石けんシャンプーを使う女性が増えています。
その理由の多くは、一般的な合成シャンプーで様々な髪・頭皮トラブルが起きたためです。
使用したら抜け毛が減った、髪が太くしっかりしてきたという口コミが多いことからも、その効果は間違いないでしょう。
しかし、かえって抜け毛が増えた、髪トラブルが多くて止めてしまった、という声も少なくありません。
その原因と、試す時のコツについて解説しましょう。
Contents
石けんシャンプーとは
石けんには大きく分けて2種類の作り方があります。
一つは油・水に水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)を混ぜたもので、主に粉末や固形の石けんを作る時の配合です。
これに対し、液体の石けんは水酸化ナトリウムの代わりに水酸化カリウム(苛性カリ)を混ぜ合わせたものです。
現在販売されている石けんシャンプーの多くは液体ですが、固形もあります。
洗浄力や脱脂力は水分が少ない分、固形のほうが優れているといわれています。
しかし固形か液体かというより、製造方法やそれにかける時間、配合する油の種類などによって差が出ます。
油を分解すると脂肪酸と保湿成分のグリセリンに分かれますが、多くの製法ではグリセリンを取り除いてしまうため、使った時ツッパリ感が出てしまいます。
しかし、「釜炊きけん化法」はグリセリンを取り除かずじっくり煮るので、肌によりやさしい出来上がりになります。
さらに「コールドプロセス製法」で作られたものは、熱を加えず丁寧にかき混ぜて作ります。
グリセリンが残る上に熱を加えていないので、美容成分を添加した場合変質せずそのまま石けんに閉じ込めることができるのです。
石けんシャンプーの特徴
石けんシャンプーの特徴や合成シャンプーとの違いについて、簡単に説明します。
石けんシャンプーのメカニズム
主成分である脂肪酸ナトリウムや脂肪酸カリウムは、水に溶けると弱アルカリ性になります。
頭皮や髪につく汚れは酸性の脂肪酸が主なので、アルカリ性の石けんによって中和され、泡に取り込まれます。
その後すすぐと汚れが洗い流されますが、水道水に含まれるカルシウムイオンやマグネシウムイオンが石けんの成分と結合し、金属石けん(石けんカス)ができます。
石けんカスという名称からイメージが悪いのですが、それほど多くなければ髪の毛を艶やかにする作用があります。
しかし、髪にたくさん付着したままになると、ゴワつきやきしみの原因となります。
そのため、クエン酸やお酢を薄めた酸性のリンスを使い、石けんカスを落とします。
また、弱アルカリ性の石けん成分は髪のキューティクルを開かせてしまうため、このリンスでしっかり閉じさせるのです。
合成シャンプーとの違い
合成シャンプーは、石油系やヤシ油系の合成界面活性剤が配合されている高級アルコール系が多く、それ以外にアミノ酸系などもあります。
ほとんどは中性から弱酸性ですが、特に高級アルコール系は、アルカリ性の石けんシャンプーより洗浄力や脱脂力が強いという特徴があります。
そのため基本的にリンスやトリートメントが必要で、柔軟性を持たせる界面活性剤や油性成分のほか、保存料やシリコン、色素、香料などが添加されています。
安全性からいえば、石けんシャンプーのほうに軍配が上がりますが、使用感では合成シャンプー+リンス・コンディショナーのほうがはるかに髪の指通りが良く、一度の使用でサラサラ、あるいはしっとりになります。
石けんシャンプーで期待できる変化
石けんシャンプーの効果が出るのは人によって違い、中には数か月かかることもあります。
しかし、徐々に髪や頭皮に刺激となる化学物質が徐々になくなっていきます。
すると頭皮が柔軟性を取り戻し、血流も良くなるため、以下のような変化が出てくるのです。
・抜け毛が減り、髪が太くしっかりしてくる
・フケが出なくなる
・頭皮の嫌な臭いがなくなる
・髪の毛にハリやコシが出て来る
・髪の毛がさらさらになる
・髪が多くてもまとまりが良くなる
石けんシャンプーで起こりやすいトラブルと解決方法
石けんシャンプーには市販の合成シャンプーとは違う特徴があり、それを知らないままに使ってしまうと髪トラブルが起きやすくなります。
使用時に陥りやすいトラブルと、その解決方法について説明しましょう。
①髪がギシギシしやすい
市販の合成シャンプーと同じように使用すると、多くの人が髪の指通りが悪いことに驚きます。
これは、主にすすぎが少ないことが原因です。
石けんシャンプーは皮脂汚れをしっかり取り込みますが、すすぐ時に水の成分と結合して石けんカスが出ます。
そのためシャワーを強めにし、一般のシャンプーより時間をかけ、髪をかき分けながら隅々まで洗い流すことが必要です。
これが足りないと石けんカスが髪に付着したままになり、ギシギシした手触りになるのです。
合成シャンプーでも、すすぎはシャンプーの3倍、3~5分は必要だといいますから、石けんシャンプーの場合も最低でもそれだけの時間をかけるようにしましょう。
②髪がベタベタする
①とは逆に、洗ったのに髪がべたついてしまうことがあります。
すすぎをしっかりしないままに酸性リンスをしてしまったことが原因です。
石けんカスは酸性リンスに触れると脂肪酸に変化し髪や頭皮に付着してしまうため、リンスを使う前に時間をかけて洗い流すことが大切です。
③フケが出る、かゆくなる
この原因の多くは、以前使用していた合成シャンプーによるものです。
これまでシリコンなどでコーティングされていた頭皮が石けん成分によって剥がれると、一時的に皮膚が乾燥しやすくなるため、角質層が剥がれてフケになったりかゆみが出たりするのです。
これも、我慢していれば1ヶ月程度で落ち着くことが多いです。
④髪が抜ける・切れ毛が増える
このトラブルは、いくつかの原因が考えられます。
一つは、すでにダメージを受けていた髪が、石けんシャンプーによって抜けるというものです。
石けんシャンプーによって毛穴に詰まっていた皮脂が洗い流されると、髪を産み育てる毛母細胞の働きが活性化します。
するとダメージを受けた髪を抜けやすくし、新しい健康な毛を作ろうとするのです。
また、洗い方に問題がある場合もあります。
石けんシャンプーには合成シャンプーと違いシリコンなどが配合されていないため、頭皮をゴシゴシ洗うと摩擦が大きくなります。
そのため、すでに弱っていた髪が抜けてしまうことがあります。
さらに、すすぎ不足で抜け毛が増えることもあります。
すすぎ残しがあると、アルカリ性の石けん成分が毛穴に入り込んだままとなってしまい、毛母細胞が炎症を起こして髪が抜けやすくなるのです。
切れ毛の場合は、洗い方や酸性リンスの濃度の問題のケースがよくあります。
石けんシャンプーは弱アルカリ性なので、キューティクルが開きやすくなっています。
そのため、あまりゴシゴシ洗うと開いたキューティクル部分から切れてしまうのです。
また、酸性リンスの濃度が低すぎるとキューティクルがしっかり閉じないため、ブラッシングなどの刺激によって切れやすくなります。
頭皮をしっかり洗うことは大切ですが、指の腹でやさしく洗うようにしましょう。
すすぎはたっぷり時間をかけ、必ず最後に酸性リンスを使用すること。
酸性リンスは人によって適した濃度が違いますから、薄めたり濃くしたりして自分の髪に合った濃度を見つけましょう。
まとめ
石けんシャンプーを愛用している人は、二度と合成シャンプーには戻りたくない、といいます。
しかし、長い間合成シャンプーを使用してきた人ほどその成分が残留しており、石けんシャンプーが効果を発揮するまでに数か月かかる場合もあります。
まずは試してみて、自分の髪や頭皮に合うようだと感じたらぜひ続けてくださいね。