かつて円形脱毛症の主な原因はストレスだと言われていましたが、現在は免疫疾患など、さまざまな要因が重なったことで症状が起こると言われています。
そこでここでは、円形脱毛症が起こる理由や改善方法について詳しく見ていきたいと思います。
Contents
そもそも円形脱毛症とは?
円形脱毛症とは文字通り、何らかの理由で髪が円形または楕円形状に抜けてしまう状態のことを表します。
痛みやかゆみなどは特になく、気がついたら髪がまとまって抜けていたという場合が多く、後頭部などは自分では見えないため人に指摘されて初めて気がつくというパターンも多いようです。
発症する年齢は特に決まっておらず、若年層や中年層だけではなく子供や高齢者も男女問わずに発症する可能性があります。
他の脱毛症に比べ進行するスピードが速いとも言われているため、もし円形脱毛症を発症を発症していると気づいたら、少しでも早い適切なケアが必要となります。
一般的に人間の髪は1日100~150本ほども抜けると言われています。
特に秋には抜け毛が増えるとも言われているため、普段からあまり抜け毛に対して神経質になる必要はありません。
しかし円形脱毛症になると、時期に関係なく地肌が露出してしまうほどどんどん髪が抜けていきます。
またその症状のために抜けた髪は、毛根が細くなり尖っているのが大きな特徴となっています。
さらに円形脱毛症にかかった方のもうひとつの特徴として、爪に横線やへこみが多数できることもよく知られています。
円形脱毛症になる理由とは?
ここでは、円形脱毛症を発症する詳しい理由について見ていきたいと思います。
自己免疫疾患
近年円形脱毛症の主な原因として注目されているのが、自己免疫疾患です。
自己免疫疾患とは、体外から何らかの細菌などが体内に侵入することで免疫系機能に異常が発生し、体の一部分が攻撃されてしまうことにより発症する疾病です。
円形脱毛症の場合は、Tリンパ球が毛根を異物と勘違いして攻撃を加えてしまうため、毛根が傷つけられ髪が抜け落ちてしまうと言われています。
免疫機能の異常が起こる原因としては、疲労の蓄積や感染症、ストレスや元々の体質などが挙げられます。
しかしなぜそのそのような異常が起こるかということは、未だにはっきりと解明されていないのが現状のようです。
遺伝
ある国で行われた調査によると、円形脱毛症を発症した約8割に当たる方が、家族の中に同じ症状を発症した方がいるというデータがあります。
また円形脱毛症を発症した一親等の発症率は、二親等以上の約10倍にも及ぶという説もあり、実は円形脱毛症には遺伝的要素が関係している可能性が高いとも言われています。
ストレスの蓄積
人間はストレスを受けると、それに抗おうとして交感神経の働きが活発になります。
これにより体がストレスと戦う態勢を取ろうとするため、体温や心拍数がアップします。
しかしストレスが慢性化してどんどん溜まっていくと、やがて交感神経に異常が起こります。
そうすると血管が収縮してしまうため、頭皮への血流が悪化し健康な髪を育てるために必要な栄養素が毛根まで行き届かなくなり、髪が抜け落ちてしまいます。
女性ホルモンの減少
特に女性の場合は、ホルモンバランスの乱れや減少が円形脱毛症を引き起こす原因となる場合があります。
また妊娠や出産が、女性ホルモンを減少させる原因の一つになる場合もあります。
妊娠中女性ホルモンの値は、実に通常時の100倍以上にも増加すると言われています。
しかし出産後はホルモン値が急激に下がるため抜け毛が増え、特に産後3~4ヶ月頃は抜け毛が多くなるとされています。
多くの方は髪全体のボリュームが減っていきますが、中には円形脱毛症を発症する方もおり、アトピーなどのアレルギー体質の方は、発症する可能性が高いというデータもあります。
また女性ホルモンの減少だけではなく、出産や育児のストレスが引き金となり円形脱毛症なることもありますので、産後の抜け毛にはくれぐれも注意が必要です。
円形脱毛症の種類とは?
円形脱毛症には実はいくつか種類があります。
そこでそれぞれのタイプについて詳しく見ていきたいと思います。
単発型タイプ
円形脱毛症の中では最も多く見られるのが単発型タイプです。
脱毛は髪だけではなく、まゆ毛や体毛などにも発生するケースもあるため普段からチェックすることが重要です。
発症しても約8割は1年以内に治ると言われていますが、まれに多発型に移行する可能性もあるため十分注意が必要です。
多発型タイプ
脱毛箇所が一ヶ所だけではなく二ヶ所以上に及ぶのが多発型タイプです。
多発型になると、完全に治るまで半年から 2年くらいかかる場合もあると言われており、さらに脱毛箇所同士がつながる多発融合型タイプになるケースもあります。
蛇行型タイプ
脱毛箇所同士がつながり、後頭部から側頭部に沿ってまるで蛇のように細長く広がっていくのが蛇行型タイプの円形脱毛症です。
このタイプになると、完治するまでに何年もかかる場合があるため注意が必要です。
全頭型タイプ
脱毛が頭皮全体に広がり、やがて髪が完全に抜け落ちてしまうのが全頭型タイプす。
このタイプは非常に治りにくく、治療に長く時間がかかる場合が多いと言われています。
こうなると特に女性の場合はウィッグを着用するなど、見た目やメンタル面でのケアも必要となります。
汎発(ばんぱつ)型タイプ
髪はもちろん、まゆ毛やまつ毛、体毛など全身の毛が抜け落ちてしまう、円形脱毛症の中でも最も症状が重いのが汎発型タイプです。
全頭型タイプと同様に治療が長びく可能性が高いため、ウィッグなどの活用とともに、日常生活においても円形脱毛症と上手に付き合っていく心構えや工夫が一層重要となってきます。
円形脱毛症の予防法や改善策とは?
以下では、円形脱毛症を発症しないための予防法や、万が一発症した場合の改善方法について詳しく見ていきたいと思います。
自分の体質を知っておこう
前述したように、円形脱毛症を発症する原因とのひとつして遺伝が挙げられます。
しかし、仮に家族の中に円形脱毛症にかかったことがある方がいないからといって絶対に円形脱毛症にならないとは言い切れませんし、また遺伝子要素があるからといって、将来円形脱毛症になるとも限りません。
それよりも大切なのは、普段から自分の体質についてよく知っておくことです。
特にアトピーなどのアレルギー体質の方は円形脱毛症になるリスクが高いとも言われているため、自分がどんなものに対してアレルギーを起こしやすいのか、またその対処方法についてもあらかじめ把握しておくことが大切であると言えるでしょう。
適度に体を動かそう
適度な運動はストレス解消だけでなく血流促進にもつながり、頭皮へ髪の成長に必要な栄養素を運んでくれます。
ですから規則正しい生活を送りながら、適度に体を動かすことは円形脱毛症の予防にもつながると言えます。
頭皮マッサージを行おう
頭皮マッサージはリラックス効果をもたらし、さらに頭皮の血行を促す役割を果たしています。特に入浴時などにマッサージすると、より高い効果が期待できます。
専門医での治療が必要な場合も
単発型など初期の円形脱毛症の場合は、時間の経過とともに自然治癒する可能性もあります。
しかし多発型や全頭型の場合は放置しておくとますます悪化することも考えられるため、専門医を受診し治療する必要があるでしょう。
円形脱毛症の治療には、血行改善剤や抗アレルギー薬などを使用しての治療や、ステロイドの局所注射などの方法もあります。
とにかく心配であるという場合は、まずは一度病院を受診してみることをおすすめします。
まとめ
主に自己免疫疾患などにより発症すると言われている円形脱毛症ですが、その他のさまざまな理由が積み重なったことにより起こる場合もあります。
しかもその数は年々増加傾向にあるとも言われており、これまでそんな症状は起きたことがないという方もいつ発症するか分からないため、普段から自分の髪をチェックする必要があると言えるでしょう。