日本には、美しい髪を作るために海藻を食べると言う民間伝承があります。
まことしやかに伝わってきた内容ですが、本当に髪にプラスになるのかどうか、何を思って言われてきたのかも考えてみる必要があるでしょう。
普段から食べやすい食材のひとつとして、薄毛対策になる可能性もゼロではないからです。
黒髪には海藻がいいのか
日本人であれば誰もが一度は聞いたことがある、髪のためには海藻を食べると良いという話があるでしょう。
黒髪を作るためにはが必要だという内容です。
海藻をたくさん食べれば、髪は黒くなり、艶も増すと言われてきました。
この話の中には根拠というものはありません。
民間伝承の一つとして伝えられてきただけで、どうしていいものなのかがはっきりしていないのです。
基本的にこの内容ははっきりした理由を持っていません。
確かに海藻は多くのミネラルを含み、髪のことを考えれば積極的に食べていく方がいいでしょう。
しかし、豊富なミネラルなどの摂取ができるようになるのは確かですが、これらがすべて髪に回るわけではないからです。
これはどんな食べ物にも言えますが、髪のためを考えてもピンポイントに効果が挙げられるものは一つもありません。
サプリメントなどでも変わらないことですが、摂取した栄養は体の各所で使われます。
直接頭皮に注射したりしているわけではない以上、そこまで狙っていけるものではないのです。
では、食べても意味がないのかといえばそれも間違いです。
注目されるようになったがごめ昆布などに含まれるフコイダンは、育毛剤に使われるなど注目を集めるようになりました。
海藻の中には大豆のイソフラボンのような役割を持つペルベチアカナリクラタと呼ばれる成分もあります。
新陳代謝を促進することで知られており、甲状腺治療に使われるようにもなったラミナリアディギタータもあるのです。
これらの栄養素を摂取するというのは、全てマイナスにはなりません。
少なくても栄養バランスを整えるという意味で、他の食材とともに食べていけばサポートをしやすくなるのは確かだからです。
人間の体と栄養バランス
海藻を食べたからといって、いきなり髪が生えてくるようなことは決してありません。
強力な発毛効果や育毛効果を持つわけではないからです。
ここが大きな勘違いの点で、これだけを食べて育毛効果が発揮できると思ってしまうのは、そもそも間違いなのに気がつかなければいけないでしょう。
育毛をサポートしてあげるためには、様々な栄養が必要です。
例えば髪はタンパク質でできていますが、食べたタンパク質は体の中でそのまま使うことはできません。
分子構造が大きく運びこめないからです。
そこで一旦アミノ酸に分解し、必要な箇所に運び込まれていきます。
そこで再びタンパク質に合成されることになりますが、この間にもさまざまな栄養素が使われているのです。
海藻を食べてすぐに発毛に繋がらないというのは、ここに起因します。
大事な栄養素であるミネラルはタンパク質を再合成するときに使われる大事な役割を持っていますが、すぐに届くわけではないのです。
普段から栄養のバランスを整え摂取を心がけていく必要があると言われるのは、人間の体では生命活動を最優先で使われていくからです。
末端にある体の一部として栄養がまわされてきにくいところに問題があります。
健康な体を作り、バランスの良い栄養素を摂取していれば、頭皮にも回って来やすくなるのは考えると誰でも分かるでしょう。
様々なミネラルを含み、健康にも大切な栄養素を持っている海藻を食べることはマイナスにはならないのです。
海藻を食べることはマイナスではない
日本人が美しい黒髪を維持できてきたのは、これまでの生活の中に海藻を取り入れてきたことは理由の一つになるでしょう。
食生活の中に海藻を取り入れ、うまく活用していけば、サポートしてくれる栄養の一つとして役立てることができるのです。
ただし、これだけで髪がフサフサと生えてくるような事は絶対にありません。
何か特別な薬を使い、発毛を促進させているわけではないからです。
食べ物全体にいえる内容となりますので、他にも様々な栄養素を利用できるような食生活を考え、海藻を取り入れていくのが正しい考え方と言えるでしょう。
実際に海藻には甲状腺ホルモンの元となるヨウ素が多く含まれており、新陳代謝を高めてくれるのは確かです。
研究の途上にもあるフコイダンには孟母細胞を活性化する力があるとも考えられています。
こうした栄養を良質なタンパク質などとともに摂取し、規則正しい生活をしていれば、だんだんとプラスに働いていくでしょう。
ビタミンB群やカリウムなども多く含まれ、抗酸化作用の強いカロテンなども豊富です。
薄毛治療として考えた時にも、生活環境は重要な要素になります。
リズムの悪い生活を続けていれば、多くのデメリットもたらすのも確かだからです。
その中の一つの民間伝承として、海藻を食べることを推奨してきたと考えられます。
現代社会の生活の中で、どのように海藻と付き合うのか、食べ方なども改めて考えていく必要があるはずです。
海藻をうまく取り入れていく
海藻を食べる方法は色々とありますが、単純な方法はそのままの状態で食べることです。
ワカメなどが相当しますが、洗った上で食べれば簡単に摂取できるでしょう。
注意しなければいけないのは、どうしても味を強くつけやすくなるため、塩分の摂取量が増える点です。
できるだけ薄味にするというのは大切なポイントで、他の野菜などと一緒に使っていく必要があります。
昆布は出汁として使われるケースが多い海藻です。
乾物として販売されているものが多いためですが、一緒に食べられるように調理すると良いでしょう。
大根などの根菜を酢漬けする際に一緒に入れておくと食べやすくなります。
佃煮などにしてしまうとどうしても塩分が増える点にも注意が必要です。
味噌汁などにそのまま入れて食べるのも方法です。
ダシも出ますし、市販のものとは違い塩分も抑えられます。
海藻をチーズとともに和えてみるのも食べ方の一つです。
海藻と言うと和食のイメージが強い食材ですが、世界でも食べている国はいくつもあります。
チーズと和え物にするとパンにのせたりして食べることもできるのです。
過剰摂取の心配
海藻はヨウ素をたくさん含む食品ですが、排出する仕組みを持っており普段は何の問題もありません。
食べ過ぎたからといって体に言うマイナスになるようなことはないのです。
しかし、アイソトープ検査や治療をするといった場合には注意しなければいけません。
甲状腺の問題が出てくる可能性があるため、1週間~2週間は摂取しないようにしておく必要があります。
普段はいっぱい食べても何の問題もありません。
日本人は世界でも1,2を争うほど海藻を食べる民族でもあり、ヨウ素の摂取量としても質は世界でも群を抜く存在です。
食べ過ぎたら体に悪いと言ったことは、栄養素の中にはよくある部分の話ではあるものの、過剰摂取の心配がないものもあります。
海藻は普段摂取している量で過剰摂取になるようなものは出てこないため、安心して生活に取り入れていくといいでしょう。
まとめ
海藻を食べると髪マイナスになるようなことはありません。
プラスに働く栄養素をいくつも持っているため、生活の中にうまく取り入れていくのがポイントです。
毎日の食生活をバランスよく食べることが何よりも大切な薄毛対策となるため、その食材のひとつとして利用していくといいでしょう。