甘酒といえば、冬においしい飲み物ですよね。
最近は再注目されていて、大手メーカーからも色々な味のものが販売されています。
実は、甘酒は飲んでおいしいだけでなく、健康にも美容にも、そして髪にも良いのです。
今回は、甘酒の持つ力について詳しく解説しましょう。
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甘酒には2種類ある。その違いとは
甘酒と聞いて、「甘いもの」「プーンとお酒のにおいがするもの」と2つのイメージがありませんか?
これは、甘酒には作り方の違う2つのタイプがあるからです。
米麹から作る甘酒
ご飯と麹を混ぜ、10時間程度保温してできるのが、米麹の甘酒です。
麹の発酵作用を利用して作られるもので、ご飯のデンプンを麹菌で糖分に変化させたものです。
アルコール度はゼロで、上品な甘さです。自宅では、炊飯器を使って作ることができます。
酒粕から作る甘酒
酒粕は、日本酒を作る際に出てくる搾りかすです。
これに水と砂糖を混ぜ、加熱して出来るのが酒粕甘酒です。
酒粕には約8%アルコールが含まれているため、煮ても5%程度残っています(市販品はもっと低く、1%程度のものが多いようです)。
2つは全くの別物。でもどちらも高い健康効果が
このように2つは材料が違うため、全くの別物です。
そして、最近注目されているのは米麹甘酒のほうです。
しかし、実際にはどちらにも非常に高い栄養価があり、健康にも美容にも、さらには女性の薄毛にも効果が期待できるのです。
米麹甘酒の成分・効能
まずは、米麹甘酒の成分と効能について詳しく解説しましょう。
ビタミンB群が非常に豊富
米麹甘酒には、炭水化物のほか、タンパク質や脂質、ビタミン、ミネラルが含まれています。
この中で特筆すべきなのが、ビタミンB群です。
ビタミンB1・B2・B6・B12・ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸が含まれていて、それぞれ健康を維持するために重要な役割があります。
・ビタミンB1…糖質の代謝を促し、ブドウ糖に変化させ良質なエネルギー源となります。また、脳のエネルギーはブドウ糖からしか作られないため、神経機能を正常に保つために不可欠です。
・ビタミンB2…脂肪燃焼作用があり、生活習慣病予防効果があります。また、新陳代謝を促して皮膚や髪、爪の健康を維持するといわれています。
・ビタミンB6…タンパク質の分解・再合成を助け、それぞれの部位に必要なタイプのタンパク質に変化させるために必要です。ホルモンバランスを整え、生理痛やつわりの緩和作用もあり、女性にとても大切な成分です。
・ビタミンB12…補酵素として様々な酵素の働きを助けてくれます。赤血球の合成を助け、巨赤芽球性貧血を予防します。また、末梢神経のダメージを修復する作用もあり、ケガや神経痛の痛みを緩和させるといわれています。
・ナイアシン…ビタミンB3とも呼ばれ、体内の酵素の成分となり様々な代謝のために使われています。また、皮膚の新陳代謝を促進したり、女性ホルモンの合成をサポートしたりする作用もあります。
・パントテン酸…ビタミンB5とも呼ばれ、補酵素として多くの酵素の働きを促進させます。
ストレスを和らげたり、善玉コレステロールを増やしたりする働きもあることがわかっています。
・ビオチン…ビタミンB7とも呼ばれ、糖質の代謝を助けています。特にアミノ酸の代謝を助ける働きがあり、良質なタンパク質を作る際に不可欠です。
・葉酸…ビタミンB9とも呼ばれ、ビタミンB12と共に赤血球の合成に不可欠です。また、タンパク質の合成を助けたり、動脈硬化を予防したりする作用があります。さらに近年の研究で、認知症の予防にも効果が認められるとの報告が複数挙がっています。
「飲む点滴」と呼ばれるほど良質のアミノ酸
米麹甘酒は飲む点滴と呼ばれるほどですが、それは必須アミノ酸9種類すべてを含んでいるからです。
必須アミノ酸は食事で摂取することが必要なアミノ酸で、これらのうち1種類でも不足すると良質なタンパク質が作られません。
米麹甘酒にはこれらがバランス良く含まれており、臓器や筋肉、皮膚などの健康維持に役立つのです。
特殊なタンパク質「プロラミン」で腸内環境改善
お米と麹のみから作られる甘酒には、消化吸収されにくいタンパク質「プロラミン」が含まれています。
さらに食物繊維やオリゴ糖など、善玉菌を活性化させる成分も含まれているため、腸内環境が良くなります。
腸内環境が良くなると免疫力がアップし、細菌やウイルスに負けない身体を作ることができるのです。
髪の毛の主成分ケラチンを作る
髪の毛の99%はケラチンと呼ばれるタンパク質で、18種類のアミノ酸からできており、必須アミノ酸9種類も含まれます。
また、ケラチンにはシスチンという、他の部分のタンパク質にはほとんど含まれていないアミノ酸が最も多く、不足すると髪が弱くもろくなってしまいます。
米麹甘酒には必須アミノ酸を始め豊富なアミノ酸が含まれているので、髪の健康を維持するのにうってつけなのです。
酒粕甘酒の成分・効能
酒粕からできた甘酒はアルコールを含むため、お子さんや妊婦さんには向きません。しかし、米麹甘酒とは違った効能があります。
腸活には米麹甘酒以上の効果
米麹甘酒にも充分腸内環境改善効果がありますが、酒粕甘酒はそれをはるかにしのぐ働きがあります。
月桂冠が調査したところによると、酒粕甘酒には「レジスタントスターチ」という難消化性デンプンが米麹甘酒の約10倍含まれています。
この成分はビフィズス菌を増殖させる働きがとても強く、腸内環境の改善作用が期待できるのです。
また、米麹甘酒と同様プロラミンという難消化性タンパク質も含まれており、不溶性食物繊維に似た働きをします。
睡眠を誘う作用
酒粕甘酒にはアルコールが含まれているので、それだけでも睡眠を誘いますが、それ以外に注目したいのが「アデノシン」です。
アデノシンは睡眠物質といわれ、自然な眠りを促す作用があります。
コップ1杯の酒粕甘酒を寝る前に飲むと、質の良い睡眠が得られやすくなるのです。
睡眠中には成長ホルモンが分泌されますが、このホルモンには細胞の修復や新陳代謝を促進したりする作用があります。
髪を産み育てる毛母細胞の生まれ変わりを促すため、しっかりした強い髪が育つサポートをしてくれるのです。
アデノシンには育毛効果もある?
アデノシンに発毛・育毛促進作用があることが、資生堂の研究で報告されています。
髪の寿命を伸ばしたり、血行を促進させて頭皮に栄養を届けたりする作用があるということです。
さらに、アデノシンにはFGF-7という発毛促進因子を作り出すこともわかりました。
これは髪の成長をコントロールする遺伝子で、FGF-7が少なかったり働きが弱かったりすると薄毛の原因となるといわれています。
すでにこの成分を配合した育毛剤が発売されており、薄毛の改善が期待できます。
血圧の上昇を抑える効果
酒粕には血圧の上昇を抑える働きがあることが、月桂冠と日本新薬の共同研究でわかりました。
血圧を上昇させる特殊な酵素ACE(アンジオテンシン変換酵素)の働きを食い止めるペプチドが含まれていることがわかり、ヒトへの臨床試験でも効果が確認されています。
カロリーが低くダイエット効果
酒粕甘酒は米麹甘酒と同様甘いものが多いのですが、元々はかなり甘みが弱く、市販品は砂糖を加えてあります。
しかし、それでも酒粕甘酒のほうがカロリーが低めです。
これは、米麹甘酒のブドウ糖より砂糖のほうが甘みが強いからで、同じ程度の甘みなら酒粕甘酒のほうがカロリーが低くなるのです。
また、自宅で酒粕から作る場合は砂糖の量を調節できるので、さらにカロリーを低くすることもできます。
甘い物は欠かせない、でも太りたくないという人は、酒粕甘酒を飲んでみてはいかがでしょうか。
まとめ
米麹甘酒にも酒粕甘酒にも高い健康効果と美容効果があり、薄毛対策にも働きかけてくれます。
髪の毛の健康な成長を期待するなら、どちらも摂りたいところです。
市販の甘酒には両方をブレンドしたものもあるので、そちらを摂取するのも良いですね。
また、自宅でも簡単に作れるので、両方作ってみてはいかがでしょうか。