果が出たにも関わらず、このような症状が出る場合があるのです。

その理由は「フェリチン不足」。女性の薄毛の原因にもなるといわれています。

フェリチンとは何か、そしてなぜフェリチン不足が薄毛を引き起こすのか、詳しく解説しましょう。

「鉄欠乏性貧血」とは?

日本女性の10人に1人、生理がある女性に限ると5人に1人が鉄欠乏性貧血だといわれています。

これはどういったものなのでしょうか。

鉄欠乏性貧血になる原因
鉄欠乏性貧血は、その名の通り鉄分不足によって貧血が起こるというものです。

血液中の赤血球内には、ヘモグロビン(血色素)というタンパク質が含まれています。

「ヘモ」は鉄分が主成分で、「グロビン」はタンパク質でできています。

ヘモは酸素と結合し、全身に酸素を送り込む働きがあるため、鉄分不足はヘモ不足となり、全身が酸欠状態になってしまうのです。

鉄分は非常に吸収率が悪い成分
女性、特に生理がある女性に多いのは、出血によって鉄分が失われてしまうからです。

また、元々日本人は鉄分摂取不足といわれており、充分な量を摂取している人はわずかです。

鉄分を含む食材には動物性(ヘム鉄)と植物性(非ヘム鉄)がありますが、どちらも吸収率が低く、平均して約20%といわれています。

しかも植物性に限ると2~5%といわれ、ほとんどが吸収されず排出されてしまいます。

さらに、日本人の多くは植物性食品から摂取する鉄分の割合が多いため、ますます貧血になりやすいのです。

これに加え、日本人のお茶の習慣も、鉄分不足に拍車をかけます。

緑茶に多く含まれるタンニンは、鉄吸収を妨げてしまうのです。

鉄不足で起こる症状
鉄分不足によって起こる症状はたくさんありますが、よくあるのが以下の症状です。

・顔面蒼白
・動悸、息切れ
・肩こり、頭痛
・疲労、倦怠感
・冷え
・めまい、立ちくらみ
・肌の乾燥
・枝毛や抜け毛の増加
・爪の変形
・集中力低下
・イライラ
・神経過敏

鉄欠乏性貧血は身体だけでなく、精神にも影響を及ぼします。

酸欠になると身体が酸素を求めて呼吸を荒くしますが、呼吸を荒くするのは交感神経の働きによるものです。

交感神経は闘争と逃走の神経といわれ、イライラやストレスを生み出しやすいのです。

数値に問題ないのに貧血症状が出るのはフェリチン不足

健康診断では、血液検査の際にはヘモグロビンの値をチェックします。

正常な成人女性の場合、11.4~14.6g/dlとなっており、この数値内に収まれば正常とされます。

しかし、数値に問題がないのに貧血症状が出る場合、フェリチン不足の可能性が高いです。

フェリチンとは
フェリチンとは「鉄結合性タンパク質」といわれており、その名の通りタンパク質の一種ですが、その中に鉄を貯蔵する働きがあります。

いわゆる予備の鉄ということで、ヘモグロビン内の鉄分が不足するとフェリチンから供給され、ヘモグロビン内の鉄分量を一定にしているのです。

しかし、ヘモグロビン内の鉄分が常に不足している場合、フェリチンに蓄積されていた鉄分がどんどんヘモグロビンに送られ、最後にはフェリチン鉄がなくなってしまいます。

するとヘモグロビンはもうどこからも鉄分を供給されなくなってしまい、この時に「鉄欠乏性貧血」と診断されるのです。

通常の健康診断ではヘモグロビンの値しか検査しないため、フェリチンがあれば鉄欠乏性貧血という診断は出ませんが、実際には「隠れ貧血」になっているのです。

そして、鉄欠乏性貧血と診断された時にはかなり重症になっており、鉄剤の補給をしてもなかなかフェリチン内に蓄積されません。

フェリチンの必要量
フェリチンの正常値は厚労省では決められておらず、各検査機関が独自に判断しています。

そのため、女性の場合5~120ng/mLと非常に幅があります。

医療従事者の実体験によれば、30ng/mL以下だと貧血症状が現れることが多いとされ、フェリチンがまだ残っていても減少とともに症状が発生しやすくなるようです。

日本人女性20歳~49歳の約4割が15ng/mL以下という研究発表もあり、かなり危険な状態と考えられます。

フェリチン不足が薄毛を招く

フェリチンが不足すると、体内の鉄分が非常に少なくなっている、ということになりますが、それが薄毛とどのような関係があるのか、解説しましょう。

毛母細胞が新陳代謝できなくなる
皮膚細胞は常に新陳代謝を繰り返していますが、新陳代謝には酸素が不可欠です。

フェリチンが不足するということは、ヘモグロビン内の鉄分が不足して酸素を充分運べなくなるということで、頭皮が新陳代謝できなくなるのです。

髪の毛を産み育てるのは毛母細胞という毛根部にある特殊な細胞で、細胞分裂を繰り返すことで髪を伸ばしていきます。

そのため、酸素不足は髪の成長を止め、抜けやすくなってしまうのです。

肝臓の機能が低下して血液がドロドロになる
フェリチンには肝臓内の酵素の働きを助けて、肝臓機能を高める働きがあります。

肝臓には解毒作用があり、老廃物や有害物質を分解して排出してくれます。

つまり、フェリチンが多ければ肝臓の解毒作用も活性化され、悪玉コレステロールを分解して血液をサラサラに保ってくれるのです。

フェリチンが不足すると肝臓内に悪玉コレステロールが増え、血液に入り込んでドロドロにしてしまいます。

すると血管壁に吸着して血管を硬く狭くしてしまい、頭皮に充分届かなくなります。

また、届いた血液も有害物質を多く含んでいて、髪の毛に悪影響を与えるのです。

自律神経が乱れやすくなる
フェリチンには、セロトニンやドーパミン、ノルアドレナリンなどの脳内神経伝達物質の合成を促進させる働きがあります。

これらが充分作られていると精神のバランスが取れ、自律神経も安定しています。

しかしフェリチンが不足すると自律神経が乱れやすくなり、交感神経が活性化してしまいます。

交感神経には血管を収縮させる働きがあり、頭皮に血液が届きにくくなってしまうのです。

また、自律神経と女性ホルモン量のコントロールは脳の同じ部分で行なわれています。

そのため、自律神経が乱れると女性ホルモンのバランスも狂いやすくなります。

女性ホルモンには健康的な髪を保つのに欠かせない成分なので、バランスが狂うと髪が細く弱くなり、抜けやすくなってしまうのです。

睡眠不足で成長ホルモンの分泌量も減る
フェリチンが合成を促進させる物質の一つセロトニンは、メラトニンという睡眠ホルモンの原料です。

メラトニンがしっかり分泌されることで質の良い睡眠が取れるのです。

また、質の良い深い眠りの最中には成長ホルモンが分泌されます。

成長ホルモンには傷ついた細胞を修復したり、新陳代謝を促したりする働きがあります。

このホルモンの量が多いほど、髪の健康に良い効果が期待できます。

しかし、フェリチン不足が続くと成長ホルモンの分泌量も減ってしまいます。

その結果、頭皮の新陳代謝が遅くなり髪が伸びにくくなったり、細いままになったりしてしまうのです。

鉄分をたっぷり摂りましょう

フェリチンを増やすには、鉄分の多い食材を摂ることが大切です。

肉や魚介類、乳製品に多く含まれているので、積極的に食べましょう。

また、前述したように植物性食品に含まれる非ヘム鉄は非常に吸収が悪くなっています。

大豆製品や木の実に多く含まれていますが、これらを摂取する時には吸収率を高めるビタミンCを一緒に摂るようにしましょう。

また、鉄なべを使って調理するのもお勧めです。

手入れが難しいといわれていますが、使用後お湯とたわしでしっかり汚れを落とし、火にかけて水分を飛ばしたら油を薄く引くようにすればOK。

鉄なべで料理するだけで味が良くなり鉄分も摂れるのですから、積極的に利用しましょう。

まとめ

女性が鉄分不足になりやすいのは世界共通ですが、欧米では様々な食材に鉄分を添加しているのに対し、日本ではまだまだです。

意識して鉄分の多い食品を摂ったり、サプリメントで補給したり、鉄なべを使ったりと、やりやすい方法でフェリチンを増やしましょう。