女性の薄毛

女性の薄毛の原因?シャンプーのラウリル硫酸とラウレス硫酸の危険性

シャンプーのTVCMで外人モデルのサラサラツヤツヤな髪を見ると、すごく心惹かれますよね。
また、SNSで評判が良い商品は、一度使ってみたいと思うものです。

しかし、そのシャンプーが薄毛を引き起こす原因になっていることもあるのです。

シャンプーの主成分は「ラウリル硫酸」「ラウレス硫酸」

市販シャンプーの多くは化粧品扱いとなっており、成分は配合量が最も多いものから順に表示しなくてはならない、という決まりがあります。

市販シャンプーの成分表を見てみると、ほとんどの商品が「ラウリル硫酸」または「ラウレス硫酸」という成分名が「水」の次に書かれているはずです。

(ただし、「フケを抑える」などの効能があるシャンプーは医薬部外品扱いとなり、配合量が多い順番に記載する必要がないため、後ろの方に書かれていることがあります)

ヨーロッパで開発されたラウリル硫酸とは

ラウリル硫酸はヨーロッパで生まれた強力な洗浄成分で、石油系界面活性剤です。

ヨーロッパの水は主にミネラル成分が多い硬水で、水中のカルシウムやマグネシウムが多いため、洗浄成分の大部分が結合してカスとなってしまい、洗浄剤が泡立ちにくいという性質があります。

泡立つことによって初めて洗浄力が出るため、硬水を使う場合はある程度高温のお湯を使う必要がありました。

そのため、ヨーロッパの洗濯機の多くは加熱装置がついています。

しかし、髪と頭皮を洗う時に水をあまり高温にすることはできません。

そこで開発されたのが「ラウリル硫酸」です。

この洗浄成分は低温の硬水でも泡立つよう開発されたもので、ヨーロッパで販売されているシャンプーの多くは今でもこの成分を使用しています。

ところが、戦後この成分を日本でも使用するようになって、問題が起きてきました。

日本の水は軟水なのでラウリル硫酸では泡立ちが良すぎ、髪や頭皮に必要な皮脂まで根こそぎ洗い流してしまうのです。

また、この成分が開発されたのは70年以上前で、刺激性が強いことや分子が小さいため頭皮に残りやすいことなど、多くの問題が指摘されてきました。

ラウリル硫酸を改良したのがラウレス硫酸

ラウリル硫酸を改良し、分子を大きくしたのが、「ラウレス硫酸」です。

高い発泡性と洗浄力があり、しかも分子を大きくしたことで皮膚への残留が少なくなっており、最近の国産シャンプーの多くはラウリル硫酸を配合しています。

なぜラウリル硫酸やラウレス硫酸が薄毛の原因に?

男性の場合、女性より頭皮の皮脂分泌量が多いため、この2つの洗浄成分配合のシャンプーを使用しても、それほど問題はありません。

しかし女性の場合、薄毛や抜け毛、細毛など様々なトラブルが起こりやすいのです。

その原因を見ていきましょう。

皮脂バリアがなくなり紫外線の悪影響を直接受ける

この2つの成分は、分子の大きさは違っても脱脂力が強力であることは同じです。

皮脂は汚れを吸着しやすいという欠点がありますが、それ以上に頭皮を外的刺激から保護するという重要な役割を持っています。

しかし、ラウリル硫酸やラウレス硫酸によって皮脂がすべて取り払われてしまうと、6~12時間経たないと元の量に戻りません。

その間は頭皮が紫外線に直接さらされてしまうため、発生した活性酸素によって髪を産み育てる毛母細胞が劣化し、抜け毛や細毛になりやすくなるのです。

頭皮が乾燥して血流が悪くなる

特に毎日シャンプーしている人に起こりやすいのが、頭皮の乾燥による硬化です。

皮脂が失われてしまった頭皮からは、水分が蒸発しやすくなります。

すると頭皮が硬くなり、その下にある毛細血管を圧迫し血流が悪くなってしまいます。

毛母細胞は毛細血管から栄養をもらって細胞分裂するため、血液不足になると髪が育ちにくくなってしまうのです。

フケが蓄積して粃糠(ひこう)性脱毛症になる

粃糠性脱毛症とは、細かいフケが大量発生し毛穴を塞いでしまったり、雑菌が繁殖したりすることで毛穴内に炎症が起こり、脱毛してしまう症状のことです。

洗浄力が強すぎるシャンプーによって頭皮が極度に乾燥すると、正常な新陳代謝ができなくなり、未成熟なまま角質が剥がれてしまいます。
これがフケとなり、毛穴を詰まらせることで髪の成長にトラブルが起きるのです。

さらに、雑菌が繁殖することでかゆみや炎症が起こるとどうしても掻いてしまいますが、それがフケをさらに増やしたり炎症が悪化したりするなどの悪循環を起こし、脱毛が進んでしまうのです。

シャンプー時洗い残ししやすい

ラウリル硫酸はもちろん、頭皮への刺激が穏やかになったラウレス硫酸でも、頭皮に残留すると頭皮を荒らしてしまいます。

美容院では、シャンプーの洗い流しにはシャンプーしている時間の3倍かけます。
時間にして3~5分は必要ということになるのですが、実際にそれだけ時間をかけている女性は少なく、1~2分程度が多いといわれています。

すると、頭皮に残った成分が毛穴に詰まったり、雑菌が繁殖しやすくなったりするため、これも薄毛や抜け毛の原因となるのです。

ラウリル硫酸は頭皮のタンパク質を変性させる

海外メーカーのいくつかは、今でもラウリル硫酸を配合しています。
ラウリル硫酸は現在でもタンパク質を溶かすための薬剤に使用されているほど、タンパク質を変性させる働きが強い成分です。
しかも分子が小さいため、残留しやすいという性質もあります。

するとタンパク質を主成分とする毛母細胞のDNAが変性し、髪が細くなったり抜けやすくなったりする可能性があるのです。
ラウリル硫酸を配合した洗浄剤を食器洗いなどで日常的に使用している人に手荒れが非常に多いことからも、デリケートな女性の肌には不向きと考えられます。

シャンプーは髪ではなく頭皮のことを考えて選ぼう

女性なら、髪の毛を美しくしたい、サラサラ流れるような髪やしっとり落ち着いた髪にしたい、と思うものです。

それを反映してか、シャンプーを選ぶ時に「仕上がり感」を大切にしている女性が圧倒的に多くなっています。

その他、指通りの良さやダメージへアへの効果、泡立ちの良さなど、頭皮のケアを重視している人はあまりいないようです。

しかし、髪は土台となる頭皮が健康でなければ、美しくなることはできません。

もちろん、今生えている髪をダメージから守ることは大切ですが、それと同時に頭皮のダメージを防ぐことも重視しましょう。

おすすめは弱酸性のアミノ酸系シャンプー

洗浄成分にアミノ酸系成分を配合したシャンプーは頭皮と同じ弱酸性なので刺激が弱く、洗浄力や脱脂力も穏やかです。

成分名には、「ココイル~」「ラウロイル~」「~グルタミン酸」「ココアンホ~」「ヤシ油脂肪酸~」などがあり、保湿作用があるので頭皮の乾燥を防いでくれます。
これらの名称が成分表の「水」の次に書かれているものであれば、間違いなくアミノ酸系です。

また、抜け毛の予防改善に良いといわれているのが、アミノ酸のタウリンです。

タウリンは髪の成長期を伸ばす成長因子を増やす作用がある上に、髪の補修作用もあるとされているのです。
「ココイルメチルタウリン」「ラウロイルメチルタウリン」といった成分が配合されている商品が、通販などで販売されています。

ただ、まれにアレルギーを起こす可能性があるので、肌が弱い方はパッチテストを行なったほうが安心です。

また、アミノ酸系でも「ラウロイルサルコシンTEA」という成分は洗浄力と脱脂力がかなり強いため、乾燥肌の人は注意が必要です。

なお、アミノ酸系シャンプーは洗浄力が穏やかなので、脂性肌の人やスタイリング剤を使用している場合は二度洗いすることをおすすめします。

今のシャンプーが気に入っている方は

ラウリル硫酸やラウレス硫酸が配合されているけれど、すごく気に入っている…という場合は、すすぎに時間をかけましょう。

髪の毛より頭皮に時間をかけ、しっかり頭皮に触れて隅々まで丁寧に洗い流してください。

目安はシャンプー時間の3倍、38℃以下のお湯で必要な皮脂は残すようにしましょう。

まとめ

美髪を目指してシャンプー選びをしていたのに、それが薄毛の原因になるとしたら悲しいですよね。

これまで使用してきたシャンプーでフケやかゆみ、抜け毛などの症状が出た場合は、まずはぬるめのシャワーでこれまでの2~3倍かけてすすぎをしっかりしてみましょう。

それでも効果がない時は、アミノ酸系シャンプーを試してみてくださいね。