もち麦と言えば、一時ダイエットに良いと大流行した穀物です。
今でも大抵のスーパーのお米のコーナーに置いてありますから、続けている人が多いことがわかります。
でも、知らない、試したことない、という女性も少なからずいるはず。
今回は、そんな女性にもち麦のパワーとなぜ髪にも良いのか解説しましょう。
Contents
もち麦とは?
もち麦とは、粘りが強いもち性の大麦のことです。
お米にうるち米ともち米があるように、もち麦はもちもちした大麦なのです。
「麦」といえば小麦が代表的ですが、大麦も世界最古の栽培作物の一つで、紀元前1万年頃にはすでに食べられていました。
しかし小麦と違ってグルテンがないためパンの製造には向かず、ヨーロッパでは主にビールの製造に使われています。
日本では縄文時代から食べられていましたが、やはり一時は小麦に取って代わられました。
しかし、小麦中心の生活で脚気を起こす人が増えた日露戦争時代頃から見直されるようになり、ビタミンB1・B2を添加した押麦「ビタバァレー」を白米に混ぜて炊く家庭が増えてきました。
現在は押麦やもち麦として白米に混ぜるほか、ビールや麦芽飲料、麦みそ、麦茶などの原料として使われています。
もち麦の特徴
もち麦がなぜ健康やダイエットに良いと評判になったのか、それは成分を知ればすぐにわかります。
食物繊維が白米の約20倍
現代の日本人は、食物繊維の摂取量が不足しています。厚労省の食事摂取基準では、男性は20g/日、女性は18g/日以上としていますが、3~6g程度足りていないという結果が出ています。
もち麦には豊富な食物繊維が含まれており、100g中9~13g前後も含まれています。ご飯を炊く時に1/3ほど混ぜれば、茶碗1杯で2~3gも摂れるのです。
しかももち麦は水溶性・不溶性両方の食物繊維を含んでいます。
水溶性は水に溶けるとゼリー状になり、栄養素の吸収速度を緩やかにするため、空腹を抑え食べ過ぎを防ぎます。
また、大麦のβ-グルカンという水溶性食物繊維には、腸内の善玉菌のエサになり腸内環境を整える効果があることが証明されています。
さらに、コレステロールやナトリウムを排出する作用もあります。
不溶性食物繊維は水分を吸収して便の容積を増やし、腸のぜん動運動を活発にします。
つまり、もち麦を食べると便秘解消効果があり、特にお腹回りに悩む女性にうってつけの食材なのです。
血糖値の上昇を防ぎ生活習慣病の予防にも
糖質制限をしていると、ご飯をあまり食べられませんよね。
これは、糖質(炭水化物)を食べると血糖値が高くなり、インスリンが分泌されて血糖値は下がるものの、消費されなかった糖質がインスリンの働きで脂肪となり、蓄えられてしまうからです。
そこでお勧めなのがもち麦です。もち麦は食物繊維が非常に多く消化吸収に時間がかかるため、血糖値が上がりにくくなり、糖質が脂肪として蓄積されるのを防いでくれるのです。
女性に嬉しいビタミンB群のナイアシン
大麦には、ビタミンB1・B2・B6、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビタミンEが含まれており、特にビタミンB群が豊富です。
その中でも多いのがナイアシンで、細胞の補酵素として働き、細胞の生まれ変わりを助ける作用があります。皮膚の新陳代謝に大切な役割をはたしており、アンチエイジングに重要な成分です。
また、ナイアシンには毛細血管を拡張する作用があるため、特に女性の冷えや肩こりに効果的です。
ビタミンB6がホルモンバランスを整える
ビタミンB6には、女性ホルモンのエストロゲンを代謝し、バランスを整える作用があります。
この働きによって月経前症候群(PMS)やつわりの症状を和らげることができます。
また、ビタミンB6はタンパク質の代謝に使われる成分で、皮膚や髪、爪などの健康に大きく関わっています。
日本人が不足しがちな亜鉛や鉄も豊富
日本は土壌にミネラルが少ないためもあり、全体的に不足しがちです。
特に足りないのが亜鉛と鉄で、女性の場合亜鉛の推奨摂取量が8.0mg/日なのに対し7.3mg、鉄は推奨量が10.5mg/日に対し7.mgと、かなり不足しています。
亜鉛には細胞分裂を盛んにして新陳代謝を促したり、インスリンの分泌量を調整したりする作用があり、不足すると乾燥肌や爪の変形、胃腸障害、貧血など様々な障害が起こりやすくなります。
また、鉄が不足すると鉄欠乏性貧血となり、酸素が充分体内に送り込まれなくなるため、酸欠状態となってしまいます。
そこで亜鉛や鉄が多く含まれているもち麦を毎日の食事に取り入れることで、不足分のカバーに一役買ってくれるのです。
もち麦は女性の薄毛改善を内側からサポート
もち麦はダイエット効果ばかり注目されがちですが、それ以外にも多くの健康効果があることがおわかりいただけたのではないでしょうか。
そこでもう一つ、女性の薄毛の改善にどのように作用するのか解説しましょう。
女性ホルモンのバランスを整えて髪の成長を促す
髪の寿命は、女性が4~6年、男性が2~5年といわれ、さらに女性のほうが男性より髪が太くしっかりしていることが、北里大学などの研究でわかっています。
この差は、女性ホルモンにあります。
女性ホルモンには髪の寿命を伸ばしたり太くしっかりした髪を作ったりする作用があるため、女性のほうが健康な髪をしているのです。
しかし、女性ホルモンは非常にデリケートで、睡眠不足や栄養不足、ストレスなどで分泌量が減ってしまいます。
さらに、分泌量のピークは30歳前後で、それ以降は減少してしまいます。
そこでもち麦を食べると、ビタミンB6の働きで女性ホルモンのバランスが良くなり、髪の毛の成長に良い効果が期待できるのです。
抜け毛予防に効果があるといわれる亜鉛を含有
亜鉛は、髪の毛の主成分であるケラチンタンパク質を合成する際に必要な酵素の成分です。
育毛剤に必ず配合されているほどで、不足すると抜け毛になりやすくなるのです。
もち麦には亜鉛が多く含まれているので、抜け毛の予防に効果が期待できます。
食物繊維が老廃物を排出
便秘の症状は、お腹が苦しくなるだけではありません。
詰まった便に含まれる老廃物や有害物質が血管から再吸収され、全身に送られてしまうのです。
そのため、便秘が続くほど体調が悪くなり、髪の毛にも影響が出てしまいます。
もち麦には水溶性・不溶性食物繊維がたっぷり含まれているので、腸の働きを促進して不要なものを体外へ排出してくれます。
新陳代謝を促進し髪の成長を早める
髪の毛は毛穴奥にある毛母細胞から生まれ、この細胞が細胞分裂を繰り返すことで伸びていきます。
そのため、新陳代謝の速度が遅くなれば髪の毛の成長も遅くなり、細毛のままだったり切れやすくなったりしてしまいます。
もち麦には細胞の新陳代謝を促進するナイアシンや亜鉛が含まれているので、毛母細胞の機能が向上し、髪の成長をサポートしてくれるのです。
もち麦を食べましょう!
もち麦は簡単に手に入りますから、初めての方は少なめのものを購入し、炊いてみましょう。
白米:もち麦を7:3にする(基本)
白米の食感を損なわずに食べられる、基本の分量です。
白米2合といつもの水加減 + もち麦100g + 水200ml ➤ 約3合のもち麦ご飯
白米といつもの水の量にプラスして、もち麦の量に対し2倍の水を入れるのが標準ですが、お好みの硬さに合わせて調整してくださいね。
食物繊維を多く摂りたい方やもち麦のぷちぷち感を楽しみたい方は、5:5がお勧めです。
パサパサに炊きあがってしまったら
パサパサになるのは、水の量が少なかったからです。その場合はチャーハンにしたりスープで煮込んだりすると美味しくいただけます。
炊いたもち麦をドリンクに
時には、ご飯以外の食べ方もお勧めです。炊いたもち麦と牛乳や豆乳、ジュースなどを入れ、ミキサーにかけるだけ。とろっとして腹持ちも良いので、満足感の高いドリンクになりますよ。
夜は控えめにしたほうが安心
もち麦は、あまり夕食では食べない方が良いといわれています。
食物繊維が豊富なので消化に時間がかかり、寝ている間も胃腸が働かなくてはいけなくなってしまい、熟睡できなくなったり疲労感が残りやすくなったりするのです。
特に夕食を終えてから就寝までに3~4時間取れない場合は、避けるか量を減らしたほうが良いでしょう。
まとめ
もち麦ブームは落ち着きましたが、今でもスーパーなどで簡単に手に入ります。
お腹の調子が良くなって、しかも薄毛予防にも期待できるのですから、ぜひ試してみてくださいね。