女性の気になる薄毛を隠す上で大切な「カツラ」。カツラそのものがいつ誕生したのかは、はっきりわかっていません。
ではどのようにカツラというものが誕生し、「薄毛を隠す」という目的以外で使われていたのかを、歴史を紐解きながら誕生秘話を見ていきましょう。
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古代でのカツラの役割
古代エジプトでは、カツラが盛んに使われ、時に地位を表す重要なマークですらそれぞれの立場でカツラの形が微妙に分けられ、人々はわざわざ髪の毛を剃り上げてカツラをかぶっていました。
当時、髪の毛を剃ることは神聖な行為とみなされ、また、カツラは重宝されたといわれます。材料は人毛ほか、羊毛や植物繊維が使われたようです。
また、すでにその時代から薄毛隠しとしてのカツラは生まれており、古代ローマ時代には、ほぼ一般的に普及していたようです。
ヨーロッパではオシャレとして使われていた
フランス王朝の時代になると、当初は単なる薄毛隠し、あるいはオシャレとして利用されたのですが、いざ使ってみるとかえって衛生的だったのも需要の急増に繋がりました。
当時、石鹸は質が悪く、今のように日常的に洗髪が行われていたわけではありませんので、髪の毛を洗うのが大変だったうえに、髪の毛にノミやシラミが入り込んでいました。
その点、女性でも頭を剃ってカツラを付ければ、そんな苦労を味わわなくても済んでいたのです。
日本でのカツラの歴史
古代から様々な形で「薄毛隠し」のカツラが発展してきたヨーロッパに比べて、日本では、江戸時代、髪の毛の量が少ない女性がボリューム感を出すために使った「かもじ」など添髪にその痕跡がある程度で、薄毛に対してカツラを使うという伝統は明治以前にはそれほどありませんでした。
つまり、現在のカツラ産業の繁栄は日本の歴史から見ると、とても特殊な出来事として見えるのです。
日本でのカツラ産業の発展
欧米を中心に、世界中でカツラは作られており、今では自分の頭皮にしっかりとフィットするオーダーメイドのカツラが作れるまでに技術が進歩しています。
ですが、連日のようにテレビでも薄毛隠しのカツラをPRしている国は、世界中どこを探しても日本しかありません。
逆に言えばそれほど日本は薄毛・ハゲに対して厳しい国、ということになるのです。その要因として、以下のことが考えられます。
恥の意識
世界中の多くの人が指摘するのが、日本人が伝統的に持つ「恥」の意識です。個人主義は浸透している欧米に合っては、少なくとも薄毛はカッコ悪いことではあっても、恥ずかしいことではありません。
個人個人がどんな服装をし、どんな髪型をしていようと「それはあんたの自由」として干渉しない文化がすでに出来上がっているのです。
ヨーロッパでの生活の長い日本人女性によれば、「もちろん気にはしていても、日本人のように気に病んでいる(薄毛であることを)人はあまりいない」とのことです。
日本人ならではの同調圧力
日本の場合、最近では個性を尊重するような社会情勢になってきましたが、まだまだ回り全体と同じでなくてはならない、といった画一化教育が幼児のころから行われ、周りと違うものは「恥ずかしいもの」として排除されていっています。
おかげで本来個性的であるはずの髪型のファッションまで画一化され、ちょっと進んでいる女子高生なら髪の毛を茶髪に染めなきゃ恥ずかしい、というような風潮が一般化しているのも日本ならではといえます。
それゆえに、まだまだ少数派である薄毛の人は多数派であるそれ以外の人たちに、同調圧力というより強い圧迫を受け、各国よりもカツラを欲するのです。
経済的側面
日本のカツラ産業の発展には、経済的な側面も当然あります。終戦直後のように食べるだけが精いっぱいの時代に、たとえ美しくなりたいからといって、多くの女性がカツラに大金を出すとは考えられませんよね。
しかし、ある程度豊かにもなり、衣住食も満足されてくると、今度は見栄えを気にするようになるのが世の中の常です。
2大カツラメーカー、アートネイチャーの創業が昭和40年、アデランスが同44年。まさに高度成長期です。
豊かさとともに仕事の複雑化などによって、髪の毛の大敵である現代型ストレスが飛躍的に浸透していった時期に当たります。
その意味では、いま、経済発展が進行中の東南アジアや中国で女性用のカツラのマーケットが日本並みに巨大化していく可能性は十分にあります。
カツラの価格相場
通常、大手メーカーで買う製品の場合、1個50万円程度と考えていれば間違いありません。1個10万円程度の製品もあるにはありますが、あくまでも既製品ですので頭に合わない可能性があります。
指紋同様、人間の頭の形は一人一人違うわけで、さらには抜け毛の進行度合いも違います。
洋服じゃないので、既製品をかぶっても自然に頭をカバーすることはできません。
すっぽりとかぶるタイプにせよ、ネット状のものにせよ、自分の頭だけに合うオーダーメイドの製品を使う限り、50万円の出費はまず覚悟が必要です。
頭全体を覆う全カツラなどでは、ものによって、100万円近いものもあります。
カツラを購入する場合は予算は十分に
カツラは一つあれば満足いく生活を送れると思われがちですが、実はというとそうではありません。
スペアがないと困る
仮に何かの拍子でカツラを装着するするためのストッパーが壊れたとしましょう。当然、仕事を1日休んで修理に行けば簡単に直すことができます。
しかし、仕事の都合で修理することができない場合、スペアがないとカツラなしの頭のママ出社しなければいけません。
ですが実際にカツラを1度付けてしまったら、外して出かけるのにはなかなかの勇気がいるものです。
なのでカツラを使うと決めた以上はスペアを持っておいた方がいいです。
スペア込みの予算設定を
まず購入時、1個50万円で、スペアの分も含めれば100万円。ただそれを払えばもう終わりかといったら、そんな単純なものではありません。
整髪は、そのメーカー直営のヘアサロンで行うものとして、月1回で5,000円程度。それに、カツラ専用のブラシやシャンプー、リンスなどの付属品もそろえておかなければいけません。
さらに、「丁寧に使えば10年は持ちます」とメーカー側が胸を張るカツラ本体ですが、たとえ製品の方が10年もっても、肝心の頭がそんなに持たないケースがあります。
女性の場合だと、勝った当初よりも髪の毛全体のボリューム感がなくなっている場合もありますので、また新しい製品に買い替えなけれ場ならないケースが非常に多いのです。
カツラを着けるかどうかはその日との価値観次第
「カツラ1個分の金があれば、家族3人でハワイ旅行にいける」と思う人もいるでしょう。
それほどカツラを購入・維持するのにはお金がかかってしまいます。オーダーメイドのものだと、さらに予算を要するでしょう。
薄毛に悩む女性自身の気持ちで、「カツラを購入するくらいなら旅行に行く」という人もいれば、「お金よりも大切なものを守りたい」という髪の毛への意識が強い人もいます。
カツラを購入して隠したい人の気持ちも良く分かります。要は、どちらの方をより大切と考えるか?その人の価値観の問題であるといえます。
この記事では日本でのカツラの発展から費用相場までカツラに関するあらゆることについて解説してきましたが、薄毛を隠す・治す選択肢はカツラだけにとどまりませんので、自分が納得最善の選択で満足した人生を描いていきましょう。