男性だけでなく女性にとっても大きな悩みとなる薄毛。
薄毛の女性は貧血気味であることも少なくありません。
鉄不足が薄毛の原因となる可能性があるため、鉄分を補給することが薄毛の改善にも効果を発揮します。
この記事では、鉄分不足が頭皮や髪に与える影響をお伝えし、それを改善するための食生活を提案していきたいと思います。
Contents
鉄不足が薄毛の原因となるメカニズム
女性は毎月の生理があるため、どうしても鉄不足に陥りがちです。
鉄は、体内でヘモグロビンを生成する役割を果たします。
つまり鉄分が不足すれば、ヘモグロビンの生成量も少なくなってしまうということになります。
ヘモグロビンは血液の中で酸素を運ぶ役割を担っています。
そのため医学的にも、鉄が欠乏すると細胞に十分な酸素が供給されず、疲労が溜まり、作業能率の低下や免疫力の低下を引き起こすと言われています。
髪自体は角化した細胞、すなわち死んだ細胞から作られていますが、その毛根の細胞は生きていて細胞分裂を繰り返しています。
この細胞が酸素不足になると、その働きは鈍化し、髪の成長が阻害されることになります。
また、鉄はヘモグロビンに使われるほか、必要な場合に備えて体内に貯蔵されます。
このときに重要になるのが「フェリチン」です。
「フェリチン」とは、鉄を貯蔵するタンパク質のことです。
このフェリチンの値は、貯蔵鉄の多寡を計測する基準になります。
ただし、貧血の症状が出たときにヘモグロビンの検査をすることはあっても、フェリチンの値を測定することはほとんどありません。
しかし、フェリチン不足による「潜在性鉄欠乏症」も、貧血の原因となり鉄不足の症状を引き起こす可能性が高いのです。
そのため、フェリチンが不足すると頭皮や髪に酸素や栄養が十分行き渡らずに薄毛や抜け毛、白髪のリスクが高まります。
フェリチンの数値を上げるためには、普段から継続的に鉄分を摂取する必要があります。
鉄分をはじめとするミネラルの重要性
ミネラルは、人間の体に必要な機能を備えた栄養素ですが、体内で作ることができないため、食べものから摂取する必要があります。
しかしながら近年日本では、鉄をはじめとするミネラルの摂取量が低下していることが指摘されています。
たとえば、19歳~50歳の女性は、1日に10.7mgの鉄分を摂ることが推奨されていますが、厚生労働省が発表した実際の鉄摂取量の平均値は、20歳以上の女性で7.5 mgでした。
なお、どの年代においても鉄の平均摂取量は9.0mg以下、つまり推奨されている量に満たなかったのです。
鉄分だけでなく、カルシウムやマグネシウム、そして亜鉛の摂取量も不足しがちです。
亜鉛は、鉄分と並んで健康な髪を育てる上で重要な栄養素です。
髪の毛は、そのほとんどがケラチンと呼ばれるタンパク質で作られています。亜鉛はタンパク質の合成や細胞分裂に重要な役割を果たすため、コシやハリのある髪の毛を育てるのに不可欠なものです。
そのため亜鉛が不足すると、抜け毛が増えると言われています。
前項の内容を合わせてまとめると、ミネラルの中でも不足しがちな鉄分と亜鉛を補うことは、薄毛を予防することにつながると言えます。
それだけでなく、肌や髪の質を高めるのにも効果的と言えるでしょう。
バランスの良い食事のススメ 鉄分と亜鉛とたんぱく質
ここまでの説明では、鉄分以外にも亜鉛などの他のミネラル分が薄毛対策に有効だとお伝えしてきました。
他にも重視するべき栄養素があります。
それはタンパク質です。
先に述べたように、髪の毛の成分はほとんどがケラチンというタンパク質で構成されています。
良質なたんぱく質を摂ることで、健康な髪の毛を作ることができます。
タンパク質が不足すると、髪だけでなく肌や内臓の健康も損なわれます。
まとめると、薄毛を改善し、美しい髪と肌を手に入れるために必要な栄養素は、1.鉄分、2.亜鉛、3.タンパク質ということになります。
ここでは、それぞれの栄養を摂るときのポイントをお伝えしていきたいと思います。
1 鉄分
鉄には、動物性食品に多く含まれているヘム鉄と植物性食品に多く含まれている非ヘム鉄があります。
ヘム鉄は体内に吸収されやすく、効率的に鉄分不足を解消するのに役立ちます。
ヘム鉄は、豚・鶏のレバーや、牛の赤身肉、アサリの水煮やイワシの干物、マグロやカツオなどに多く含まれています。
豚レバーは、60g中6.5mgの鉄が含まれているため特におすすめです。
(同量内の鉄含有量を比較すると、鶏レバーは4.5mg)
非ヘム鉄は体内への吸収率は低いながらも、野菜や豆類、海藻などに多く含まれているため、ビタミンなどの他の栄養素も同時に摂ることができるので積極的に食事に取り入れましょう。
非ヘム鉄は、小松菜やほうれん草、干しひじき、干し蕎麦、豆乳、ごまに多く含まれます。
卵黄は、植物ではありませんが、非ヘム鉄を多く含む食品です。
効率よく鉄分を摂るためには、ヘム鉄を多く含む食品と非ヘム鉄を多く含む食品をうまく組み合わせると良いでしょう。
2 亜鉛
亜鉛は、牡蠣やレバー、魚介類、牛肉、チーズ、ナッツ類に多く含まれています。
レバーや牛肉など、鉄を多く含む食品と重なるものもあるので、これらを優先的に食べるようにするのも良いでしょう。
亜鉛は、体内に吸収されにくい栄養素なので、食事だけで摂取するのが難しいかもしれません。
三食に加えて、ナッツやビーフジャーキー、するめなど亜鉛を多く含む食品をおやつにするのも一つの方法ですね。
3 タンパク質
肉や魚などの主菜を多く食べる人は、自分は十分にタンパク質を摂っていると考えがちです。
もちろんそれは間違ってはいないのですが、自分が思っているほどタンパク質を摂取できていない可能性もあります。
たとえば、牛のもも肉100g当たりのタンパク質は21.2g、全体のおよそ5分の1となっています。
成人女性に推奨されるタンパク質の摂取量は一日に50gなので、それを超えるように食事の組み立てを考えなくてはいけません。
食品成分表やそれを反映させたアプリなどを活用して、自分の食事内容を見直してみましょう。
また一日の中で、それぞれ種類の異なるタンパク質の含まれる食品を用意すると良いですね。
サプリメントの活用と注意点
普段の食生活で気をつけていても、食事からだけは十分な鉄分を摂取することができない場合もあります。
食事で足りない鉄分を補うためには、サプリメントを活用することが有効です。
「ヘム鉄」のサプリメントを規定量を守って摂取しましょう。
効果を出したいからと過剰に摂取してしまうと、亜鉛の吸収率が下がると言われています。
一方、亜鉛のサプリメントを摂る場合も、推奨されている既定量を守ることが大切です。
亜鉛の摂りすぎは、鉄や銅の吸収を妨げると言われています。
いずれにしても、基本は食事から摂り足りない部分をサプリで補うという姿勢が大事です。
まとめ
この記事では、鉄不足が薄毛リスクを高めるということをお伝えしていきました。
ヘム鉄が多く含まれているレバーや肉、魚、貝類が特におすすめです。
また、鉄と同様に、亜鉛やタンパク質も摂取することで健康な髪を育てることができる栄養素です。
これらをバランスよく食事に取り入れてみましょう。
食事だけでは限界があるためサプリメントの活用は効果的ですが、過剰摂取はかえって逆効果になるので要注意です。
鉄不足を解消して、弱った髪と地肌に栄養を行き渡らせましょう。