「スピルリナ」という食品を知っているのは、かなり健康や美容に気を使っている人かもしれません。
藻の一種でクロレラに似ていますが、クロレラ以上に栄養価が高いことから、一部で注目を集めているのです。
藻を食べるなんてちょっとイメージが湧かないかもしれませんが、NASA(米国航空宇宙局)でも認められている「スーパーフード」なんですよ。
何か健康に良いサプリメントを取りたいと考えていらっしゃる方はもちろん、髪の毛のトラブルに悩む方にもお勧めします。
スピルリナとは
スピルリナは最古の植物といわれ、なんと30億年以上前から存在している藍藻類の一種です。
大きさは0.3~0.5ミリ程度で、細胞がらせん状になっていることから、ラテン語の「らせん」を意味するスピルリナという名前がつけられました。
高温多湿、高アルカリ、高塩分という特殊な地域でも育つ藻で、非常に高い生命力があります。
現在残っている記録によると、16世紀には砂漠地帯の貴重なタンパク質源として食されていたようです。
アフリカや中南米などの熱帯地方に多く生息していますが、その栄養価の高さから世界中で注目され、現在は人工池などで人工培養されています。
スピルリナの栄養素
スピルリナが注目されたのは、その栄養価の高さからでした。
アミノ酸20種、ビタミン14種、ミネラル12種、脂質、食物繊維を含んでおり、これだけバランスの取れた食材はないといわれているほどです。
それらの栄養素の中でも代表的なものを挙げましょう。
タンパク質
スピルリナはその重量の約6~7割がタンパク質で、肉や魚、大豆製品などと比較して含有率が非常に高いという特徴があります。
しかも、アミノ酸全20種類のうち18種類、必須アミノ酸9種類は全て含んでおり、非常に高品質なタンパク質といえます。
ビタミン
ビタミンは、β-カロテン、ビタミンB1・B2・B6・B12、パントテン酸、葉酸、ビオチン、ナイアシン、ビタミンE、ビタミンKなどを含んでいます。
特にビタミンB群はそれぞれが協力し合って酵素を助け、脳や神経、筋肉、皮膚などの健康を維持する力を発揮する成分で、種類が多いほどその作用が強くなります。
スピルリナにはビタミンB群計8種類がすべて含まれており、身体はもちろん美肌や美髪の健康にも働きかけてくれます。
ミネラル
ミネラルは身体の組織を作る材料となったり、身体の働きを維持したりするために必要不可欠な栄養素です。
体内で作ることができないため、食事から摂取する必要があります。
その中でも13種類は必須ミネラルで、不足すると体調を崩しやすくなります。
スピルリナには必須ミネラルのほとんどが含まれており、特に日本人に不足しがちな亜鉛や鉄、亜鉛などを豊富に含んでいます。
その他の健康成分
・イノシトール
脂肪の排出を促進し脂肪肝を防ぐ作用があり、中性脂肪やコレステロールが蓄積するのを予防します。
・フィコシアニン
スピルリナに特有の青色の色素で、抗酸化作用や抗炎症作用、免疫力向上作用などがあるといわれています。
・ゼアキサンチン
黄色~橙色の色素成分で、強力な抗酸化作用があります。
特に目に多く含まれることから、目の健康に良いとされています。
・クロロフィル
葉緑素のことで、体内の有害物質や老廃物を排出する作用があります。
・クリプトキサンチン
橙系のカロテノイド色素の一つで、みかんなどに多く含まれ、強い抗酸化作用があることがわかってきました。
・SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)
活性酸素を抑制する強力な酵素の一つで、体内に存在しています。
SODが多いと活性酸素によって細胞が劣化するのを防ぐことができますが、加齢によって減る上、活性も弱まってしまいます。
・γ-リノレン酸
必須脂肪酸の一つで、コレステロール値や血糖値、血圧を低下させる働きがあります。
また月経前症候群(PMS)を緩和させる効果も認められています。
スピルリナで期待できる作用
スピルリナは食品ですから、薬のようにすぐに何らかの効能・効果が出るものではありません。
しかしこれまでの多くの研究によって、以下の働きがあると考えられています。
アンチエイジング作用
各細胞内に含まれる細胞のDNAやRNAなどの核酸は、細胞の新陳代謝を促進したり、ダメージを受けた細胞を修復したりする作用があります。
しかし核酸は加齢とともに体内で合成されにくくなり、これが細胞の老化につながってしまいます。
スピルリナには核酸が含まれており、細胞を活性化して体内の組織や内臓の機能を向上させるのに役立ちます。
抗酸化作用
私たちが呼吸で取り入れた酸素の約2%は、体内で活性酸素に変化します。
さらに紫外線や大気汚染、生活習慣の乱れ、ストレスなどによって活性酸素はどんどん増えてしまいます。
人間の体内にはSODやカタラーゼ、アルブミンなどの抗酸化物質がたくさんあり、活性酸素を除去しています。
しかしこれらは加齢と共に減少してしまうため、外から抗酸化物質を摂取する必要があるのです。
スピルリナにはSODやフィコシアニン、ゼアキサンチンなど、何種類もの抗酸化物質が含まれています。
また、抗酸化ビタミンといわれるビタミンA(β-カロテン)とビタミンEなども含有しているため、非常に高い抗酸化作用で老化を防ぐ効果が期待できるのです。
便通を良くする作用
現代人は運動不足になりがちで、しかも炭水化物や脂質が多い欧米式の食事が一般的になっているため、消化されなかった糖質や脂質が蓄積されやすくなっています。
また、腸内環境も悪くなるので、便秘がちになります。
スピルリナの成分イノシトールには、これらの排出をスムーズにする作用があります。
また日本人のほとんどが不足しているといわれる食物繊維も含まれており、便秘の改善に役立つのです。
メタボや生活習慣病の予防作用
中性脂肪やコレステロールが増えると血中に流れ込み、血液をドロドロにしてしまいます。
また、これらが血管壁に張り付くことで血管が狭くなり、血液が全身に流れにくくなります。
その結果、メタボや生活習慣病を引き起こしやすくなるのです。
ビタミンB群は炭水化物や脂肪の代謝を促進させ、エネルギー源として消費させやすくする作用があります。
さらに、抗酸化物質が蓄積された活性酸素の排除を促進してくれるので、細胞のレベルから身体が健康になっていきます。
髪の成長を助ける作用
髪の毛の主成分はケラチンタンパク質ですが、これは食事で摂ったタンパク質がそのまま使える訳ではありません。
一旦アミノ酸に分解され、その後髪の毛に合ったケラチンというタンパク質に再合成されるのです。
この過程で必要なのが亜鉛やビタミンB群で、スピルリナにはタンパク質やアミノ酸のほか、これらの栄養素も含んでいます。
そのため、髪の毛の成長に良い効果が期待できます。
また、髪の毛は頭皮が健康でなければしっかりした太い髪になりません。
しかし、頭皮は一年中紫外線を浴びており、最も老化が早い部分の一つです。
人間の老化の原因の8割は、この紫外線による光老化とされているのです。
スピルリナには、紫外線によって発生する活性酸素の働きを強力に阻止する作用があります。
そのため、頭皮の光老化を防ぎ、健康な髪を育てる環境を維持するのに役立つのです。
まとめ
5大栄養素に食物繊維、抗酸化物質まで含有しているスピルリナは、サプリで簡単に摂取することができます。
もちろんこれだけで健康や美髪を維持できる訳ではありませんが、現代人の多くが不足している栄養素をたっぷり含んでいるからこそ「スーパーフード」として注目されているのです。
最近ちょっと体調が良くないな、抜け毛が増えてきたなと思ったら、スピルリナの摂取を考えてみてはいかがでしょうか。