暑くなってくると急に気になり出す紫外線。
対策としてはやはり「日焼け止め用アイテム」になります。
ドラッグストアなどで見る商品や、CMなどでも当然のように表示されている「SPF」や「PA」の文字の意味って、しっかり理解していますか?
この記事では、現役美容師の私が、今さら聞けない「SPF」と「PA」の意味について解説していきます。
Contents
紫外線の種類
紫外線には種類があり、主に肌や頭皮、髪の毛に影響を与えるのは「UV-A」と「UV-B」と呼ばれる種類の紫外線です。
それぞれに与える影響は違いがあり、日焼け止め用アイテムとは、それらを軽減させることを目的とされたものになります。
必ずしも紫外線自体が悪いものということではありませんが、皮膚への様々な影響を考えると美容の面ではやはり出来る限り防ぐようにした方が良いでしょう。
特に紫外線が急激に強くなり始める3月からは、しっかりとした紫外線対策が重要になってきます。
SPFとは
SPFとは、「サンプロテクションファクター(Sun.Protection.Factor)」の略で、主に「UV-B」に対する防御力を表す数値です。
UV-Bによる影響を受けると皮膚はシミや炎症を起こすようになり、日焼けのように赤くなるのはこのUV-Bが主な原因となります。
SPF20
SPF30
SPF40
SPF50
SPF50+
のように表記され、数値が大きくなるほど高い防御力をもつということになります。
単純な考え方としては「素肌のままの状態×数値分の防御力」という意味となり、例えばSPF40であれば使用することにより40倍の紫外線への防御力が期待できる、ということになります。
一番防御力の高い数値は「SPF50+」で、これは「SPF50よりもさらに高い防御力」という意味です。
販売メーカーによってはこの防御力を時間として計算しているものもあります。
これは、素肌のままの状態であれば直射日光に約20分当たると日焼けが起こるとされていることから、
SPF20=20分×20=400分(約6時間30分)
SPF30=20分×30=600分(約10時間)
SPF40=20分×40=800分(約13時間30分)
SPF50=20分×50=1000分(約16時間30分)
SPF50+=20分×50以上=1000分以上(約16時間30分以上)
となります。
分かりやすい考え方ではありますが、あくまでこのSPFの表記の意味は「防御力」ですので、実際にこの時間分一切日焼けをしないというわけではありません。
PAとは
PAとは、「プロテクショングレイドオブUV-A(Protection.grade.of.UV-A)」の略で、「UV-A」に対する防御力を表す数値です。
UV-Aは皮膚の真皮にまで到達し、影響を受けるとシワやたるみの原因に。
PA+
PA++
PA+++
PA++++
と表記され、+の数が多いほど高い効果をもつ、ということになります。
SPFとは違い具体的に数値化されはせず、
PA+ =UV-Aに対する防御効果がある
PA++ =UV-Aに対する防御効果がかなりある
PA+++ =UV-Aに対する防御効果が非常にある
PA++++ =UV-Aに対する防御効果が極めて高い
という意味として理解するようにしましょう。
日焼け止め用アイテムの種類
日焼け止め用アイテムには近年、多くの種類が販売されています。
クリームタイプ
ミルクタイプ
ジェルタイプ
スプレータイプ
などがあり、それぞれに特徴があります。
生活スタイルや用途によって選ぶ必要があるので、ご自分に適したものを選ぶことが重要です。
クリームタイプ
海や屋外でのレジャーなど、長時間直射日光に当たってしっかりと紫外線対策をしたい場合におすすめ。
水に強いウォータープルーフタイプも豊富にあります。
ミルクタイプ
保湿力が高いものが多く、化粧下地として販売されているものが多くあります。
「顔の紫外線対策は顔用のものでしっかりとやりたい」という方におススメです。
ジェルタイプ
つけ心地が軽く、夏場の汗でベタつく時期に使いやすいアイテム。
白浮きしづらく、全身に使えるものが豊富に販売されています。
「サラっ」とした仕上がりにはなりますが商品によってはそのつけ心地は「アルコール」を使用しているものも。
敏感肌の方や赤ちゃんへの使用であれば、しっかりと成分の確認をした方がいいでしょう。
スプレータイプ
「シューッ」っとするだけで済んでしまう一番楽なタイプの日焼け止め。
メイクの上からでも出来るので、最後の仕上げには最適です。
髪の毛や頭皮の日焼け対策であればこのタイプだけが使用することができるので、顔用やボディ用以外に一つ持っていると安心です。
ノンケミカルって?
SPFやPAと同じくらいによく聞く「ノンケミカル」。
これには、「紫外線吸収剤不使用」や「紫外線散乱剤使用」といった意味があります。
「ケミカル」とは、「紫外線吸収剤」という意味。
これは紫外線をどうやって防ぐか?の成分の違いになり、
紫外線吸収剤(ケミカル)
紫外線散乱剤(ノンケミカル)
の2つに分けることができます。
紫外線吸収剤(ケミカル)
紫外線吸収剤は、一度紫外線を肌に吸収し、その後熱としてエネルギーを放出して日焼けを防ぐものです。
紫外線散乱剤よりも紫外線のカット力は強いのですが、一度肌のなかに紫外線を取り入れてしまう特性上、肌トラブルの原因になりやすいタイプ。
紫外線散乱剤(ノンケミカル)
紫外線吸収剤だとせっかく日焼け止めをして紫外線対策をしているのに、その対策のためのアイテムで肌が荒れてしまってはもったいないですよね。
紫外線散乱剤は、文字通り紫外線を「散乱」してくれるもの。
吸収剤とは違い、肌の表面で紫外線を乱反射してくれることによって日焼けを防ぐというものです。
ただし、吸収剤と比べると効果としては劣るということと、使用後の白浮きがしやすかったり、水や汗などで流れやすかったりといった欠点もあります。
また、流れやすいということはそれだけ塗りなおす必要性があるということなので、長時間屋外にいるときなどは注意が必要です。
髪の毛も日焼けするってホント?
サロンでお客様と会話しているなかでも、意外と知られていない髪の毛の日焼け。
紫外線による髪の毛や頭皮への影響はもちろんあり、当然、髪の毛も日焼けします。
健康的な髪の毛であればその1本1本には内部に水分が入っていて、それによってツヤやサラサラ感がでてくるものです。
紫外線によるダメージを髪の毛が受けると、その内部の水分が熱によって蒸発してしまい、水分量の低下が起こります。
そうなると「ギシギシ」「パサパサ」した髪の毛になり、これが髪の毛の日焼けとなります。
特にロングでもともと髪の毛が傷み気味の方には注意が必要で、ウッカリしていると指が通らないような状態に。
また、頭皮にも紫外線からの影響は大きいものです。
薄毛や細毛の原因ともなる「頭皮環境の乱れ」が起きてしまう可能性があり、これは一度乱れてしまうと元の状態まで整えるのに長い時間がかかってしまいます。
お肌と同じく、頭皮や髪の毛の紫外線対策もしっかりと行うようにしましょう。
まとめ
UV-AとUV-Bそれぞれの紫外線への防御力を示すSPFとPA。
高ければ高い防御力とはなりますが、それだけお肌への負担も大きくなります。
大切なのはその都度の「使い分け」。
軽い外出などであればSPFやPAの弱いものであっても紫外線対策はできているので、お肌の状態に適したアイテムを選ぶようにしましょう。