段々白髪が目立つようになると、ヘアカラーや白髪染めを使うようになりますよね。
しかし、これらが髪の毛や頭皮に悪影響を与え、薄毛の原因にもなることがかなり知られるようになってきました。
そこで、白髪染めに変わって近年人気を集めるようになっているのが、カラートリートメントやヘアマニキュアです。
どちらも手軽で、髪や頭皮にダメージを与えにくいといわれています。
しかし、名称が違うということは、成分や効果にも違いがあるのでしょうか。
今回は、白髪染め、カラートリートメント、ヘアマニキュアの違い、髪と頭皮への影響について解説します。
Contents
白髪染め・カラートリートメント・ヘアマニキュアの違い
この3種類は主に白髪を染める時に使われるものですが、成分や染まるメカニズムが違います。簡単に解説しましょう。
二剤式白髪染めは染料が髪の奥まで浸透する
二剤式白髪染めに使用されている染料は「酸化染毛剤」といい、酸素に触れることで発色し、髪を染めるものです。
二剤式白髪染めは美容院でもセルフカラーでも、アルカリ剤と過酸化水素が配合されています。
アルカリ剤によって髪のキューティクルを開き、過酸化水素で髪のコルテックス部分にあるメラニン色素を破壊し、同時に酸素を発生します。
それによって酸化染毛剤が発色し、破壊されたメラニン色素の代わりにコルテックスに入り込むのです。
酸化染毛剤は一つ一つの分子は小さいのですが、発色すると分子同士がくっつき、大きくなります。
するとキューティクルから抜け出せなくなり、色が定着するのです。
元のメラニン色素がなくなっているので、どのような色にも染めることができます。
カラートリートメントは髪の表面と少し奥を染める
カラートリートメントに使用されているのは、HC染料と塩基性染料です。
アルカリ剤や過酸化水素は配合されていないため、髪の奥に浸透することはありません。
HC染料は分子が小さく、閉じたキューティクルの隙間から少し奥に入り込みます。
色が豊富で発色も鮮やかですが、定着力が弱いため、色落ちは早めです。
また、塩基性染料は分子が大きいので中に入り込むことはできませんが、プラスイオンを帯びており、髪のマイナスイオンと結合することで髪に吸着します。
色数は少ないものの吸着力があるため、色落ちしにくいという特徴があります。
HC染料は髪が健康なほどキューティクル内から抜け出しにくく、塩基性染料は髪にダメージがあるほどよく吸着するという作用があります。
メーカーによってこの2種類の配合率や分子の大きさの加工などが違うため、髪質や状態に合ったものを見つけることが大切です。
ヘアマニキュアは髪の表面を染める
ヘアマニキュアに使用されるのは、タール色素と呼ばれる染料で、美容院では酸性カラーと呼ばれるものがヘアマニキュアに当たります。
髪の表面に強く吸着して染めるもので、カラートリートメントの塩基性染料よりしっかり定着します。
しかしアルカリ剤と過酸化水素が配合されていないため、カラートリートメントと同様シャンプーごとに徐々に色落ちはします。
また、ヘアマニキュアとカラートリートメントは、元の髪色より明るく染めることはできません。
白髪染めやファッションカラーが髪と頭皮に良くない理由
二剤式の白髪染めやファッションカラーは永久染毛剤の一種で、「医薬部外品」です。
医薬部外品というのは、副作用の可能性がある、ということを示しています。
アレルゲンとなるパラフェニレンジアミン
二剤式ヘアカラーに使用される酸化染毛剤の代表的なものに「パラフェニレンジアミン」があり、これは旧表示指定成分にもなっているアレルゲンです。
100年以上前から危険性は知られているのですが、黒褐色を作り出せる染料が他に開発されていないことから、現在も配合されているのです。
「毒物及び劇物取締法」で劇物に指定されていることからも、その危険性がわかりますね。
パラフェニレンジアミンの他、「~ジアミン」「~フェノール」という名称がついた染毛剤も化学構造が似ているため、アレルゲンとなります。
タンパク質を変質させるアルカリ剤と過酸化水素
アルカリ剤と過酸化水素は髪の毛のタンパク質を変質させます。
特にアルカリ剤は髪のキューティクルを開いたままにしてしまうため、薬剤が完全にシャンプーで洗い流されるまでの2~4週間は髪が非常にダメージを受けやすくなります。
主成分のケラチンや水分、脂質が流失してしまうため、髪がゴワゴワパサパサになりやすく、二度と健康な状態に戻ることはありません。
また、皮膚を構成する細胞も主成分はタンパク質なので、これらの薬剤を頭皮に塗ると浸透し、頭皮や髪の毛を産み育てる毛母細胞にダメージを与えてしまいます。
すると頭皮のかゆみや炎症、毛母細胞の劣化による薄毛や脱毛などが起こりやすくなるのです。
カラートリートメントとヘアマニキュアは同じようなもの?
カラートリートメントとヘアマニキュアは、どちらもアルカリ剤や過酸化水素、酸化染毛剤を使用していません。
そのため、髪にも頭皮にもやさしくなっています。
では、違いはどういったことなのでしょうか。
染料の違い
カラートリートメントに使用されているHC染料と塩基性染料は、化粧品分類のカラートリートメントに配合されているほどなので、安全性は高いといえます。
ただし、髪質や状態によって染まり具合が大きく変わり、しかも一度ではしっかり染まりません。
ヘアマニキュアはタール色素を使用しており、一度でかなり染まります。
しかし、頭皮につくと染料が浸透し、落ちにくくなるというデメリットがあります。
また、安全性は低くはないものの、色によってはアレルギーを引き起こすといわれており、海外では使用禁止の色番もあります。
染料以外の成分の違い
カラートリートメントは、その名の通りトリートメント成分が多く配合されています。
染料との相性が良いため配合しやすく、髪を保護・補修してツヤやコシ、ハリなどをプラスしてくれます。
ただ、天然素材が多く含まれているものは、人によってはアレルギーを引き起こすことがあります。
ヘアマニキュアは一度でよく染まることを謳い文句にしているためか、タール色素のほかキューティクルを少し開いたり髪の結合成分を切ったりする薬剤が含まれていることが少なくありません。
また、タール色素はトリートメント成分と相性がよくないため、あまり配合されていません。
ツヤやコシはコーティング剤によるもので、補修効果はあまり期待できません。
染まり具合
カラートリートメントの場合、髪質や状態によって違うものの、色持ちは3日~1週間程度です。
しかし、入浴中に10分程度で染められるものが増えているので、普通のトリートメント代わりに使用すれば、美しい色を保つことができます。
ヘアマニキュアの場合、頭皮につくと落とすのが難しいため、根元から数ミリ離れたところまでしか塗りません。
他の部分はしっかり染まっても白髪がすぐに目立ってしまうため、白髪が多い人には向きません。
頭皮へのやさしさ
カラートリートメントは元々二剤式白髪染めで頭皮を傷めた、アレルギーが起きたという人のために作られたものなので、頭皮の刺激になる成分はできるだけ排除しています。
アレルギー・パッチテスト済みのものも少なくなく、肌の弱い人でも安心して使用できます。
ヘアマニキュアの場合、エタノールやベンジルアルコールなどが含まれており、頭皮を乾燥させる原因となります。
特に「~アミノフェノール」という名称がついているものはアレルギーを引き起こす可能性が指摘されています。
また、発がん性が指摘されている色素もあります。
美容院では根元から数ミリ離して塗るため、問題ありません。
しかしセルフの場合はどうしても頭皮につきやすいため、注意が必要です。
薄毛予防・改善にはカラートリートメントをおすすめ
ヘアマニキュアは、頭皮につけないように塗れば皮膚刺激はありませんが、薄毛に対する作用は何もありません。
その点、カラートリートメントは頭皮の血行を良くしたり保湿したりと、頭皮環境を改善する成分が配合されているものが多くあります。
たとえば、昆布に含まれるフコイダンやアルニカエキス、セイヨウキズタエキスなどは髪だけでなく頭皮の状態も良くしてくれます。
育毛剤にも配合されている成分なので、薄毛の予防・改善効果が期待できるのです。
また、カラートリートメントは色落ちしやすいといわれますが、ヘアマニキュアは根元まで塗れないため、白髪が目立ちやすいという点では大して変わらないでしょう。
そういった点も含めトータルで考えると、カラートリートメントのほうが薄毛にも働きかけてくれるのでお勧めですね。