女性の薄毛

静電気で髪がボロボロ!?女性の薄毛をも引き起こす静電気の怖さとは

冬になると多くの人が悩む静電気。
それどころか、最近は夏でも「バチッ」と来ることが増えています。

空調の効いた室内は湿度が30~40%まで下がっていることもあり、昔より静電気が起きやすくなっているのです。

しかし、静電気の怖さはバチッと来た時の痛みだけではありません。
髪や頭皮にも悪影響を及ぼしているのです。

静電気が起こる仕組み

見ることはできませんが、人間の身体をはじめ全ての物体は、プラスとマイナスの電気両方を帯びています。
普通はこの2種類のバランスが取れているため、静電気は起こりません。

しかし、摩擦などのきっかけで静電気が発生します。

2つまたはそれ以上のものがこすれ合うことによって、マイナス電気が逃げてしまいます。
すると、残ったプラス電気は他の物質が持つマイナス電気を見つけて一気に引き寄せるため、その衝撃によってバチッと来るのです。
これを「帯電」といいます。

静電気は空気中の水分に逃げる性質があるため、湿度が高ければ帯電しません。
しかし空気が乾燥していると身体にプラス電気が蓄積されてしまうため、特に金属など電気を通しやすいものに触れると、強い衝撃とともに痛みが起こるのです。

静電気が髪に発生すると起こること

髪は痛みを感じないため、どれほど空気が乾燥していても静電気を感じることはありません。
しかし、実際には大きなダメージを受けているのです。

キューティクルが剥がれる

髪の毛の表面を覆うキューティクルはうろこ状のケラチンタンパク質の層になっており、内部にあるコルテックスを保護しています。
コルテックスにはケラチンタンパク質や水分、脂質などが詰まっていて、この部分が傷つくと髪の成分がどんどん失われてしまうからです。

しかし、キューティクルは摩擦に弱いという特性があります。
髪同士が摩擦を起こすとキューティクルのうろこが開き、繰り返し静電気の衝撃を受けてやがて剥がれてしまうのです。

キューティクルは再生しないため、その部分に穴が開き、そこからコルテックスの成分がどんどん逃げてしまいます。
その結果、髪が細くなったり切れやすくなったりして、薄毛になりやすくなるのです。

ホコリがついて頭皮環境が悪くなる

静電気で起こるもう一つの問題が、ホコリを吸い寄せてしまうことです。

ホコリの成分の多くは繊維クズで、髪につくと絡んでなかなか取れなくなります。
それが毛穴に詰まると炎症を起こし、毛根部にある毛母細胞を傷つけてしまいます。

すると細胞分裂がうまくできなくなって髪が生えてこなくなったり、傷ついた細胞の分裂で髪質が変化して細毛やクセ毛になりやすくなったりするのです。

ホコリで雑菌が繁殖してしまうことも

ホコリには、カビやダニ、雑菌、ウイルスなどが入り込んでいることもあります。
それが静電気によって頭皮につくと、頭皮が炎症を起こし、かゆみや悪臭の原因となります。

さらに悪化すると雑菌が毛穴奥まで入り込み、毛母細胞にダメージを与えてしまうこともあるのです。

静電気が起きやすい人と起きにくい人の違い

自分はしょっちゅう静電気でパチパチ来るのに、同じものを触っても全く平気な人もいますよね。
この差は何なのでしょうか。

肌や頭皮に水分量が足りないと静電気が起きやすい

静電気は水分に逃げる性質があるため、うるおいのない乾燥肌やパサパサ髪の場合、静電気が起こりやすくなります。

肌や頭皮の角質層の表面には皮脂膜があり、中にある天然保湿因子NMFや脂質のセラミドを保護しています。
しかし皮脂膜が加齢や間違ったケアなどによって失われてしまうと、皮膚の水分がどんどん蒸発してしまい、静電気が起きやすくなるのです。

ダメージへアも静電気が起きやすい

健康な髪の表面にはMEAというミンクの毛にも含まれる脂質成分があり、髪から水分が蒸発するのを防ぎ、ツヤを与えています。

しかしMEAはたった一度のパーマやヘアカラーで8割が失われ、再生することはありません。
そのため、パーマやヘアカラーを繰り返していると髪がパサパサになり、静電気を帯びやすくなるのです。

衣類の素材の組み合わせによっても静電気が起こりやすくなる

天然繊維のコットンや麻は静電気を帯びにくい性質があります。
逆に、ナイロンやウールはプラス、ポリエステルやアクリルはマイナス電気を帯びやすい素材です。

そのため、合成繊維の服や下着を好んで着用する人ほど、静電気が起きやすくなります。
特に、ナイロンのストッキングにポリエステルのインナーや服、といったようにマイナスとプラスの差が激しい組み合わせをしていると、強い静電気が発生します。

なお、生活の乱れによって血中にプラスイオンが溜まりやすくなり、マイナス電気を引き寄せる帯電体質になる、という説もあります。
しかしこの説は主に健康器具メーカーが主張しており、多くの医師は医学的根拠がないとして否定しています。

帯電しにくくして髪と頭皮を守りましょう

静電気によってダメージを受けた髪は、二度と元の状態には戻りません。
また、頭皮が何度も静電気の衝撃を受けると毛母細胞のDNAが変質し、髪の成長に支障が起きてしまう可能性もあります。

そこで、帯電しにくくなるちょっとした工夫をご紹介しましょう。

脱脂力が強いシャンプーの使用を控える

市販のシャンプーの多くは、非常に強い脱脂力を持つ洗浄成分が配合されています。
使用を続けると髪や頭皮が乾燥し、帯電しやすくなります。

ただ、シャンプーやコンディショナーには帯電防止成分が配合されているので、ダメージがひどくなければ静電気は起きません。

しかし、かなりダメージが進んでいると、それらの成分が配合されていても静電気が起きてしまいます。
その場合は、思い切ってシャンプーをアミノ酸系など脱脂力が穏やかなものに替えてみましょう。

オイルで頭皮マッサージする

あんず油やツバキ油、ホホバオイル、アルガンオイルなどは水分の蒸発を防いで静電気を起きにくくし、さらに髪に浸透してダメージを落ち着かせてくれます。

これらのオイルをシャンプー後1~2滴手のひらに取り、最もダメージを受けやすい毛先中心に薄くつけましょう。

また、シャンプー前にこれらのオイルを頭皮につけてマッサージすると、血行が良くなって皮脂が分泌されやすくなり、頭皮の乾燥を防いでくれます。
さらに毛穴内のホコリや雑菌も落ちやすくなるので、髪が育ちやすくなるのです。

帯電しにくいブラシを使う

プラスチックやナイロンなどで作られた安価なブラシは帯電しやすく、ブラッシングすればするほど髪や頭皮を傷めてしまいます。

豚毛や猪毛、柘植などの木製ピンといった天然素材でできたものは静電気が起きにくいので、髪のキューティクルを傷めず、頭皮の血行を良くしてくれます。

合成樹脂製に比べると定期的に掃除するなどの手間はかかりますが、獣毛に含まれる油分がツヤを与えてくれたり、木製ピンで頭皮マッサージできるなど、メリットもたくさんあります。

手軽な合成樹脂製が良いという場合は、必ず帯電加工してあるものを選びましょう。

室内の湿度を上げる

お肌がつっぱるようなら、室内の空気が乾燥しているということです。

加湿器を置いたり濡れタオルを部屋に干したりして、湿度が50%程度になるよう調整しましょう。

できるだけ帯電しにくい素材の衣類を着る

衣類の素材は、以下のような帯電列があります。

(プラス帯電しやすい)ナイロン→ウール→レーヨン→シルク→綿→麻→アセテート→ポリエステル→アクリル(マイナス帯電しやすい)

できるだけ近いものを組み合わせると、静電気が起きにくくなります。

また、プラスとマイナスを一緒に着る時は、帯電しにくいシルク、綿、麻をどこかに取り入れると、ある程度は抑えることができます。

さらに、静電気防止スプレーも活用しましょう。
特に冬ニット帽をかぶる時は、スプレーを一吹きしてから着用し、取る時はそっと丁寧に脱ぐと、髪や頭皮が帯電するのを防ぐことができます。

まとめ

「静電気=痛い」程度にしか考えず放置すると、髪や頭皮がどんどんダメージを受けてしまいます。

お肌が乾燥したら頭皮や髪も同じ状態になっていると考え、ケアしてあげてくださいね。