今でも多くの病院では、子どもが入院した場合、病院側から「毎日病院に来てあげるように。」と言われるところもあります。
市民病院や県立病院でもそういった指示を入院の前に説明されることがあります。
「お親御さんが見舞いに来るのは当然!」という風潮はまだまだ残っています。
子どもはどうしても、心細く、自分の置かれている状況を理解できない場合も珍しくありません。
訳が分からない状況に立たされているので、親御さんを頼りたくてたまらなくなります。
それと同じほど、子供自身も両親に対して来てもらうことは申し訳ないし、他の兄弟に対しても独り占めしているようで申し訳ない気持ちでいっぱいになります。
入院している時は、なかなか日常と同じような親子の触れ合いはできません。そんな時にツールとなるものが、子どものヘアケアです。
子どもが親御さんにずっと触れていて貰えるので安心します。シャンプーをしてあげたり、頭の毛をクシですいてあげることによって、子どもも少しは現実から逃避でき、安心できます。
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病棟のシャワー浴
シャワー浴は点滴をしていてもOK!
点滴をしていても、点滴の合間に針を抜いてシャワー浴をすることができます。
点滴の針は定期的に差し替えていかないと、点滴の中身が漏れ出してしまうことがあります。
そうすると、子どもの腕は青色や黄色に変わり、とても痛くなります。
子どもはとくに動き回ってしまうので、漏れ出してしまうことが多かったりします。
そのため、腕を固い木のようなもので固定されてしまい、子どものためなのですが、ますます子どもは自由を奪われた気がしてしまいます。
なので、定期的に針を交換する必要が出てきます。そういったタイミングでお風呂に入ると、自由に腕を動かして入浴することができます。
点滴中でもシャワーを浴びれることも!
点滴の途中でも、針を抜かずにラップのようなシートや、ラップみたいなものでぐるぐる巻きにで留めてしまえば、入浴できます。
腕ではなく、ほかの部分の胸などに大きな針で点滴を刺していても、その部分ををラップのようなシートで覆い、水が入ってこないようにすれば入浴することができることもあります。
入浴する場合は、入浴時間よりも1時間ほど早めに来るように指示されることが多いので、時間はキッチリと守りましょう。
子どもだけだと、子どもが何をされるのか分かっていなかったり、入浴の介助を頼まれることもあるので、時間は守りましょう。
強要は絶対にダメ!
子どもの体調の悪そうなときは、「せっかくシャワーを浴びれるんだから!」と、無理強いは絶対にしないことが大事です。
子どもがパパやママにまで自分を否定されたような気分になりますし、そもそも普通の生活を送れないほど辛い状態なので病院にいることを忘れないようにしましょう。
入浴のタイミングは、看護師さんにシャワーを浴びたいということを伝えることで、作ってくれることがあるので、取り合えず、相談してみることでなんとかなります。
入浴を禁止されている場合を除けば、こころよく対応してくれる場合が多いですので、気を負わず相談してみましょう。
シャワー浴はギプスを付けていてもOK!
ギプスも点滴と同じように、水が入らないようにすればシャワーを浴びることができます。
最初に上下の空いている袋で覆い、その両側の縁をテープでグルグル巻きにすれば、入浴ができます。
この場合も、医者から許可が出ていることが前提です。
看護師さんに入浴の時間が迫ってきたら、準備をしてもらい、それから入浴するので、見舞いに来るときは、入浴時間よりも1時間程度早めに病院にくるとスムーズに動きやすいです。
洗髪台
美容院にあるシャンプー台のようなもので、全身は入浴できないときに使うことで、頭を洗うことができる便利なものです。
その病棟の大きなトイレや洗面台などの水回りの近くや、入浴する施設の横に置いてあったりします。
子どもはただ横になっているので負担は少なく、一時の気の紛れとしては最適です。洗う側は腰に結構負担がくることもあるので、なるべく腰を痛めないように気を付けましょう。
お母さんが洗ってもOKなこともある!
どちらかというと、看護師さんよりも親御さんに子どもは髪の毛を洗ってもらうことが多いです。
看護師さんも気を利かせて、「洗ってもいいですよ!」と、勧められることが多いです。
体調の悪いときにからだをさすってもらうと、気が楽になるのと一緒で、頭を洗ってもらうことでリラックスできます。
また、子どもからすれば、「美容師さんごっこ」のようで、楽しい気持ちになります。
「痒いところがありませんか?」とか、「熱くないですか?」と、声をかけながらシャンプーをしてもらうことで、楽しい気分になります。
小さい子どもは喜んでくれますし、ある程度大きくなっても、気恥ずかしいながらも現実逃避できます。
シャンプーするときは、体調のいい時をなるべく狙いましょう。
シャンプーの途中で体調が悪化すると、大変なことになります。
シャワーを浴びれる状態、体力が結構落ちている場合が多いので、始めるときに体調が悪ければすぐに保留にするようにしましょう。
準備しても入れない場合は結構多いので、する側もされる側も、フランクな感じで、「まあ、仕方ないよね~。つぎつぎっ!」くらいの気持ちで切り替えましょう。
看護師さんにももちろん洗ってもらえる!
親御さんでなくても、看護師さんに洗ってもらうこともできます。
子どもは、気持ちがリフレッシュすることができます。看護師さんの業務が忙しいことも多いので、その合間をぬって洗ってくれます。
実習生が付くことも!
また、看護実習生が付いている場合は、実習生が洗ってくれることも多いです。
年の近いお姉さんやお兄さんが洗ってくれるので、子どもも喜びます。シャンプーをする授業は、看護師の授業で早い段階で学ぶことが多く、学校でも練習を多く重ねているので、そんなにも心配する必要もなく安心できます。
シャワーを浴びれない場合は、ほかにも足を洗ってもらったり、手を洗ってもらえたりするので子どもの気がまぎれます。
ですが、少しでも「嫌だな。」と思ったり、体調がすぐれなくなると、話は別です。
先に同意書を書いていても、看護実習生を外してもらうことができます。
「最初はなんとなく引き受けたけれど、うざったくて嫌だな。」と、いう感じで多くの患者さんも実習生を外しています。
ただほかの患者さんに担当が移るだけです。
子どもが病気で辛いのに、執拗に話しかけられたり看護されても、子どもは対応しきれません。
あくまで子どもを優先することが大事で、子どもが困っていそうならば、直ぐにササッと看護師さんに相談しましょう。
終わり
子どもが病気になると、心細くなります。そんなときは親御さんが必要になりますが、親御さん自身が看護疲れになることは多いです。
毎日病院に通い、帰ってから家庭の生活も守らなければなりません。子どもも、「毎日来なくていいよ?」といっても、毎日来ることが親としての務めなのではないかと追い込まれることが多いです。
子どもは追い込まれていることを自分のせいだと考えてしまうので、お互いに申し訳なくなります。
できるだけ親御さんも休息を取れる場合は取り、何かしてあげたくなりますが、必要以上の義務感を強く持たないようにしたほうが、難しいですが子どもも楽になります。
そんな時に触れ合い、入院中の貴重なコミュニケーションのツールとして役立つことを期待できるものが、入院中のヘアケアです。