女性の薄毛、と一口にいってもその種類や原因、症状は様々です。
ストレスを抱え込み過ぎたことによる脱毛、生活習慣の乱れによる抜け毛の増加、何かしらの病気が原因の脱毛症、出産前後のホルモンバランスの乱れによる脱毛など。
原因がほぼ特定できる種類のものと、研究を重ねてはいるものの、今でも原因がわかっていないものに分けられます。
この記事ではそれらの薄毛・脱毛症について詳しく解説していきますので、自分と似た症状、原因に心当たりがある方は、是非この記事を参考にして対策を練ってください!
抜け毛・脱毛症の種類
症候性脱毛症…腸チフスなどの伝染病、梅毒などの慢性感染症、それに抗がん剤投与などによって髪の毛が抜けるなどによって起こる脱毛症 抜け毛症・・・うつ病、ヒステリーなどによって自分で髪を抜いてしまう病気 結髪性脱毛症…無理なヘアスタイルで髪の毛を引っ張りすぎて起きる脱毛症
これらの脱毛症は直接的原因が特定できているので、原因を排除すれば改善されるケースがあります。
原因不特定の脱毛症
上記のように原因が特定できる抜け毛・脱毛症があれば、突然頭が円形型に薄くなる「円形脱毛症」。
20代~30代、時には10代から頭の毛が薄くなりだす「若年性脱毛症」、つまり若いうちの薄毛は、現在の研究ではどれが原因とはっきり特定することができません。
「円形」と「若年性」の場合、明らかに違うのは前者は成長期の髪の毛が急にバッサリと抜け始めるのに対して、後者は、成長期から休止期に至るサイクルが短くなり、どんどん髪の毛が細く、軟らかくなっていく過程を経て、いつの間にか頭の毛の量が減少していくことです。
また、円形が何らかの治療をきっかけに、また急に髪の毛がフサフサ生えてくる可能性があるのに対し、若年性は、今のところ逆転ホームランの可能性はない、という点も違っています。
その他の脱毛症
他にも、フケが多く発生してそれを食べる微生物が増殖したりして頭皮が炎症を起こし、抜け毛が増えていく「脂漏性(しろうせい)脱毛症」がありますが、これは若年性脱毛症の初期に起こるケースが多いので、それに混ぜて分類することがあります。
さらに、最近急激に増加しつつあるのが、過剰なダイエットなどによって起きる抜け毛や脱毛症。
これも完璧に原因が明らかになっているわけではありませんが、おそらく髪の毛の大切な栄養分であるタンパク質の摂取不足によって、毛根の活動が鈍ってしまったものと考えられます。
髪の毛は毛乳頭を通して血液から栄養を摂って成長するのですが、血液中のタンパク質が少ないと、髪の毛は完全に角化できなくなり、抜けやすい弱い髪の毛が生産されることになります。
タンパク質不足は薄毛を招く
日本赤十字社輸血センターの調査では、女性献血者のうち20%は貧血などのために輸血不適格者になっているそうです。
全てではないにしろ、このうち多くがダイエット実践者であることは想像がつきます。
女性の方は、身体を引き締めて美しくなるのもいいですが、手間とお金を使ってわざわざ髪の毛が抜けて醜くなるダイエットはすぐにやめるようにしましょう。
栄養バランスの整った食事、特にタンパク質は適度に摂取し、髪の毛に負担のかからない体重調整を心掛けましょう。
円形脱毛症の原因
一般に、円形脱毛症と聞くと、頭のどこかにぽつんと硬貨くらいの大きさの薄い部分ができるものと思われがちです。
ですが実際はそれほど単純なものではなく、多様なケースに分かれているのです。
丸い脱毛があちこちにできてしまう「多発型円形脱毛症」、頭全体が脱毛してしまう「全頭脱毛症」、頭はおろか眉毛やまつ毛、陰毛まで抜けてしまう「汎発性円形脱毛症」などです。
円形脱毛症の原因は、昔から通説のようになっていたストレス説だけでなく、これまた多くの学説が入り乱れています。
自己免疫疾患説
いま、最も円形脱毛症の原因として有力といわれている説で、「自己免疫疾患説」があります。
人間の体には、外科医から異物が入ったときにそれを排除しようとする性質があります。
病原菌が入ったときにリンパ球が襲い掛かってきて、その菌を破壊するような性質です。
ところが、何かのはずみで毛根の細胞が異物と判断され、リンパ球に破壊される場合があるようです。
その「はずみ」がどんなものなのかはわかりませんが、こうした自己免疫の働きを抑える薬を使うと円形脱毛症が治るケースも多いらしいです。
末梢神経異常説
もう一つ、有力な説になっているのが、「末梢神経異常説」です。
頭皮にある末梢神経に何らかの異変が起きて、髪の毛が抜けてしまうというものです。
円形脱毛症患者の毛根を調べると、その周辺の末梢神経が異常をきたし、脱毛部分などは通常の頭皮より感覚が鈍くなっているのは知られていました。
ただしこれも、どうしても円形脱毛症と末梢神経が関連性がありそうだというところまではっきりしていません。
その他様々な説が
そのほかにも自律神経の異常が原因という説もあれば、ホルモンの異常分泌によるとのホルモン説もあります。
また、それら色々な原因がミックスされて抜け毛が始まる、とする多原因説もあります。
ストレス説は、最近ではごく少数派の意見になりそうです。
自分では全く気付かず、ある日突然、床屋や美容院に行って「薄くなってますよ」と宣告されることがほとんどの辛い円形脱毛症ですが、もちろん現在の医療で治す方法もあります。
円形脱毛症の治療方法
脱毛部位が軽症であれば、ビタミンE、塩化カルプロニウムなどの血管拡張剤を配合した育毛剤などで治療します。
重症になってくると精神安定剤や自己免疫を弱めるための副腎皮質ホルモン(ステロイド)投与、毛根周辺の働きを回復させるためのドライアイスなどによる冷凍療法や、太陽灯照射などが行われています。
ただしステロイドを使うとホルモン異常などの副作用が生じやすいため、使用は慎重に、というのが医学的な知見であり常識です。
とにかく円形脱毛症には、ある程度、はっきり効果が確認された療法があることあるので安心してください。
タイプ別:脱毛症の種類
記事の最後に、タイプ別にまとめた脱毛症の種類をご紹介していきますので、普段の生活をしていて急に症状が出てきたら下記の症状に当てはめてみましょう。
必要であれば、皮膚科や専門クリニックへの受診・治療が必要となりますので是非参考にしてください。
①髪の休止期が早くやってきて抜けていくタイプ
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・若年性脱毛症…遺伝、男性ホルモンなど、様々な原因が考えられますが、まだ解明されていません。
・脂漏性脱毛症…脂性で、頭皮にフケや微生物がたまりやすくなっていることから起こる。
②成長期の髪の毛が突然抜けてしまうタイプ
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・円形脱毛症…かつて、最も主要な原因はストレスであるとされていましたが、現在は否定的。
③病気や妊娠などが原因で髪が抜けていくタイプ
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・分娩後脱毛症…出産と同時にホルモンバランスが変化して脱毛が激しくなる。皮膚炎による脱毛が特徴的。
・内分泌疾患による脱毛症…甲状腺機能が低下して脱毛する。
④精神的要因があって髪の毛が抜けていくタイプ
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・抜け毛症…無意識のうちに自分で髪の毛を抜いてしまう。ストレスが大きな原因とされている。
・その他…環境の変化、急激なダイエットなどによる抜け毛など。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
この記事では女性の薄毛の種類について解説してきました。
日々生活をしていて急に起こる抜け毛や脱毛症には、様々な種類がありそれぞれ原因が異なります。
中には原因が未だ解明されていない脱毛症もあるのです。
上記でご紹介した脱毛症の種類はごく一部で、ほかにも抗がん剤投与による脱毛症や熱湯や酸などが影響する抜け毛など外的な要因があって髪の毛が抜けるタイプもあります。
もし現在抜け毛や脱毛で悩んでいる方がいれば、この記事を参考に、どんなものが自分に当てはまりそうなのかを見てほしいと思います。
そして早期の病院やクリニックへの受診、治療で薄毛を改善していきましょう。