ヒアルロン酸といえば、お肌のうるおいをキープするために大切な成分だということがよく知られています。
化粧品にもサプリメントにも配合されていて、内側と外側、両方から働きかけてくれる成分なのです。
このヒアルロン酸が効果を発揮するのは、お肌だけではありません。
女性の薄毛にも働きかけてくれるのです。
ヒアルロン酸とは
ヒアルロン酸は正式にはヒアルロン酸ナトリウムといい、基礎化粧品はもちろん、メイクアップ商品にもパックにも、除光液やシェービングクリームにも配合されている成分です。
どのような作用があるのでしょうか。
ヒアルロン酸の持つ働き
ヒアルロン酸はムコ多糖類という粘りのある物質で、非常に高い保水力があり、たった1gで6リットルもの水分を保持できます。
主に皮膚、目、関節などに多く存在しており、保湿やスムーズな動きを助けています。
①皮膚のうるおいと柔軟性を保つ
皮膚には真皮のみに含まれていると考えられてきましたが、1985年日本人研究家によって、表皮にも真皮の半分程度のヒアルロン酸が含まれていることが判明しています。
表皮では細胞の隙間に入り込み、酸素や栄養素を取り込んだり老廃物を移動させたりする働きがあると考えられています。
また、真皮ではコラーゲンとエラスチンを強固につなぎ、水分を逃がさないようにしています。
そのため、ヒアルロン酸が多いほどうるおいや柔軟性のある肌になるのです。
②目のうるおいを保つ
目は常に外気にさらされているため、乾燥を防ぐためにヒアルロン酸が目の硝子体という部分に存在しています。
しかし加齢とともに減少するとドライアイになりやすくなり、眼精疲労や肩こりなどの原因となります。
そこでヒアルロン酸を目薬に配合すると、目が乾きにくくなるのです。
さらに、ヒアルロン酸は涙の成分ムチンと性質が似ており、これも目の乾燥を防いでくれます。
③関節の動きを良くする
ヒアルロン酸は軟骨にも含まれており、関節の動きをスムーズにする働きがあります。
軟骨は関節同士がぶつからないようクッションの役目がありますが、加齢とともに軟骨がすり減り、関節痛の原因となります。
そこでヒアルロン酸を注入すると、軟骨が再形成され、痛みが緩和されるのです。
膝関節症の治療にも使われており、約半数の患者に効果が出ています。
ヒアルロン酸は加齢とともに減少する
このように肌のうるおいや柔軟性のために大切な成分ですが、加齢とともに濃度が減っていきます。
生まれたばかりの赤ちゃんを100とすると、30歳前後から緩やかに減り始め、40代後半から減少が顕著になります。
60歳前後で半分、75歳で約1/4~1/5になってしまうのです。
ヒアルロン酸で髪や頭皮は変化する
ヒアルロン酸の高い保水・保湿作用は、髪や頭皮にもとても良い影響があります。
髪にうるおいやハリ、コシを与える
ヒアルロン酸には、その高い粘度によって髪を保護する効果が期待できます。
市販の強力な洗浄力と脱脂力のあるシャンプーは、髪を非常に乾燥させてしまいます。
また、シャンプーやコンディショナーに配合されたシリコンは、髪のキューティクルが開かないようコーティングする作用はありますが、水分をキープする働きはありません。
そのため、ダメージが広がらないようにすることはできても、うるおいを取り戻すことはできません。
ヒアルロン酸は高い保水力と保護膜形成力があるので、髪につけることで水分をキープしてくれ、しっとり滑らかな手触りになります。
また、ヒアルロン酸が作る保護膜は乾くと強度を増し、それが髪のハリやコシを生み出してくれるのです。
頭皮に柔軟性を与え新陳代謝を促進する
赤ちゃんの頭皮を触ってみると、ご自分と比べてあまりに柔らかいのでびっくりすると思います。
これがヒアルロン酸の働きで、頭皮の柔軟性を保つ作用があるのです。
しかし、ヒアルロン酸が加齢とともに減少すると、柔軟性を失った頭皮は新陳代謝機能が低下し、いつまでも古い角質が残ってしまいます。
するとそれが毛穴に入り込んで詰まり、皮脂と角質が混ざって吹き出物が出来たり、かゆみや炎症、悪臭の原因となったりします。
そこでヒアルロン酸を使用すると、頭皮が柔軟性を取り戻し、古い角質が剥がれやすくなります。
すると頭皮環境が良くなるので、頭皮トラブルが改善されるのです。
紫外線によるダメージを抑制する
頭皮は身体で最も紫外線を浴びる部分で、とても乾燥しやすくなっています。
また、紫外線を浴びると活性酸素が発生し、髪を育てる毛母細胞を攻撃して髪の質を悪くしたり、抜けやすくなったりしてしまうのです。
ヒアルロン酸には、この作用を食い止める働きが期待されています。
近年の実験で、ヒアルロン酸には紫外線によってダメージを受けた皮膚が炎症を起こし、細胞がダメージを受けるのを抑制する作用が発見されたのです。
血行を良くして髪の成長を助ける
髪の毛は、血液がしっかり毛母細胞に届くことで初めて成長します。
しかし、加齢や紫外線、脱脂力の強いシャンプーなどで頭皮が乾燥すると硬くなり、毛細血管を圧迫してしまい、血流を止めてしまいます。
その結果、髪の毛が成長途中で抜けたり、細いままになったりしてしまいます。
ヒアルロン酸は頭皮に柔軟性を与えるため、圧迫されていた血管が元の形に戻り、血流を正常にします。
髪に栄養が届くようになるので、育毛効果が期待できるのです。
ヒアルロン酸を摂取する方法
ヒアルロン酸は、食事で摂る方法やヒアルロン酸液を塗る方法などがあります。
食べ物で摂る
ヒアルロン酸を含む食材はあまりありません。
しかも、分子が大きいため吸収されにくい上に加熱すると成分が破壊されてしまいます。
【ヒアルロン酸を含む食材】
鶏のとさか、魚の目玉、鶏の軟骨、豚足、ふかひれ、山芋、オクラ、納豆、もずく など
この中で加熱しないのは山芋やオクラ、納豆、もずくなどです。
吸収率が悪いとはいえ手に入れやすい食材なので、積極的に摂ると良いでしょう。
サプリで摂る
ヒアルロン酸は医薬品として使用することも認められている、安全性が認められた成分で、最近は分子を小さくしたサプリメントが多く販売されています。
吸収が良く、1日120~240mg程度摂取すると良いといわれています。
ただ、多くは動物由来または化学合成されたもので、アレルギーを発症することがあります。
食物アレルギーがある方は摂取する前に成分表をチェックし、わからない場合は必ずメーカーに問い合わせましょう。
ヒアルロン酸原液を使う
ヒアルロン酸原液は、ドラッグストアやネットで手に入れることができます。
価格は、ヒアルロン酸が動物性の天然かバイオ技術で作られた人工かで大きく違います。
また、100%原液と書かれていても、商品によって濃度が違います。
これは、元々ヒアルロン酸は粉状になっていて、それを水で溶かしたものが販売されるのですが、添加物と水以外がヒアルロン酸の場合、濃度に関わらず「原液」と表示できるからです。
多少高価でも、信頼のおけるショップから購入しましょう。
なお、この原液はそのままでも使用できますし、手持ちの頭皮用化粧水などと混ぜて使うこともできます。
ヒアルロン酸配合の頭皮用化粧品を使う
頭皮ケアローションや頭皮用美容液として、ヒアルロン酸配合のものがたくさん販売されています。
やはり高価なほうがヒアルロン酸を多く配合してあるものが多いようです。
なお、ヒアルロン酸配合の商品を購入する際は、グリセリンも配合されているものを選ぶことをおすすめします。
この2つを併用すると、単独で使用するより柔軟作用が非常に高くなり、しかも持続することが資生堂の研究で確認されています。
原液を使用する場合も、グリセリンをプラスするとさらに高い効果が期待できるでしょう。
まとめ
ヒアルロン酸は高い保湿・保水効果が認められている成分です。
頭皮に塗ると頭皮環境が良くなり、薄毛や抜け毛の予防改善をサポートしてくれます。
サプリメントや化粧品を利用すれば簡単なので、毎日の頭皮ケアに取り入れてみてはいかがでしょうか。