コラーゲンといえば、お肌のハリを保つ成分として知られています。
しかし、髪の健康を維持するためにも大切だ、ということをご存知でしょうか。
コラーゲンが減ると、髪が細くなったり抜けやすくなったりするのです。
今回は、コラーゲンと髪の関係と、効果的な増やし方について解説します。
Contents
コラーゲンとは?どんな役割があるの?
コラーゲンはタンパク質の一種で、身体を作っているタンパク質の約3割を占めています。その4割は皮膚に、それ以外は内臓、血管、骨、軟骨などに含まれています。
コラーゲンの働き
コラーゲンには、以下の働きがあります。
・細胞同士を結びつける働き
・組織を支える働き
・組織の柔軟性を保つ働き
コラーゲンは細胞と細胞をしっかり結びつけて皮膚や骨を支え、柔軟性を保っています。
そのため、コラーゲンが減るとお肌が硬くなってたるみやシワが出来、手足の関節が動きにくくなったり痛くなったりします。
さらに、血管の主成分がコラーゲンなので、減少すると伸縮性が失われて傷つきやすくなり、そこに中性脂肪やコレステロールが吸着してしまいます。
すると血管がどんどん狭くなって動脈硬化を起こしたり、全身に栄養が届きにくくなったりするのです。
コラーゲンは加齢とともに減少する
コラーゲンは皮膚の真皮にある「繊維芽細胞」から作られています。
この細胞は加齢とともに減少し、特に40代に入ると急激に減少します。
20歳を100とすると、40歳で約70、50歳で約半分まで減ってしまうのです。
しかも、減るだけでなく質も悪くなります。
コラーゲンはタンパク質が一度分解されてアミノ酸となり、それが再合成されたものです。
しかし、タンパク質を分解し再合成する代謝機能も加齢とともに衰えるため、作られるコラーゲンの質が低下し、お肌の柔軟性を保つことが難しくなってきます。
さらに、繊維芽細胞は紫外線によってDNAが損傷することも多く、紫外線ケアを怠っていると30代でもお肌にシワやたるみが出来やすくなるのです。
コラーゲンが減ると髪も減る?
お肌とコラーゲンの関係はおわかりいただけたと思いますが、髪とどういう関係があるのでしょうか。
髪の毛とコラーゲンの関係
まずは、髪の毛の構造について簡単に説明しましょう。
髪の毛は8割以上がタンパク質でできており、表面からキューティクル・コルテックス・メデュラの順で構成されています。
コルテックスがそのうちの8割以上を占め、髪の太さや弾力性はこの部分で決まります。
キューティクルは硬いうろこ状の組織で、コルテックスを守る役割があります。
コラーゲンはタンパク質の一種で、アミノ酸がつながったものです。
そのため、コラーゲンが減少するとコルテックスの量も減り、髪が細くなってきます。
さらにキューティクルの組織も弱くなり剥がれやすくなるため、コルテックス内のタンパク質や脂質、水分などが流出しやすくなり、細毛や枝毛、切れ毛などが増えてしまうのです。
頭皮とコラーゲンの関係
案外気づかないのですが、頭皮もお肌の一部です。
頭皮も顔の肌と同様、表皮・真皮・皮下組織から成り、コラーゲンは真皮層に存在します。
そして、髪の毛の毛根部もそこにあるのです。
コラーゲンが減少すると、真皮層が柔軟性を失い硬くなります。
真皮層に柔軟性があると、髪の毛がブラッシングやシャンプーなどで引っ張られても、毛根部をしっかりホールドして簡単には抜けません。
しかし柔軟性を失った真皮は毛根部をしっかり支えることができなくなり、抜けやすくなるのです。
また、毛根部は毛細血管から栄養と酸素をもらい、毛母細胞が細胞分裂を繰り返すことで髪が伸びていきます。
しかし毛細血管のコラーゲンが減少して血管壁に中性脂肪やコレステロールが張り付くと、血管が狭くなるので毛根部に充分な栄養が届きにくくなります。
さらに、硬くなった真皮が毛細血管を潰してしまうため、ますます血流が悪くなります。
これらの原因によって髪の育ちが悪くなり、最後には抜けてしまうのです。
17型コラーゲンが毛母細胞を作る細胞を活性化するという報告も
2016年に東京医科歯科大学が発表したところによると、髪を産み育てる毛母細胞を作る「毛包幹細胞」が、加齢によってミニチュア化することがわかりました。
毛包幹細胞は毛穴の中間部にあるバルジ領域で作られ、毛根部まで移動し毛母細胞に変化します。
また、毛母細胞が劣化した時には、毛包幹細胞が新たに毛母細胞を作り出し、髪の成長が止まらないようにしています。
しかし、その幹細胞が加齢によって充分成長しなくなり、毛母細胞を作る能力が失われてしまうのです。
現在のところ、毛包幹細胞を活性化させるには「17型コラーゲン」が有効であることまではわかっています。
この成分は体内に存在しますが、加齢とともに減少します。
しかし、外から取り入れる方法までは解明されておらず、食事でコラーゲンを摂取することが最も17型を増やす手立てになるのでは、と推定されています。
コラーゲンは紫外線で糖化する!
最近知られるようになってきた「糖化」。
体内に蓄積された余分な糖類とタンパク質が結合し、細胞を劣化させてしまう現象です。
紫外線には糖化を促進させる働きがあり、毎日浴びているとコラーゲンが傷ついたり分解されたりしてしまいます。
すると頭皮が硬くなり、抜け毛や薄毛の原因となるのです。
このように、コラーゲンの減少は髪そのものを弱くするだけでなく、頭皮を劣化させて髪の成長に悪影響を及ぼします。
これを防ぐには、コラーゲンの補給が必要です。
コラーゲンを食べても無駄?それは誤解です
美容に詳しい方は、コラーゲンを口から取り入れても体内には増えない、という説を聞いたことがあるかもしれません。
これは、コラーゲンに関わらず食べたタンパク質はすべて、一度アミノ酸に分解されてしまうからです。
分解したものが都合よくコラーゲンに再合成される保証はなく、わざわざ摂取しても意味がない、と考えられてきたのです。
しかし最近になって、コラーゲンには他のタンパク質とは違う特性があることがわかってきました。
北里大学などの研究によって、コラーゲンはすべてアミノ酸に分解されるのではなく、一部は分子の小さいコラーゲンペプチドとなり、コラーゲンを増やす働きが確認されたのです。
コラーゲンペプチドを摂取し、変形性膝関節症や床ずれが改善したり、肌のハリが向上した、髪が太くなったという実際の結果が出ていますから、コラーゲンを摂取することで薄毛が改善される可能性は高いといえます。
コラーゲンを効果的に増やす方法
コラーゲンは、必要摂取量が決まっていません。
しかし、肌や頭皮の老化を予防改善するには、1日5~10g(5,000~10,000mg)程度必要と考えられています。
コラーゲンの多い食材
どのような食材にどの程度含まれているのか、表にしました。
食 材 | コラーゲン量(100中) | 食 材 | コラーゲン量(100中) |
牛スジ | 4,980mg | ソーセージ | 1,570mg |
うなぎの蒲焼 | 5,530mg | 鶏モモ肉 | 1,560mg |
ハモ(皮付き) | 3,560mg | 豚スペアリブ | 1,460mg |
豚モツ(白) | 3,080mg | イカ | 1,380mg |
サケ(皮付き) | 2,410mg | 塩サバ(皮付き) | 1,250mg |
鶏手羽先 | 1,990mg | エビ | 1,150mg |
サンマ(皮付き) | 1,820mg | ハム | 1,120mg |
特に魚類に多いので、積極的に摂るようにしましょう。
さらに、大豆製品もおすすめです。
大豆は植物性タンパク質でアミノ酸を豊富に含んでいる上、動物性食品に比べカロリーが低めです。
豆腐や油揚げ、厚揚げ、納豆、豆乳、味噌、醤油などを毎日摂取すると良いですね。
また、ゼラチンはコラーゲンを加熱後精製したもので、コラーゲンより分子が小さくなっているので、吸収力が良くなっています。
おやつにはゼラチン使用のゼリーがおすすめです。
効果的な摂取方法
コラーゲンは、ビタミンCによって生成が促進されます。
そこで、ビタミンCの多い食材と併せて摂ると、より効果的です。
ビタミンCはピーマン、トマト、緑黄色野菜、柑橘類などに多く含まれているので、これらを一緒に食べるようにしましょう。
サプリも利用しましょう
毎日コラーゲンを食事で充分摂るのが難しい場合は、サプリメントがあります。
それほど高いものではないですし、錠剤やドリンクなら手軽で毎日続けられます。
なお、コラーゲンには動物由来と魚由来があり、魚由来のほうが吸収が良いといわれています。
しかし体質によって違いますし、魚由来のほうが若干高価です。
色々試して自分に合うものを見つけましょう。
まとめ
コラーゲンは美肌だけでなく、美髪を保つためにも大切な栄養素です。
毎日の食卓で摂りつつ、サプリメントやゼラチン使用のお菓子なども利用し、無理なくコラーゲンを増やしましょう。