ファスティングとは「断食」のこと。
全く何も摂取しない修行僧のような方法もありますが、最近注目されているのは水だけ、または野菜、酵素ドリンクなどを適宜摂取しながら行なう「ファスティング」です。
ファスティングの効果と髪へのメリットについて、解説しましょう。
ファスティングとは
日本ではファスティングというと断食して痩せる、ダイエットの方法として捉えられがちです。
しかし、実際には別の目的があるのです。
・ファスティングの本来の目的
ファスティングの本来の目的は、何も食べない、あるいはほんの少量の水分や野菜だけを摂り、以下の効果を出すことです。
・体内を浄化する
・精神を浄化する
・内臓を休ませる
・免疫力を上げる
紀元前から世界中で行なわれていたというファスティングは、宗教家やその土地の伝承医学によって伝えられてきた心身の健康法です。
ドイツでは「ファスティングで効果がない病気は、どんな治療でも治らない」、フランスでは「メスを使用しない手術」といわれるほどで、それほど心身を清浄・正常にする作用があるとされているのです。
・なぜファスティングが必要?
私たちは、健康に生きるためにはエネルギーが必要だといわれて育ってきました。
農林水産省は、1日に必要なカロリーの摂取量を以下のように定めています。
・女性の場合
身体活動量低い…1,400kcal~2,000kcal
身体活動量普通以上(12歳~69歳)…2,200kcal±200kcal
・男性の場合
6~9歳、70歳以上(身体活動量普通以上))…1,400kcal~2,000kcal
10歳~11歳
12歳~69歳(身体活動量低い) …2,200lcal±200kcal
70歳以上(身体活動量普通以上)
12歳~69歳(身体活動量普通以上)…2,400kcal~3,000kcal
しかし、2010年に修行僧の摂取カロリーを調べたところ、普段は2,000kcalですが、修行に入るとわずか1,000kcal~1,200kcalしか摂っていないことが判明しました。
それでも辛い修行に耐えるだけの体力や気力が充分にあり、検査をしても数値には全く問題がありませんでした。
摂り過ぎた食べ物は、たとえ健康に良いといわれるものでも蓄積し、身体にとって不要なものに変化します。
それが細胞を劣化させる原因となっているのです。
ファスティングで得られるものとは
私たちが何か食べた途端、内臓や組織が動き始めます。
口腔内では唾液が出て消化を助け、食道がそれを胃まで運びます。
胃に入ると胃液が食べ物をドロドロに分解します。
そして小腸でゆっくり栄養素が吸収され、大腸は水分や塩分を吸収して便を作り、肛門に運びます。
口に入ってから排便・排尿されるまでには、食べたものによって30~120時間かかるといわれ、食べ続けている限り、この働きが繰り返されます。
当然、食べる量が多かったりダラダラ食いをしたりすると、内臓の負担は大きくなってしまうのです。
さらに、食品内には内臓に負担をかける成分がたくさん含まれています。
たとえば脂質の取り過ぎは体内で過酸化脂質に変化し、活性酸素を発生させて細胞に害を与えます。
これが老化を早める原因となります。
そこでファスティングをすると、内臓を充分休ませることができます。
排出すべき有害物質や消化に負担がかかる成分が入ってこなくなると、老廃物を排出する機能が向上します。
その結果、デトックス作用で体内が浄化されるのです。
ファスティングが薄毛にも良い理由
ファスティングがなぜ薄毛の予防改善に働きかけてくれるのか、その理由を詳しく解説しましょう。
血液サラサラ効果で血行が良くなる
私たちの身体を回っている血液は、赤血球、白血球、血小板、血漿などからできています。
赤血球は中央が少しくぼんだ形をしており、毛細血管を通る時には形を変え、スムーズに通り抜けられるようになっています。
しかし、血管壁に中性脂肪やコレステロールが付着すると血管が狭くなり、赤血球がいくら形を変えても通り抜けられなくなってしまいます。
すると、頭皮まで充分な血液が届かなくなるため、髪が弱く抜けやすくなるのです。
ファスティングをすると、老廃物が排出されやすくなります。
中性脂肪やコレステロールが減ってくると血管内の空間が広くなるため、血液が頭皮までスムーズに届くようになるので、髪の毛が育ちやすい環境になるのです。
腸内環境が改善され老廃物が排出されやすくなる
女性の多くは、便秘で悩んだことがあると思います。
便秘は腸内に便が滞留している状態で、悪玉菌が発生して有害物質を産生してしまいます。
また、それが腸壁から吸収されて血中に入り込み、全身に回ってしまいます。
すると頭皮に届く血液の質も悪くなり、髪の毛を充分成長させられなくなってしまうのです。
ファスティングをすると、何も食べないから便を押し出せず、もっと便秘になりそうな気がするかもしれません。
しかし、実際には腸が食べた物のために働く必要がなくなると、腸のぜん動運動が正常になってきます。
すると便意が起こり、蓄積された老廃物や有害物質が排出されやすくなり、髪の毛にも良い作用が出てくるのです。
新陳代謝が活性化し髪が伸びやすくなる
私たちの体内には消化酵素と代謝酵素があり、どちらか一方を多く使うともう片方が減ってしまいます。
しかし、ファスティングをすると消化酵素を使用しないため、代謝酵素をたっぷり使うことができます。
代謝酵素には、細胞の新陳代謝を助ける働きがあります。
「お肌のターンオーバー」といわれるのは新陳代謝のことで、20代なら約28日で肌の表皮が生まれ変わります。
しかし加齢とともにこのサイクルに時間がかかるようになり、30代で約40日、40代で約55日、50代は約75日と、細胞がなかなか生まれ変われなくなります。
しかしファスティングをすると新陳代謝が促進され、髪の毛を産み育てる毛母細胞の細胞分裂が促進され、髪の毛が伸びやすくなります。
また、栄養をどんどん吸収できるようになるため、太くしっかりした髪の毛が育ちやすくなるのです。
誰でもできる!ファスティングの方法
ファスティングって難しそう…そう思うかもしれません。
確かに、決して楽な方法とはいえません。
ファスティングを専門的に行なうクリニックや団体もあります。
しかしこれからご紹介する方法なら、ちょっとの努力で効果が期待できますよ。
8時間以内に食事を済ませる「16時間ファスティング」
さいたま糖尿病クリニックの青木厚院長が考案した方法です。
1日の食事を8時間以内に摂る、つまり朝7時に食べたら午後3時までにもう一食食べ、次の食事は翌朝7時以降にするのです。
この食事法によって内臓が休まると細胞の新陳代謝が促進されます。
また、糖質や脂質を摂らないので血液がサラサラになり、お肌や髪が健康になるのです。
また、この方法の一番嬉しいところは、8時間の間なら何を食べても良いこと。
糖質もカロリーも気にする必要はありません。
また、16時間の間でも少量ならナッツ類やヨーグルトなら栄養補給のために食べてOKなので、食べられないストレスが減りますよ。
1日~2日だけの「週末ファスティング」
まず、ファスティング前の1~2日かけて、食事の量を減らしていきます。
豆腐や野菜など、できるだけ低カロリーで栄養素が高いものを中心に摂ります。
始める前の晩は、できれば半分くらいまで減らしてください。
当日は水、野菜ジュース、ハーブティーなどで水分だけを摂ります。
水分量に制限はありませんが、コーヒーや甘味料の入った飲料、牛乳、豆乳、お酒などはNGです。
また、ダイエット用人工甘味料が入っているものは、カロリーゼロ・糖類ゼロなどと書かれても飲まないようにしてください。
人工甘味料は消化されませんが、胃腸はそれがわからないため必死に消化しようとします。
そのため、かえって負担をかけてしまうのです。
ファスティングが終了したら、回復食に移ります。
野菜や豆腐、魚など胃腸にやさしいものを少量から始め、数日かけて元の量に戻してください。
身体の調子を見ながら、月に1回でも良し、毎週やっても良し、出来る範囲で行ないましょう。
まとめ
ファスティングは身体の毒素や老廃物を排出し、内臓を休ませることで身体の自然治癒力を高めていく健康法です。
血行が良くなり腸内環境が改善されると頭皮の細胞の機能も向上し、薄毛の予防や改善につながります。
まずは栄養バランスを考えながら1食抜くことから始めてみませんか?