女性に多いといわれる低血圧。
朝なかなか起きられない、午前中はぼーっとしてしまうなど、1日のスタートを爽快に迎えられないというのはとてももったいないですよね。
しかも、血圧が低いと髪にも悪影響を与えるのです。
低血圧とはどういう状態で、なぜ髪に悪いのでしょうか。
低血圧とは
まずは、低血圧とはどういう状態を指すのか、簡単に説明します。
血圧とは?
血圧とは、血液が心臓から送り出されて動脈を流れる時に、動脈の血管壁にかかる圧力のことを指します。
血圧を測る時は、最高血圧と最低血圧の2つを計測します。
最高血圧とは、心臓が血液を押し出して心臓の筋肉を強く収縮させた時に、血管にかかる圧力を指します。
また、最低血圧とは心臓の筋肉が最も拡張した時の血管にかかる圧力のことです。
高血圧と低血圧
高血圧とは血管壁にかかる圧力が高い状態を指し、最高血圧が140mmHg、最低血圧が90 mmHg以上になると高血圧と診断されます。
高血圧の場合、常に血管に圧力がかかるため、血管がボロボロになりやすく、様々な障害の原因となります。
しかし低血圧の場合、血管を傷つけることはないため、原則として治療は必要ないとされています。
また、高血圧と違い基準値が定められておらず、目安として最高血圧が100mmHg、最低血圧が60mmHg程度以下になると低血圧と考えられています。
低血圧の3つのタイプ
低血圧には3種類あり、原因や症状が違います。
・本態性低血圧
低血圧の中で最も多いタイプで、原因がわからないものを指します。
遺伝や体質が大きいとされており、血圧の低下を引き起こす病気がない場合にこのように診断されます。
症状としては、疲れや倦怠感、めまい、耳鳴り、動悸、息切れ、肩こり、食欲不振、不眠などがあります。
・起立性低血圧
立ち上がった時に一瞬くらっとするのがこのタイプで、急激に血圧が下がって起こります。
下半身に血液が行ってしまい、心臓になかなか戻らない時に起こるとされ、高血圧の人にも見られる症状です。
他には、一時的に目の前が真っ暗になったり意識が遠のいたり、あるいは動悸や吐き気などの症状が起こることもあります。
成長期の子供に多い症状で、成長とともに改善されることがほとんどです。
・二次性低血圧
ケガや病気、薬の投薬などによって起こる低血圧です。
よく見られるのが糖尿病や循環器系疾患、内分泌系疾患、甲状腺異常、パーキンソン病、ガンなどです。
これらの病気の場合、意識を失って死亡してしまう例もあります。
低血圧の起こる原因と各部位に起こる症状
低血圧とは、簡単に言うと血液の流れが遅いことです。
特に毛細血管などの末端の血管の伸縮力が弱いため、隅々まで届きにくくなったり、心臓に戻りにくくなったりしてしまうのです。
これが脳に起こるとめまいや立ちくらみ、浮遊感、頭痛、けいれんなどが起こります。
また、心臓に起こると動悸や息切れ、不整脈などが、呼吸器に起こると過呼吸症候群や呼吸困難、胸痛、息切れ、パニック障害が出やすくなります。
さらに、消化器の血管に起こると食欲不振や胃もたれ、腹痛、便秘、下痢、膨満感、吐き気、胃下垂などが起こります。
その他、眼精疲労や多汗症、無汗症、性欲減退、夜間の頻尿なども、低血圧によって起こることがあります。
血圧と自律神経の関係
また、血圧と自律神経には深い関係があります。
交感神経は血管を収縮する作用があるため血圧が上がりやすくなり、副交感神経は血管を拡張させるため血圧が下がりやすくなるのです。
通常、朝目覚めると交感神経が働き出し、血圧を高めて心身を活動的にします。
しかし自律神経が乱れていると朝になっても副交感神経の働きが継続してしまい、血圧がなかなか上がりません。
また、副交感神経には心身をリラックスさせる作用があるため、身体に力が入らなかったり脳の働きが緩慢になったりしてしまうのです。
低血圧と貧血は症状が似ているが原因は全く違う
低血圧と貧血は症状が非常に似ているため、同じようなものだと思われがちです。
しかし、貧血は主に鉄分不足によって脳が酸欠状態になり起こる症状で、低血圧とは全く違います。
低血圧の場合、鉄分を摂取しても症状は改善されません。
低血圧が頭皮や髪に与える影響
低血圧は血液の流れが遅いということですが、それが頭皮に起こると以下のような影響が出てきます。
髪の成長に必要な栄養が届かなくなる
血圧が正常な人でも、頭部には重力に逆らって血液を送らなくてはならないため、血液が不足しがちです。
ましてや低血圧の場合は、末端の血管まで送る力がとても弱いのです。
すると、頭部の毛細血管に栄養が届かなくなります。
髪の毛は毛根部の毛母細胞が毛細血管から栄養を受け取ることで細胞分裂して伸びていくため、栄養不足から髪の成長が遅くなったり細くなったりしてしまうのです。
頭皮の新陳代謝が遅くなる
血液は、栄養だけでなく酸素も送り込んでいます。
細胞が新陳代謝するには酸素が不可欠で、不足すると古い角質が残り、どんどん硬くなってしまいます。
低血圧の場合、動悸や息切れなどの症状が出やすいことからもわかるように、酸素不足になりがちです。
その結果、頭皮が硬くなってその下の毛細血管を圧迫してしまい、ますます血液が届きにくくなってしまうのです。
老廃物や有害物質が蓄積されやすくなる
血液は動脈から毛細血管に送られ、毛細血管は老廃物や有害物質を取り込んで静脈に流し、最終的に排出されます。
この一連の流れによって、細胞の劣化を防いでいるのです。
しかし低血圧によって血流が悪くなると、不要物が蓄積されやすくなってしまいます。
その結果頭皮環境が悪くなり、髪が細くもろくなったり抜けやすくなったりしてしまうのです。
低血圧とうまく付き合う方法
低血圧は体質や遺伝による部分が大きいとされ、薬物でコントロールすることはできるものの、完全に治療することは困難とされています。
そこで、低血圧とうまく付き合うことを考えましょう。
食事をしっかり摂る
低血圧の人は特に朝が弱く、朝食を抜きがちです。
しかしそれでは血圧を上げることができないため、少量でも良いのでタンパク質とビタミン、ミネラルを摂取するようにしましょう。
豆腐や納豆などは肉や魚に比べて消化が良いので、野菜たっぷりの味噌汁などにして摂ると良いでしょう。
また、塩分は血管を締めて血圧を上げる作用があるので、味付けを少ししょっぱめにするのがおすすめです。
梅干しを1個食べると塩分が取れ、しかも疲労回復に効果のあるクエン酸も摂れます。
交感神経を活性化させる食品を摂る
チラミンという成分は、交感神経を活性化させ血圧を上昇させる作用があります。
赤ワインやチーズ、カカオ製品、発酵食品、柑橘類に多く含まれているので、積極的に摂りましょう。
その他、交感神経を活性化させる食べ物には以下のものがあります。
・炭酸
・レモン
・スパイス(唐辛子、コショウ、生姜、シナモンなど)
・キムチ
・カレー
・カフェイン(コーヒー、紅茶、緑茶など)
適度な運動をする
血管は筋肉の動きに合わせて伸縮するので、適度な運動をすることで血流が良くなります。
特にふくらはぎに筋肉が集中しているので、足を使った運動、たとえばウォーキングや早足、階段の昇り降りなどを行なうと良いでしょう。
朝熱めのシャワーを浴びる
熱めのシャワーは交感神経を活性化させ、心身をしゃきっとさせてくれます。短時間でさっと浴びるようにしましょう。
早めに起きて日光を浴びる
人間は朝日を浴びることで、交感神経が活性化を始めるようにプログラムされています。
そこで、低血圧の人はなるべく早めに起きて、日光を浴びるようにしましょう。
また、その時に軽く運動すると、体温が上がって血流が良くなります。
まとめ
低血圧は病気ではないものの、顔色が悪くなったり抜け毛が増えたりして、女性にはデメリットが多い症状です。
今回ご紹介した方法で低血圧とうまく付き合い、健康を維持しましょう。