女性の薄毛

東洋医学で女性の薄毛は解消されるのか

薄毛・抜け毛の治療というと、現在では皮膚科クリニックにて飲み薬や塗り薬を処方されたり、紫外線治療や発毛を促す注射などが多いですね。

これと同時にストレスが原因とされる点を考慮して漢方薬が処方されることがあります。

漢方は、どこか痛い時に鎮痛剤を飲んですぐに痛みを感じなくなるのとは違い、効果を実感するのに時間がかかるのが一般的です。

これは、現代主流の西洋医学とは違う、東洋医学の分野です。

西洋医学と東洋医学

西洋医学と東洋医学という二つをよく聞きますね。

何がどう違うのか皆さんご存じですか?

西洋医学・・・現在先進国での主流の医学。身体の悪い部分に直接アプローチします。
       投薬、手術といった方法で原因を取り除き治療していく方法です。

東洋医学・・・身体の内側から根本的に治す治療法。体質や心身のバランスから改善させようとする医学です。

どちらが良くてどちらが悪いという話ではありません。

西洋医学には短時間で病気を治せるというメリットがあり、東洋医学には時間がかかるが身体への負担が少ないというメリットがあります。

逆を言えば、強い薬を使えば身体はそれを異物と判断し副作用が起こることも否めなく、副作用をできるだけ避けて根本的な解決を目指すには時間がかかるというデメリットをそれぞれ持ち合わせているとも考えられます。

東洋医学的な考え方

東洋医学では、抜け毛の原因と考えられるポイントが3つあります。

《血虚》
東洋医学では、髪の毛は血の余りと考えられています。
つまり、血が足りないと髪の毛にも十分に栄養が行きわたらないという考え方です。

《腎虚》
成長・発育・生殖に関わる泌尿器・生殖器・腎臓などの機能を腎と言います。
ホルモン代謝や自律神経などに関わってくると言われ、腎が低下しているとホルモンバランスも乱れてしまい、髪の毛の成長にも大きく関わってくると考えられます。

《湿熱》
文字通り、熱や水分を身体の中に余分に持ってしまっている状態。
皮脂分泌が多くなり抜け毛につながるとされます。暑がりで汗っかきなタイプの方はこれにあたるとのこと。

上の3つが東洋医学での抜け毛の原因だと言われています。

これらに有効な漢方薬はこちら。

*血の巡りがよくなるとされる「当帰(トウキ)」が含まれる漢方薬
*身体を温め自律神経にも効く「鹿茸(ロクジョウ)」が含まれる漢方薬
*全身状態を良くする「十全大補湯(ジュウゼンタイホトウ)」
*胃腸の消化・吸収機能を整える「補中益気湯(ホチュウエッキトウ)」
*ホルモンバランスを整える「紅雪冬花(コウセツトウカ)」
*血管血流の保護・促進「星火霊芝宝(セイカレイシホウ)」
*不眠症・皮膚炎・皮膚のかゆみに「黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)」

これらの漢方薬を飲んだからといって抜け毛や薄毛が解消されるとは限りません。

直接的アプローチではなく、抜け毛の原因となっているであろう身体の不調を改善させようという話なのです。

人によって、ホルモンバランスだったりストレスだったり、どこかに病気が隠れている場合もあります。

まずは、抜け毛の真の原因は何なのかを病院で調べる必要はありそうですね。

西洋の薬のように効き目が早いものは副作用も多いです。

ならば漢方薬なら副作用は全くないのかというとそうでもないようです。

副作用が出る例としてはこのようば場合が考えられます。

*生薬自体にアレルギーがある
*効き目が少ないと思い込み量を飲み過ぎる
*自己判断で飲み合わせを決めてしまう
*生薬を含む市販薬やサプリメントと知らないうちに飲み合わせてしまう

副作用の内容は生薬によって異なりますし、そもそも漢方薬はどの部位にどのように効いているのかが解りづらいもののようで、身体のどこで副作用が起きているか判断するのが難しいことも。

飲む場合は、病院で処方される薬と同じように「用法容量を守って」「飲み合わせの注意」を守って使用すること。

そして漢方薬を飲み始めたことにより心当たりのない身体の不調が出ていないか気にしてみることも必要です。

「効き目がわかりにくい=弱い薬」という解釈はせずに、漢方薬を選ぶときも薬剤師さんや漢方医さんに相談するのが安心ですね。

医食同源という考え方

髪の悩みはホルモンバランスやストレスが影響していると言われています。

ストレスが原因で血流が滞ると栄養が頭皮まで行き渡らないとされますが、そもそも栄養が足りていない状態では髪の毛が元気に育たないのも当然のこと。

東洋医学では、「医食同源」という言葉があるように普段から食事で病気を予防・治療しようという考え方が重要視されています。

東洋医学では、食物を「酸・苦・甘・辛・塩辛い」の五味に分けて、それぞれがどの部位に効くかが決まっています。

酸⇒肝臓
苦⇒心臓
甘⇒脾臓
辛⇒肺臓
塩辛い⇒腎臓

これらに基づいて作る料理を「薬膳」と言います。

食物の実や種に含まれる糖質(炭水化物)、たんぱく質、脂肪、ビタミン、ミネラルなどの栄養を取り入れて健全な身体を作ることが重要だとされ、それらに使われる食材はもちろん自然なものであることが大切です。

食品添加物が含まれるようなものではなく、オーガニックなものが良いとされています。

《五穀》ゴマ・麦・米・粟・大豆
《五果》すもも・あんず・ナツメ・モモ・栗
《五畜》犬・羊・牛・鶏・豚
《五菜》ニラ・らっきょう・青菜・ねぎ・豆の葉

もともと東洋医学とは、中国やインドなどアジアを起源とする伝統医学です。

日本では犬を食べる習慣もありませんので、この上記の五味は中国の食に対応しているとも考えられます。

日本でも江戸時代から伝統的な行事となっている「七草粥」。

今年は皆さま召し上がられましたか?

これも、まさに医食同源の考え方。

セリは鉄分が多く含まれ、ハコベラはたんぱく質やミネラルを含む薬草。

スズナは消化促進効果があるとされ、年末年始の胃腸が疲れがちな食事のケアにもちょうどいいですね。

七草が手に入れられなかったという方は、大根やホウレン草、また五菜にも含まれるニラやねぎも使えますね。

お粥なのでお米が入り、もち麦はお米よりもミネラルビタミンを豊富に含むのでおすすめ。

ゴマは胃の働きを助けるともいわれ、特に黒ゴマの方がアンチエイジング作用が期待できます。

食養やマクロビオティックという言葉がありますが、これらも根底には食物で病気や身体の不調を治し、また予防するという目的があります。

七草粥も昔から現代まで受け継がれているもの。

時代によって呼び方が変わったり内容が進化していても、そもそもデメリットがあるものであればどこかで衰退していたでしょう。

それが今でも続いているということはそれなりの理由があるのだということがわかります。

昔も今も医食同源の考え方は大切なのです。

まとめ

漢方薬は必ず治るという特攻薬ではありません。

効果が実感できるかどうかも人それぞれでしょう。

副作用がでるかどうかもDNAの個体差の分だけ皆さん違うでしょう。

ですが、身体の内から根本的に問題を解決することが髪の毛へいい影響を与えてくれることに繋がるのは間違いないはずです。

特に、髪の毛だけでなく自律神経の病、慢性的な病には長々と薬を飲み続けるよりも根本的な問題解決が必要なのではないでしょうか。

円形脱毛症は一度治っても違う場所で繰り返してしまう人も多いです。

身体の内から問題を解決させることで繰り返されることが解消されるならば、こんなに嬉しいことはないですね。