「ノープー」は、海外セレブがやり始め注目を集めた、シャンプーを使わずに髪を洗う方法のこと。
特にスーパーモデルのミランダ・カーが行なっているということで、始めた女性も多いようです。
ノープーとは?その効果は?詳しく解説します。
Contents
海外有名人も実践のノープーとは
日本でノープーというと、シャンプーを使わず、お湯だけで髪と頭皮の汚れを落とす「湯シャン」がよく知られています。
しかし、海外ではもっと広い意味で使われています。
・シャンプーを使う回数を極端に減らし、湯シャンだけで済ます
・洗髪自体の回数を少なくし、洗う時はシャンプーを使う
・洗髪の回数は減らさず、湯シャンとシャンプーを交互に行なう
日本では五木寛之氏が先駆者
日本では、五木寛之氏が湯シャン派であることを公表して以降、注目を浴びるようになりました。
彼にとっての湯シャンの目的とは、「ハゲないこと」。
東南アジアを放浪している時に、貧しくてシャンプー剤を購入できず、お湯や水だけで髪を洗っている現地男性ほど髪が豊かであることに気づいたからだとか。
五木氏は若い頃は年に4回、今でも2ヶ月に一度程度しかシャンプーを使用しないそうですが、その結果は…御年80歳を超えてもあの見事なフサフサ髪!
それ以降、薄毛を気にする男性の間で湯シャン実践者が増えたようです。
ノープーが海外で人気の理由
海外では、ノープーをしている理由は様々です。
硬水なので髪が傷みやすい
例えばファッションの国イタリアでは、多くの男女が週に1回程度しか洗髪自体しません。
これは、ヨーロッパの多くの国は硬水だからです。
カルシウムとマグネシウムが多く含まれているため髪に付着しやすく、ゴワゴワになってしまうのです。
そのため、髪を洗うという行為自体を減らす傾向があります。
シャンプーの成分が強すぎる
近年日本でも知られるようになりましたが、市販のほとんどのシャンプーは洗浄剤としてラウリル硫酸やラウレス硫酸という界面活性剤を使用しています。
ラウリル硫酸は硬水でも泡立つようにヨーロッパで開発された洗浄成分で、非常に洗浄力と脱脂力が強くなっています。
しかし、そのために髪や頭皮に必要な皮脂まで取り去ってしまうため、髪がパサパサになったり頭皮が荒れたりしやすいのです。
さらに分子が小さいので残留性も高く、頭皮にずっとダメージを与え続けてしまいます。
ラウレス硫酸はラウリル硫酸の分子を大きくしたものです。残留性が弱くなり、頭皮にも髪にも多少はやさしくなっています。
日本では現在ラウレス硫酸が主流ですが、特にヨーロッパではいまだにラウリル硫酸が主流です。
そのため、シャンプーを使用する回数を減らして髪のダメージを少なくしているのです。
空気が乾燥している
年間の平均降水量をみると、欧米で日本(1,668㎜)より降水量が多い国はアイスランド(1,940㎜)のみです。
イギリスが1,220㎜、イタリアが832㎜、アメリカは715㎜と、半分以下なっています(2017年データ)。
空気が乾燥していますから、頭皮や髪も乾燥しやすくなります。
だから、むしろシャンプーの回数を減らしたほうが、髪と頭皮の状態を良好に保ちやすいのです。
環境問題からノープーする人も
シャンプー剤を使用した後は当然洗い流しますが、それが水質汚染につながっていることから、ノープーする人もいます。
界面活性剤は分解されないため、それが下水から川や海に流れ出すことで、環境汚染が世界中に広がってしまうのです。
日本人女性がノープーを始めるのは、海外セレブがやっているから、というきっかけが多いようです。
しかし、このように日本と海外では事情が違います。
そのため、海外の有名人がやっているから、という理由だけでトライすると、思ったような効果がなく止めてしまう女性が少なくないのです。
実際にやってみてずっと続けている人の理由
ノープーをやってみたら快適でずっとやっている人もいれば続かなかった人、様々です。
まずは、ノープーに大満足、という人を見ていきましょう。
ノープー満足派の感想
ノープー派の女性は、以下のような感想を述べています。
・ベタベタだった頭皮と髪が改善した
・かゆみやフケが出なくなった
・髪が太くなりツヤも出て来た
・ぺたんこだった髪にボリュームが出た
・抜け毛がすごく減り髪が増えて来た
ノープーが髪と頭皮に良い結果をもたらす理由
ノープー満足派の大きな理由となっているのが、ラウリル硫酸やラウレス硫酸によるトラブルの減少です。その理由には以下のことが挙げられます。
頭皮が乾燥しなくなった
頭皮は皮脂膜で覆われていて、水分の蒸発や紫外線や雑菌による害を抑制しています。
しかし強力な洗浄剤ですべて取り払われてしまうと、再度皮脂が充分分泌されるまでに6~12時間かかるといわれています。
するとその間頭皮が無防備な状態に置かれるため、頭皮が乾燥してフケやかゆみの原因となったり、毛母細胞が損傷して薄毛になったりしやすいのです。
頭皮のベタベタがなくなった
強力な脱脂力によって頭皮から皮脂がなくなると、頭皮を守ろうとして皮脂が過剰分泌されることがあります。
すると実際には頭皮が乾燥しているにも関わらず皮脂の分泌量が増えてしまい、それが髪にも回ってべたついてしまうのです。
ノープーにしたことで、皮脂量が正常に戻ったのでしょう。
かゆみやフケが出なくなった
フケやかゆみの原因は、頭皮の乾燥による場合と過剰な皮脂による場合があります。
乾燥の場合は、外部からの刺激によって皮膚の新陳代謝が乱れ、角質が剥がれてしまうものです。細かくパラパラした乾性フケやかゆみが出ます。
また、皮脂が増えすぎると頭皮の常在菌マラセチア菌が増え、皮脂をエサにして脂肪酸を放出します。
これが角質への刺激となり、まだ剥がれる段階でない角質が剥がれて脂性フケとなるのです。
シャンプーの使用を減らすと、こういった現象がなくなってきます。
髪にボリュームが出た
ラウリル硫酸やラウレス硫酸は髪や頭皮のケラチンタンパク質を変質させるといわれています。
使用を続けているとハリやコシがなくなるためぺしゃんこになり、ボリュームもなくなってしまいます。
シャンプーの回数を減らすことで髪や頭皮の状態が改善されると、髪がしっかりしてきて根元から立ち上がるようになってくるのです。
抜け毛が減った、髪が増えて来た
洗浄剤による刺激がなくなることで頭皮環境が良くなると、毛母細胞の新陳代謝が正常になります。
細胞分裂の回数が増えて髪の伸びが早くなり、しっかりした太い髪の毛に変化していきます。その結果抜け毛が減り、さらに育毛効果も期待できるのです。
実際にやってみて止めた人の理由
ノープーに満足している人が一方、合わなかったと感じている人もいます。
ノープーで髪と頭皮に良い結果が出なかった理由
ノープー不満派のほとんどは、べたつきが残る、臭う、ボリュームがなくなった、といったことでノープーを止めています。
その原因の多くは、元々の脂質や分泌量、やり方にあります。
頭皮や髪のべたつきがひどい
ノープーにしたらべたつくようになったという場合、元々皮脂分泌量が多い、あるいは皮脂がべとつきやすい性質である可能性が高いです。
特に肉をよく食べる人は皮脂に粘着性があることが研究でわかっています。
お湯だけでは落ちにくく、シャンプー剤を使わないとべたつきが残りやすくなります。
ニオイがきつくなった
これもべたつきと同様、食べる物による違いが大きいです。
肉類の食べ過ぎによってタンパク質が充分消化されないと、腸内の悪玉菌によって腐敗しアンモニア臭が出てしまいます。
これまでシャンプーやコンディショナーの香料によって隠れていたニオイが、はっきり出てしまうのです。
ボリュームがなくなった
シャンプーを使用していた時はボリュームがあったのに、湯シャンメインにしたらぺしゃんこになったという場合、事前の準備が足りなかった可能性があります。
髪の汚れはブラッシングだけで大半が落ちるといわれており、しっかりブラッシングすることが大切です。
また、ブラッシングには頭皮の血行を良くする効果があり、湯シャン前に毛穴が広がっていると余分な皮脂が洗い流されやすくなるのです。
また、お湯の温度も大切です。皮脂は温度が高いほど溶け出しやすくなりますが、その反面皮膚への刺激も強くなります。38℃~40℃が適温です。
抜け毛が増えた
湯シャンする人の中には、皮脂汚れやほこりを落とそうと頭皮をゴシゴシしたり爪を立てて洗ったりする人がいます。
すると頭皮が荒れて硬くなり、毛細血管を圧迫して血行が悪くなります。
その結果栄養が届きにくくなり、抜け毛が増えたり髪が細く弱くなったりするのです。
まとめ
ノープーには「ほぼ湯シャンのみ」「湯シャンとシャンプー剤使用を併用」「洗髪自体を減らす」など、様々な方法があります。
どれが合うかは、実際にやってみるのが一番です。
お勧めは秋から冬です。頭皮が乾燥しやすく皮脂分泌量も減るので、シャンプー剤の使用回数を減らしてもそれほど気になりません。
薄毛が気になる方は、この時期に始めてみてはいかがでしょうか。