女性の薄毛

アドレナリンは脳には良いけど髪にはNG?女性の薄毛を増やす原因に

近年「アドレナリン」という言葉は当たり前のように使われていますが、ほとんどの人が何となく感覚で使っていますよね。

また、良いイメージのほうが強いのですが、実際にはそうともいえません。

髪の毛に悪影響を及ぼすこともあるのです。

今回は、アドレナリンの働きと、髪に対する影響について解説しましょう。

アドレナリンとは

まずは、アドレナリンが何か、どんな作用をするものか説明します。

アドレナリンは神経伝達物質の一つ

アドレナリンは腎臓の上にある副腎髄質で作られる神経伝達物質で、交感神経が活性化すると分泌されるホルモンです。

似た物質にノルアドレナリンがありますが、これは交感神経自体と副腎髄質両方から作り出されるもので、ほぼ同じ働きをしています。

最初にノルアドレナリンが分泌され、次にアドレナリンが放出されます。

ホルモンは非常に少ない分泌量でコントロール作用のある化学物質で、少量のアドレナリンやノルアドレナリンの分泌によって、心身に大きな変化をもたらします。

アドレナリンは交感神経と深い関係がある

アドレナリンの合成は交感神経の働きとリンクしています。

交感神経は心身を活動的にする働きがあり、ハードな運動やストレスによって活性化されます。

これは、交感神経が「闘争と逃走の神経」といわれ、何らかの刺激に対して闘う、あるいは逃げるという行動を支配しているからです。

そしてこの時にアドレナリンも分泌されるのです。

このホルモンが分泌されると、体内で大きな変化が起こります。

心臓の拍動が早くなり、血圧が上昇し、筋肉の血管が拡張して血液をたっぷり送ります。

これは、筋肉を自由に動かせるようにするためです。

その反面、皮膚の血管は収縮し、血液が全身に回らないようにしてより多くの血液を筋肉に集めます。

さらに、血液には熱を伝える働きがあるため、筋肉が温かくなりより動きやすいようになるのです。

また、闘ったり逃げたりする際に障害とならないよう、消化器の働きを止めたり排尿しにくくしたり、脳の緊張を高めて状況に対して敏感にしたりします。

これら一連の動きは、1秒以内に行なわれているといわれています。

闘争や逃走に時間がかかるとより危険が増すため、反応が一瞬で起こるようにできているのです。

アドレナリンの働き

アドレナリンは、適度に分泌されていればやる気や集中力、積極性を向上させ、勉強や仕事などにとてもよい効果をもたらします。

また、筋肉に充分な栄養が届くためパフォーマンスもアップします。

さらに、アドレナリンが分泌されている時は心身が活動的になっているので、エネルギーの消費量も多くなります。

体温が上がって脂肪燃焼が促進されるので、ダイエット効果や冷え改善効果もあります。

また、痛みに対して鈍感になる作用もあります。

痛みに敏感になると闘争や逃走のじゃまになるため、感覚を麻痺させるのです。

例えば、むちうちは直後に症状が出にくく、数日経って首が痛くなることがよくあります。

これは脳が事故の衝撃に対処しようとして、痛みを感じさせなくしているからだといわれています。

アドレナリンが多すぎると

このように、アドレナリンには人間を活動的にする作用があります。

しかし、多すぎたり少なすぎたりするとデメリットのほうが大きくなってしまいます。

特に近年増えているのが、交感神経が常に優位になってアドレナリンの分泌量が増え続けてしまう状態です。

・常にイライラしたり攻撃的になりやすくなる
・感情の起伏が激しくなる
・末端へ血液が届かなくなり手足の冷えが起こる
・内臓機能が低下する
・便秘、排尿困難になる
・血圧が高くなる
・自律神経が乱れたままになる
・パニック障害を起こしやすくなる 
など

このような状態になる大きな原因はストレスで、ストレスによって交感神経が活性化してアドレナリンが分泌され、さらに交感神経の働きが強くなってアドレナリンが過剰分泌される…という悪循環になってしまうのです。

アドレナリンが少なすぎると

アドレナリンの分泌量が少なすぎると、多すぎる時の反対のことが起こります。

・無気力
・集中力の低下
・学習障害
・精神不安
・食欲不振
・疲労や倦怠感
・強い眠気
・下痢
・抑うつ 
など

アドレナリンが少なすぎると脳波がゆっくりしてしまい、寝起きの状態が続いているのと同じようになるのです。

アドレナリンが多すぎると薄毛の原因になることも

アドレナリンの過剰分泌が、どのように頭皮や髪に影響するのでしょうか。詳しく説明しましょう。

血管が収縮して栄養が届かなくなる

髪の毛の成長は、血液による栄養素と酸素があってこそです。

頭皮の毛細血管から毛球部の毛乳頭に送られ、そこから髪を産み育てる毛母細胞に供給されます。

毛母細胞は血液によって細胞分裂を繰り返し、分裂した細胞が髪に変化して伸びていくのです。

そのため、血液が届かないと細く弱い髪の毛になり、抜けやすくなってしまいます。

アドレナリンには皮膚の血管を収縮させる働きがあり、血液を筋肉に集中させてしまいます。

すると頭皮に栄養が届かなくなるため、髪の毛の成長も止まってしまうのです。

皮脂が過剰分泌される

アドレナリンが増えると交感神経の活性が強くなりますが、交感神経には皮脂の分泌量を増やす働きがあります。

毛穴の内部にある皮脂腺からどんどん分泌され、頭皮に送られて頭皮や髪がべたつきやすくなるのです。

また、皮脂が紫外線に当たると酸化し、毛穴内に炎症を起こして毛母細胞の働きを阻害してしまいます。

さらに、頭皮には皮膚を弱酸性に保つマラセチア菌という常在菌が生息していますが、皮脂がエサなのでどんどん増殖してしまい、遊離脂肪酸を排出します。

するとかゆみや炎症の原因となり、やはり毛母細胞にダメージを与えて髪の毛の成長が悪くなってしまうのです。

良質な血液が作られなくなる

前述したように、アドレナリンには胃腸の働きを弱める作用があります。

そのため、アドレナリンが常に分泌されていると食べた物が消化できず、良質な血液が作られなくなります。

髪の毛は血液のみを栄養として成長します。

しかも髪の毛の主成分はケラチンというタンパク質で、18種類のアミノ酸からできています。

そのため、18種類のうち1種類でも不足していると、健康な髪は育ちません。

睡眠の質が悪くなり成長ホルモンの分泌量が減る

アドレナリンには脳を興奮させる作用があるため、なかなか寝付けなくなります。

また、夜中に目が覚めてしまうこともよく起こります。

これはすべて眠りが浅いからで、アドレナリンの作用で睡眠を司る副交感神経が活性化できないのです。

質の良い深い睡眠が大切なのは、その時に成長ホルモンが分泌されるからです。

成長ホルモンは子供だけでなく大人にも大切なホルモンで、細胞の修復や生まれ変わりを促進させる働きがあります。

つまり、日中紫外線や大気汚染、空調などでダメージを受けた毛母細胞の元気を取り戻すことができるのです。

しかし、せっかくの成長ホルモンもアドレナリンの作用が強すぎると、あまり分泌されません。

女性ホルモンの働きが弱くなる

女性ホルモンには、髪の毛の健康を維持し寿命を伸ばす働きがあります。

しかし、アドレナリンが過剰分泌されると男性ホルモンが増えます。これは、アドレナリンによって活性化する交感神経と男性ホルモンに深いつながりがあるからです。

男性ホルモンの一種DHT(ジヒドロテストステロン)には非常に強い脱毛作用があり、男性の薄毛の大きな原因となっています。女性の場合、多少の男性ホルモンは持っているものの、女性ホルモンのパワーのほうが強いため、男性のような薄毛にはなりません。しかしアドレナリンの分泌量が多すぎると男性ホルモンの威力が増し、髪の健康を保つ女性ホルモンの力が弱まってしまうのです。

アドレナリンを過剰分泌させないために

アドレナリンは、自分の意思で減らしたり増やしたりすることはできません。

しかし、ストレスを感じた時に分泌されるホルモンなので、自分なりの方法でストレスをできるだけ解消することが大切です。

ただし難しいのが、強い喜びを感じることもアドレナリンを増やしてしまうということです。

例えば、大好きなアイドルや芸能人のコンサートで大興奮した夜は、なかなか寝付けなくなりませんか?

これもアドレナリンの働きによるものなのです。

幸せな気持ちに包まれて熟睡できる人は良いのですが、なかなか興奮が冷めないタイプの人は、ストレス解消のために強い刺激を求めることは控えましょう。

おすすめなストレス解消法には、このようなものがあります。

・ゆっくり湯船に浸かる
・アロマを嗅ぐ
・ストレッチやヨガをする
・ヒーリング音楽を聴く
・公園などで森林浴をする
・運動としてではなく、ゆっくりのんびり散歩する

自分に合ったストレス解消法を見つけ、アドレナリンの分泌量が増え過ぎないようにすることが、薄毛予防や改善にもつながりますよ。