女性の薄毛

女性に多い薄毛の原因と対策

女性は男性と比べれば抜け毛や薄毛のリスクが低く、あまり心配する必要はないというのが一昔前までの一般的な認識でした。

しかし近年は女性の抜け毛や薄毛の悩みも強く意識されるようになり、抜け毛・薄毛に対する訴求商品も多く市場に投入されるようになっています。

女性の薄毛は男性よりも対処が難しいことが多いので、原因を押さえてしっかりと薄毛に対処する必要があります。

本章では女性の薄毛に焦点をあてて、原因と対策について解説していきますのでぜひ参考になさってください。

女性はホルモン由来の薄毛が多い

女性の薄毛は様々な要因で起こり得ますが、最も多いのは体内のホルモンバランスが関係する薄毛です。

一部、不衛生などから起きる脂漏性脱毛症や多量のフケが原因で起きるひこう性脱毛症、はっきりとした原因が解明されていない円形脱毛症など病的な薄毛もありますが、これらは全体から見ればごく一部です。

女性は加齢の他、生活習慣などによってホルモンバランスを崩す機会が多く、これが毛髪の成長サイクルに悪い影響を与えるために抜け毛が増え、薄毛になることがあるのです。

こうしたホルモン由来の女性の薄毛を「FAGA(女性男性型脱毛症)」と呼びますが、この仕組みをもう少し深く探ってみましょう。

そのために、まずは次の項でヒトの一般的なヘアサイクルの仕組みを押さえます。

ヘアサイクルの仕組み

女性に限らず、人の髪の毛は一定のヘアサイクルに従って成長と脱毛を繰り返しています。

健康な毛髪は3年から7年程度の成長期間に太く強く成長し、その後3週間程度の退行期に入り成長を止めます。

最後に3か月程度の休止期に自然に脱毛し、新たな髪を作り出す準備に入ります。

そして次の成長期に新たしく元気な髪を成長させていくのです。

成長期→退行期→休止期→次の成長期という具合に、髪は成長と自然な脱毛を繰り返しているので、頭のどこかの毛根では毎日自然な脱毛が起きています。

大体1日に100本程度は自然脱毛が起きるので、この程度の抜け毛は特に気にする必要はありません。

ところが、女性のホルモンバランスが崩れるとこのヘアサイクルが乱れてしまい、髪の成長期を十分に確保することができなくなります。

成長期が短くなると、毛髪は十分に育つことができません。

次第に髪にハリやコシがなくなり、成長途中の細い髪の抜け毛の量が増え、進行すると地肌が見えるくらいの薄毛となって視認されることになります。

女性ホルモンはどのように薄毛に影響するの?

次は、女性ホルモンのバランスが崩れるとなぜ薄毛に繋がってしまうのかについてです。

女性は元々男性よりも女性ホルモンが多く分泌されているため、このおかげで男性よりも薄毛のリスクが少ないとされています。

不正な抜け毛を引き起こすのは活性度の高い男性ホルモンの一種ですが、男性はこのホルモンの分泌量が多いため薄毛になりやすいのです。

女性も少しは男性ホルモンを分泌しますが、通常は女性ホルモンの分泌量の方が多いため、男性ホルモンの影響を打ち消してくれます。

女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンの二種類があり、プロゲステロンは主に髪の成長期を長く保つ作用があり、エストロゲンは髪にハリや艶を与えてくれる作用があります。

この二つの女性ホルモンのおかげで、女性は男性よりも豊富な髪を保つことができるのです。

しかし何らかの理由で女性ホルモンの分泌量が減ってしまうと、男性ホルモンの影響力が強まってしまい、抜け毛が増えて薄毛を発症することがあります。

どのようなことが原因で女性ホルモンのバランスが崩れてしまうのか確認します。

女性がホルモンバランスを崩す要因

女性がホルモンバランスを崩して薄毛のリスクが高まるシーンは複数考えられます。

大きな要因の一つが加齢です。

女性は40代後半あたりの更年期以降、女性ホルモンの分泌量が減少していくため、この年代の女性が薄毛の悩みを持つことになります。

といっても、男性のように生え際や頭頂部など特定の箇所から薄毛になるのではなく、女性の場合は頭髪が全体的に徐々に薄くなっていくという特徴があります。

髪の長い女性の場合は、髪の分け目の地肌が最初に気になりだすことが多いようです。

また加齢だけが要因とは限りません。

若い女性でも、仕事や人間関係からくるストレス、あるいは過度なダイエットなどによって簡単にホルモンバランスを崩してしまうので、若い女性でもホルモン由来の薄毛を発症することがあります。

人間年を取ることは避けられませんが、ホルモンバランスの乱れをできるだけ防ぎ、その影響を少しでも小さくする工夫はできます。

次の項では自分でできる対策について考えてみましょう。

自分でできる女性の薄毛対策

自分でできる対策としては以下のようなものがあります。

①正しい生活習慣の維持

年齢に関わらず、生活習慣が乱れるとホルモンバランスを崩す要因になる他、人が持つ自然的な育毛力、発毛力を低下させてしまう原因になります。

元気な若い女性でも、夜更かしや不規則な生活が続くとホルモンバランスに影響が出ます。

仕事の事情もあると思いますが、睡眠時間はしっかり確保し、不規則な生活は避けるようにしましょう。

食事の面では髪の原料となるタンパク質(アミノ酸)が不足しないように意識します。

ダイエットなどで肉類を避ける人がいますが、肉、魚、大豆類をバランスよく摂ってください。

大豆には大豆イソフラボンという物質が含まれていて、女性ホルモンと似たような働きをしてくれるので特におススメです。

ビタミンやミネラルも髪の生育に必要ですから、どうしても食生活に自信が無いという人はマルチビタミンなどのサプリメントも上手に利用しましょう。

②ストレスコントロール

大きなストレスを継続して受けているとホルモンバランスを崩す大きな要因になります。

現代社会ではストレスを完全になくすことはできません。

ストレス源を減らす努力も必要ですが、上手に付き合う方法を身に着けることも大切です。

自分に合ったストレスコントロール法を身に着ける必要がありますが、人によって合う合わないがありますから、運動や趣味など自分に合う方法を探してみてください。

③サプリメントの導入

上でも出てきましたが、大豆イソフラボンはホルモンバランスを崩した女性の助けになります。

食生活に大豆製品を取り入れることが難しい場合は、市販の大豆イソフラボンサプリメントの利用を検討することをお勧めします。

最近は特に薄毛対策を意識した製品も多く登場しています。

④適切なヘアケア製品の導入

昨今非常に多くのヘアケア製品が登場していますが、髪や頭皮のことを考えた特別な育毛シャンプーや育毛剤を導入するのも有効です。

市販品の育毛剤は気軽に買える分効果もマイルドですので、薄毛が進行した場合は満足のいく改善は難しいかもしれません。

生活習慣の改善と組み合わせて早めに使い始めるのが得策です。

まとめ

本章では女性に多く見られる薄毛の原因と対策について見てきました。

一部病的な原因を除いて、多くの場合はホルモンバランスが崩れることでヘアサイクルが乱れてしまい、抜け毛や薄毛に繋がります。

加齢による影響は避けられませんが、中高年の女性でも若い女性でも、ホルモンバランスを崩す要因は色々あるので、生活上で注意できることはして、薄毛リスクを少しでも減らすように努力しましょう。

自分でできる対策で不十分な場合は、薄毛治療を行う医療機関で適切な治療を受けることで薄毛の改善効果が高まります。

医師による女性の薄毛治療については、機会があれば別の回で詳しく解説したいと思います。