枝毛に悩んでいませんか?
しかも、2つに裂けているだけならまだしも、裂けた部分がさらに分かれて二重・三重の枝毛が見つかったという経験をした女性は結構います。
枝毛は見た目に良くないだけでなく、薄毛の前兆の可能性もあるのをご存知ですか?
枝毛の原因と、薄毛との関係を解説しましょう。
枝毛に悩む女性は約3割
化粧品や健康食品、医療機器などを販売する長瀬産業が調査したところによると、枝毛や切れ毛に悩む女性は20代が約34%、30代が約30%という結果が出ています。
40代以降になると白髪や髪のパサつきなどのほうが目立ってくるため、枝毛を気にする人は減ってきますが、それでも20代~60代の働く女性の約2割が悩んでいます。
枝毛は最初のうちは目立たないため、あまり気づきません。
しかし、進行すると毛先の色が変わってきて、いかにも枯れたような薄い色になり、はっきりわかるようになってきてしまいます。
枝毛になるメカニズム
まず、簡単に髪の毛の構造を解説しましょう。
髪の毛は一番外側のキューティクル、真ん中のコルテックス、中央のメデュラの三層になっています。
キューティクルはたけのこの皮のように重なり合っていて、コルテックスを保護しています。
コルテックスは髪の8~9割を占める部分で、コルテックス細胞が縦に繋がっています。
中にはタンパク質のケラチン、脂質、水分、色素などが含まれていて、この部分が太いほど髪が強くしなやかになります。
キューティクルの1枚1枚やコルテックス細胞同士は、CMCという細胞膜によって接着されており、この膜が細胞間のクッションの役割もはたしています。
しかし、コルテックス細胞は縦に繋がっているため、CMCがなくなってしまうととても縦に裂けやすくなって、枝毛が発生してしまうのです。
なお、髪の毛は縦方向には裂けやすいものの、コルテックス細胞が互い違いに接着されているため、横方向には強い構造になっています。
そのため、切れ毛が増えてきた場合は髪のダメージがかなり進んでいるということです。
毛先が枝毛になる4つの原因
枝毛が増える原因の代表的なものは、以下の4つです。
①パーマやヘアカラーのし過ぎ
髪内部を接着しているCMCは紫外線やパーマ液、ヘアカラー剤などに弱く、特に数回のパーマやヘアカラーでほぼなくなってしまうといわれています。
なくなったCMCは再生しないため、キューティクルの層が開きやすくなり、髪同士の摩擦などで簡単に剥がれてしまいます。
するとコルテックスがむき出しとなり、縦方向に裂けやすくなるのです。
②洗浄力が強すぎるシャンプーや、シャンプーのし過ぎ
市販のシャンプーの多くは、強力な洗浄成分である界面活性剤が配合されています。
すると、頭皮から分泌されている皮脂が根こそぎ洗い流されてしまいます。
皮脂はCMC上にあるMEAという組織によって髪全体に送られるようになっており、いわば天然のコーティング剤となっています。
しかし皮脂が失われると髪の毛が乾燥してしまい、シャンプー時の髪同士の摩擦によってキューティクルが簡単に剥がれてしまいます。
すると髪が枝毛になりやすくなるのです。
③髪を濡れたまま放置する
キューティクルは水分を含むと膨らみ、角層に隙間ができます。
そのため、濡れたままでいると髪同士や枕などとの摩擦によって剥がれやすくなります。
④紫外線
髪の毛は全身の中で最も紫外線を浴びる部分です。
CMCには水分を保持する働きがあるのですが、紫外線によって破壊されてしまいます。
すると髪の水分が飛びやすくなり乾燥してしまい、キューティクルやコルテックスがダメージを受けやすくなるのです。
枝毛が多いと薄毛の前兆かもしれないという理由
枝毛が増える原因を、髪の毛そのものにダメージを与えるという角度から見てきましたが、実は頭皮トラブルに原因がある場合も少なくありません。
髪の毛は毛穴奥にある毛母細胞が細胞分裂を繰り返すことで伸びていきますが、様々なトラブルによって毛母細胞が傷つくと、育つ髪が弱くなります。
すると枝毛が増えるだけでなく、抜け毛や薄毛になりやすくなるのです。
ここでは、頭皮を傷つける原因について見ていきましょう。
①パーマやヘアカラーの薬剤が頭皮につく
頭皮に薬剤がつかない施術であれば良いのですが、根元から薬剤のアルカリ剤や過酸化水素を塗られてしまうと、これらが皮膚に浸透してしまいます。
どちらも髪や頭皮のケラチンタンパク質を変性させる作用があるため、毛母細胞のDNAがダメージを受けて髪が正常に育たなくなるのです。
枝毛が数えられなくなるほど増えたという場合、髪がパサパサになって広がるため気づきにくいのですが、すでに薄毛が始まっていると考えましょう。
②紫外線による頭皮のタンパク質の破壊
髪だけでなく頭皮もケラチンというタンパク質でできており、紫外線によって酸化します。
一度酸化した細胞は元に戻らないため、毛母細胞の正常な機能が失われたまま細胞分裂するともろい髪が育ちやすくなります。
こういった髪は髪を守るキューティクルも薄く剥がれやすくなるため、コルテックスがむき出しになり、ブラッシングやシャンプーなどによって枝毛が増えていきます。
さらに悪化すると髪が根元から抜けるようになり、髪が減ってしまうのです。
③紫外線による活性酸素の増加
紫外線を浴び続けた頭皮の細胞は、光老化を起こします。
するとこの細胞が活性酸素を生み出し、周りの細胞も劣化させてしまうため、頭皮の老化はどんどん進んでしまうのです。
老化するのは毛母細胞はもちろん、血管も同様です。
すると血液の流れが悪くなり、頭皮に充分な酸素や栄養が回らなくなってしまうため、もろい髪の毛が育ち、枝毛や抜け毛になりやすくなるのです。
④髪を濡れたまま放置して雑菌が増える
頭皮には様々な菌が生息しており、これらのバランスによって皮膚が弱酸性に保たれています。
しかし髪を濡れたまま放置すると雑菌が増えやすくなり、毛穴に炎症を起こして毛母細胞にダメージを与えてしまうのです。
さらに、髪が濡れたままで寝てしまうと寝具にも雑菌が広がり、それが頭皮に再付着してしまうこともあります。
⑤ダイエットや偏食による栄養不足
頭皮や髪の毛の主成分であるケラチンタンパク質は、食事で摂ったタンパク質が一旦アミノ酸に分解された後に、18種類のアミノ酸が再結合してできたものです。
そのため、タンパク質不足はケラチンの質を悪くしてしまいます。
特に頭皮に多いアミノ酸はセリンとグルタミン酸、アルギニンなどで、セリンやグルタミン酸には保湿作用、アルギニンには血流改善作用があります。
これらを多く含む肉類魚介類、大豆製品、牛乳などの摂取量が不足すると、頭皮が乾燥しやすくなるため紫外線の悪影響を直接受けやすくなったり、血流が悪くなって頭皮に充分な栄養が届かなくなったりしてしまうのです。
⑥質の悪い睡眠による成長ホルモン分泌量の低下
成長ホルモンは、成長期の子供の発育を助けるだけでなく、成人後もわずかながら分泌されており、頭皮の新陳代謝や毛母細胞の修復を行なっています。
しかし、成長ホルモンは入眠後30分~3時間の間、しかも熟睡していないとあまり分泌されないことがわかっています。
そのため、ベッドに入ってからもなかなか寝つけなかったり夜中によく目が覚めたりする人は、成長ホルモンの分泌が少ないため、枝毛や抜け毛、細毛が増えてしまうのです。
枝毛を見つけたら髪より頭皮のケアが大切
枝毛そのものは二度と1本になることはありませんから、カットするより方法はありません。
また、すでに生えている髪は毛母細胞が細胞分裂を繰り返すことによってできた、死んだ細胞の集まりなので、今からどんなケアをしても本来の健康を取り戻すことはありません。
そこで、枝毛を見つけたら髪ではなく頭皮のケアをしっかり行ない、今から生えてくる髪が枝毛にならないようにすることが大切です。
・できるだけパーマやカラーリングの回数を減らす
・UVカットスプレーや日傘、帽子などでできるだけ紫外線を浴びないようにする
・シャンプーはアミノ酸系の洗浄力が穏やかなものを使用する
・シャンプー後はしっかりタオルドライし、すぐにドライヤーで乾かす
・頭皮マッサージをして血行を良くする
・頭皮用化粧水や美容液で保湿する
・タンパク質をしっかり摂り、タンパク質をケラチンに合成するために必要なビタミンやミネラルも合わせて摂取する
・できるだけ夜更かしせず、就寝前1~2時間は入浴やストレッチなどでぐっすり眠れるよう工夫する
一度にすべて行なうことは難しくても、思い当たる部分から少しずつ変えていきましょう。
きっと少しずつ枝毛が減り、同時に細毛や抜け毛も少なくなっていきますよ。